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『夢見る黄金地球儀』 海堂尊

八年ぶりに現れた風来坊の悪友・ガラスのジョーこと久光穣治に誘われ、しがない町工場の二代目・平沼平介は、とんでもない犯罪に関わることに。
桜宮水族館には、バブルの頃にバラ撒かれた”ふるさと創生基金”の一億円で作られた黄金の地球儀が鎮座ましましている。これをソックリ頂いちゃおうというのだ。
初めは全く相手にしていなかった平介だったが、様々な経緯から手を染めざるを得なくなり、やがては率先して計画を進めるに至るのだが、いざ決行という段になり、予期せぬアクシデントが次々と起こってしまう、というお話。

『夢見る黄金地球儀』 海堂尊_e0033570_21412582.jpg書く作品書く作品全てが、相互に密接な繋がりを持つという海堂尊の<桜宮サーガ>(?)の一篇。
概ね現在を舞台にしている”田口・白鳥コンビ”のシリーズや、過去に遡って1988年頃の、その登場人物たちの若き日を描いた作品群とは違い、この作品は2013年という近未来なのが目新しい点だし、最早医療サスペンスでもメディカル・エンタテインメントでもない、コミカルな犯罪小説になっているのが大きな特徴。キャラクターの造型も違うし、これまでの作品とはかなり雰囲気が違うので、続けて読んできた人は面食らうんじゃないかな。
ただこれも、作者の新しい側面だ、と歓迎する人ならば楽しめるとは思うけど、それでも従来の作品に比べると若干「落ちる」印象なのは否めない。まぁ、書き手にとって不得手なジャンルなのか、或いは読み手側に戸惑いがあるのかはわからないけど。

で、これまでの作品群を読んできた人なら、『螺鈿迷宮』『ジェネラル・ルージュの凱旋』で起こった”事件”への言及があるのが嬉しいが、驚きなのは『ナイチン・ゲールの沈黙』に出てきた、というよりも実質的な主人公だったキャラクターが再登場してくることだろうか。
これに関しては意外としか言いようがないし、個人的にはあまり納得出来る形でもないのだけれども、それでも旧友の消息が掴めた、という意味では喜ばしいことなのかな。

本家シリーズ(?)では『チーム・バチスタの栄光』に続いて『ジェネラル・ルージュの凱旋』の映画化が発表されたが、そちらはどうも期待薄。むしろこの作品のような小品の方が、映画としては面白くなりそうなんだけれども・・・?
Commented by みゆみゆ at 2008-12-12 23:49
偶然にも私もこれを読んだばかりです(笑)
ただいま『医学のたまご』をぼちぼちと・・・と読み始めました。

今までの作品に比べるとイマイチかな~と思ってしまったのですが、『ナイチンゲール~』のあの方たちが登場してきたところがうれしかったですね。
Commented by odin2099 at 2008-12-13 21:26
『医学のたまご』を読むのは、もうちょっと後になるかなー。『死因不明社会』を先に読むかも知れないし、どちらにせよ、これでみゆみゆさんに追い抜かれちゃう・・・(苦笑)。
Commented by 山手のドルフィン at 2009-01-04 01:31
はじめまして。
トラックバックさせていただいたのでご挨拶です。
私も医療モノじゃないと知って肩透かし気分を味わった口ですが、でもあの人たちの消息が知れてちょっとうれしかったのでスピンオフとして楽しむ事にしました~。
Commented by odin2099 at 2009-01-04 19:53
>山手のドルフィン様

初めまして。わざわざ有難うございます!
この作品、それとその前の作品と、自分としてはちょっと納得の行かない作品が続いてきちゃいましたけれど、それでもこの一連の作品群、好きですね。
今春にはまた次の作品が出るようなので、そちらも楽しみです。
by odin2099 | 2008-12-12 21:42 | | Trackback(11) | Comments(4)

悪文礼賛


by Excalibur(エクスカリバー)
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