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『地球の静止する日』(1951)

『2001年宇宙の旅』『未知との遭遇』より以前に作られていた、異星人とのファースト・コンタクトを扱った古典的名作。
昨年リメイク版として作られた『地球が静止する日』をやっと観てきたので、今度はオリジナル版も再鑑賞。半世紀以上前に作られた作品だが、充分に楽しめた。

『地球の静止する日』(1951)_e0033570_7464327.jpgリメイク版ではキアヌ・リーブスが演じた異星からの使者クラトゥを演じたのはマイケル・レニー。
以前観たときは充分に異星人っぽいというか、独特の存在感を感じたものだったけれど、異質なのは無表情演技のキアヌが上。それに比べるとレニーはかなり饒舌だ。
その反面、キアヌは胡散臭さが勝ってしまい、知的で友好的な平和の使者として相応しいのはレニーの方。彼の方が大人で、全てを承知の上で決断を下している、地球人よりも遥かに進んだ文明の代表者という雰囲気は良く出ていた。
一方でキアヌは、人間的な感情的な判断とは無縁なレベルで、客観的論理的に断を下している印象がある。
どちらが良い悪いではなく、演じる役者によって同じような役回りでもかなり異なるのだな、と思った次第。

ただどっちの作品が好きかと言われると、やっぱりこのオリジナル版。
技術的には稚拙で、登場人物も類型的に造型されている面もあるけれども、正面切って堂々と照れずにメッセージを謳い上げている姿勢は尊重したい。
リアリティという点では当然リメイク版に一歩も二歩も譲るだろうが、”夢物語”、ロマンスという要素も含めてオリジナル版に軍配を上げたい。


<追記>

原作は全く違ったテイストの作品で、映画を知っている人ほどその意外性が楽しめると思う。
リメイク版も原作とは違う話で、あくまでも原作小説の再映画化ではなく、映画版のリメイクになっている。
Tracked from samuraiの気になる映画 at 2009-01-09 17:37
タイトル : 「地球の静止する日」
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Tracked from 虫干し映画MEMO at 2009-01-13 08:10
タイトル : 地球の静止する日 (1951/アメリカ)
THE DAY THE EARTH STOOD STILL 監督: ロバート・ワイズ 出演: マイケル・レニー     クラトゥ     パトリシア・ニール     ベンソン夫人     ヒュー・マーロウ     トム     サム・ジャッフェ     バーンハート教授     ビリー・グレイ    突然ワシントンに円盤が飛来した。降り立った宇宙人は地球人全体に核兵器廃絶を要求すると言い、彼らの力を証明するために30分間、地球の動きを止める。しかしそれに対する地球人の反応は…  昨日...... more
Tracked from 映画を観るなら at 2011-01-07 22:38
タイトル : 映画を観るなら 地球が静止する日
ご都合主義はある程度は必要とはいえ、いくらなんでも限度があるでしょう。地球で80年暮らした仲間の意見はそっちのけで、2時間の一瞬で感じた雰囲気でちゃぶ台ひっくり返す宇宙人て・・科学力最高な宇宙人が来襲⇒ひとりの優秀な宇宙人が仲間とはぐれる⇒地球の音楽聴.. ... more
Commented by samurai-kyousuke at 2009-01-09 17:40
キアヌさんのは未見なんですが、オリジナル版は上品な映画ですよね。やっつけ仕事みたいなロボット、ゴトーがキュートです。
Commented by odin2099 at 2009-01-09 22:12
>kyousukeさん

ゴートのデザイン、割と気に入ってますよ。如何にも50年代60年代なテイストで。
子どもでも描けるシンプルなラインですよね。

作品自体もこの時期には珍しくゲテモノではなく、大人向けに作られた作品でした。
by odin2099 | 2009-01-09 07:47 |  映画感想<タ行> | Trackback(3) | Comments(2)

「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”


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