『空の中』 有川浩
2008年 12月 15日
200X年、日本における数十年ぶりの国産輸送機開発プロジェクトが立ち上がったが、実験中にテスト機は原因不明の爆発事故を起こしてしまう。更に数週間後、同じ空域で今度は自衛隊機が謎の爆発。調査が進められるものの、その原因は杳として知れなかった。その頃、海岸で少年は不思議な生物らしきものを見つけ、幼馴染みの少女と一緒に家へと持ち帰っていた。
また調査に派遣されてきた航空機メーカーの担当者と、事故の生き残りである自衛隊機のパイロットの二人は、飛行中に現場空域で謎の存在と接触する。はたしてその正体は・・・?!
地球外ならぬ、<地球内知的生命体>とのファースト・コンタクト・テーマのSF作品ということになるだろうか。作中でも、『ウルトラマン』のスカイドンや『ウルトラQ』のバルンガが引き合いに出されているが、立派な”怪獣モノ”でもある(そういや、シチュエーションだけなら『ウルトラマンティガ』にも似たようなエピソードがあったような)。
併せて、事故の遺族で且つ第一発見者でもある少年と少女の高校生カップルと、調査に乗り出すやや大人のカップル、この二組の、不器用な歩み寄りを描いた”青春恋愛モノ”の要素もある。
彼らと彼らを取り巻く人々の造型が秀逸で、地に足を突いた物語を紡ぎ出し、絵空事に終らせていないのだ。
緊迫感と、どこか仄々とした長閑さが共存している稀有な作品で、懐かしいような新しいような、不思議な味わいのある一篇。
こういった作品を大々的に金を掛け照れずに映画化出来たなら、日本映画界もまだまだ捨てたもんじゃないと思うが、どこかに志の高い製作者はいないものだろうか。
映画になった時の配役なんか勝手に考えてしまいました。(笑)
「海の底」もはやく文庫になって欲しいです。
女性パイロットの方は、読んでるときは『千里眼』の時の水野美紀や、『ゴジラ×メカゴジラ』の釈由美子が浮かんだんですが。読み終わった後で何となく思いついたのは黒木メイサ・・・。
『海の底』も近々読みたいなと思ってます。
そういや、この作品をベースに「ゴジラ」の新作を、という噂が飛び交っていたことがありましたっけ。
が、一作も読んでません。(爆)
なんか『図書館~』シリーズの大々的ヒットで逆に敷居が高くなったというか。
この方の作品は基本的に単発モノなんでしょうかね?今、積読本がやたら増えているので、
シリーズ物だとちょっと手を出しにくい・・・(^^;
この作品読んだ後でも、あんまり女性作家らしくないなぁ、なんて思ったりして。
詳しくは知りませんが、シリーズと呼べるのは『図書館戦争』シリーズだけみたいですね。
もっとも短編集の『クジラの彼』には、この作品や『海の底』の外伝が収録されているようですけど。
ハードカバーが殆どなのでなかなか手が出せないけど、色々と読んでみたい作家の一人ではありますね。
とりあえず今は『海の底』が待機中。
・・・といっても、出番はいつになることやら・・・。
どっちも読んだことがないけど(苦笑)。
一応文庫化されたので『阪急電車』は買ってきましたが。
でも『空の中』とか『海の底』とか、そういった作品にもチャレンジして欲しいですねー。
『海の底』は以前、映画化の噂だけは流れたことがあるんですけどね(真偽のほどは不明ですが)。
「ゴジラ」シリーズの一本として翻案するとかいう与太話もあったような・・・?





