『のぼうの城』 和田竜
2008年 12月 28日

元々著者はシナリオライターとして『忍ぶの城』という作品を書き上げ、こちらは映画化の企画も動いているらしいが、それに先駆ける形で小説として書き直したのだという。
そう言われるとキャラクターで運ぶストーリー展開や、テンポの良い会話の応酬など映画向きかなと思える部分もある。
また成田家の家老である正木丹波守、柴崎和泉守、酒巻靭負など成親を取り巻くキャラクターや、対する三成や大谷吉継、長束正家など魅力的な脇役も上手く配されている。
そして歴史モノ、時代小説というジャンル分けから想像される読みにくさとは無縁で、普通ならこの手のジャンルには手を出さないであろう若者層に受け入れられているらしいのも頷ける。おそらく彼らはライトノベル感覚でこの作品を受け止めているのであろう。コミカライズもされているようなので、是非そちらも読んでみたいものだ。
しかしながら、肝心の主人公「のぼう様」の魅力については今ひとつ伝わらない。
捉えどころのなさが成親の持ち味かと思うが、著者自身もその描写には苦慮したのではあるまいか。彼を盛り立てる人物を設定し、その口から語らせようというという魂胆だったのかも知れないが、皆が皆、己が見たい成親像をそれぞれ投影しただけに過ぎず、結局作品を通しての成親像というものは浮かび上がって来なかった。映像作品なら役者の力量で如何様にも見せられるかも知れないが、小説作品としてはこれはちと辛い。
ヒロインの位置に置かれている甲斐姫にしたところで、本来なら彼女単独で主役を張れるだけのポテンシャルを持ってるはずなのに、成親に翻弄されるだけの立場に甘んじているのは気の毒である。つまりは映画のノベライズ、”スケルトン小説”の域に留まった、というのは言いすぎだろうか。
ああ、早く映画で観たい。

アップしなければならない感想がかなりたまっているので、毎日更新しよう!と意気込んでいたのに・・・体調が思わしくなくて、PCを長時間見てるとぐるぐる眩暈がしてきて車酔い状態になったりで、ブログの更新にまで手が回りませんでした。(・ω・;A)アセアセ…頑張って更新しなくっちゃ!さて、私は歴史小説・時代小説が苦手なんです。でも、この苦手意識は克服したいなとは思っているのです。そこで手に取ったのがこの本。テレビCMでもバンバン流れているし、直木賞にもノミネートされていたし、とても評判がいいらしく読みやすいと聞...... more

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