『大巨獣ガッパ』(1967)
2009年 01月 21日
記者やカメラマン、大学の生物学研究室の面々で探検隊が編成され、南海の珍しい生物を探すことになったのだが、南太平洋沖のキャサリン諸島の一つオベリスク島で、彼らは島民が”ガッパ”と呼ぶ不思議な生物を捕獲、日本へと連れ帰る。
だがそれは卵から孵ったばかりの子どもであり、連れ去られた我が子を救い出さんとして親ガッパが日本へ飛来、大惨事が巻き起こってしまう。
♪ぐわっぱぁ~ああ、という一度聴いたら忘れらない主題歌。日活唯一の怪獣映画「ガッパ」くんの登場である。
東宝のゴジラ、大映のガメラが人気を博していたので、それに続け!と怪獣とは無縁の映画会社が製作に名乗りを挙げて作られたのがこの作品。一足先に松竹が『宇宙大怪獣ギララ』を引っ提げて参戦しているけれど、そのもの珍しさや、結局は後続作品を生み出すことが出来なかったことなどから、この二つの作品はよく比較して論ぜられている、というより一緒くたに取り上げられるケースが非常に多いのだけれども、それも仕方ないのかな。
「ガッパ」のリメイクの話というのは聞いたことがないのだけれども、「ギララ」には何度かリメイクの話題が持ち上がり(昨年、遂に『ギララの逆襲/洞爺湖サミット危機一発』として実現)、その際には必ずと言っていいほど共演相手として名前が挙がるのがこの「ガッパ」。腐れ縁だね、こりゃ。
ただ、かなり奇をてらって失敗した感のある「ギララ」に比べると、「ガッパ」くんはかなりの正統派。
南海の孤島から文明社会へと無理矢理連れていかれ、都会の華やかな生活に馴染めずにホームシックにかかって暴れまくるというのは『キング・コング』以来の伝統だ。
もっとも今回暴れるのはホームシックになった子どものほうじゃなく、誘拐犯を追いかけてきた親の方。これが夫婦でタッグを組んで、自衛隊(なんだろうね、多分)の攻撃なんてなんのその、ひたすら浚われた子どもを追い掛け回すのである。というか、それだけの話。
なので都市を破壊して多くの犠牲者が出ているにも関わらず、ガッパ親子は”悪役”としては描かれていない。悪いのは全て連れてきた人間なのだ。
主人公は途中で改心なんかしちゃうので構造上”悪役”からは外れるけれども、元凶となった雑誌社の社長はかなり最後の方まで”悪いヤツ”として扱われてしまう。これで最後まで我を貫き通せばむしろアッパレなんだけれども、そこは「折れる」という見せ場が用意され、ガッパ親子の感動的な再会シーンを盛り上げてメデタシメデタシになってしまうのは、これは子どもターゲットの映画としては限界なのかも。
ただ、このファンタジーというより民話的なお話自体は、実はイギリス映画『怪獣ゴルゴ』の焼き直し(と言われてる)。
『ゴルゴ』は「ゴジラ」に影響を与えた『原子怪獣現わる』のユージン・ルーリー監督が、逆に「ゴジラ」の影響下で作った作品だけれども、そこから「ゴジラ」に対抗する「ガッパ」が生まれたとなれば、これはなかなか面白い話。真面目な「映画史」には出て来ないだろうけれど、作品と作品がどこでどう繋がるか、わからないもんである。
特撮場面も、ノウハウが乏しい中でなかなかの健闘。
大きなガッパの足を作り、ワイヤーで釣上げてドーンと落っことして踏み潰すシーンを撮ったり、かなり大胆な合成ショットがあったりで、その頑張りは嬉しい。これも「ギララ」より優れている点だろうなあ。
出演者が川地民夫、山本陽子、小高雄二、和田浩治etcというのも、当時はみんな売り出し中の若手俳優だったってことだけれども、考えてみればかなり豪華な顔触れだ。
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大巨獣 ガッパ 出演: 川地民夫, 山本陽子, 和田浩治, 小高雄二, 藤竜也 監督: 野口晴康 日活が67年に唯一残した特撮怪獣映画なんだそうです。 あんまり特撮怪獣モノは子供の頃から全然興味なくてよく知らないんだけど。 「ケダモノだって子供が大事に決まってるわ!」(セリフの思い出し適当) ・・・け、けだもの。 時代を感じるキャストのセリフ一つ一つについ爆笑してしまったのでした。 ガッパ、あの巨体で飛ぶんですが、お尻が、お尻が重そ〜。 夫婦怪獣です。連れ去られ...... more
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しかしこうしてお話を伺うと、ガッパも奥が深いですね〜。
そらそーと、先週深夜映画で『岸和田少年愚連隊(松竹映画)』やってまして、凶暴なおっさんを演じてる小林稔侍氏が映画館でヤイヤイはた迷惑に騒いで観てたのがギララで笑いました。アレが日活作品だったらガッパだったんでしょうねえ。
ガッパのプラモ、自分も持っていたかもしれません。
ガメラは間違いなく持ってたんですが。
どちらも日東の製品だったかな。
それはそうと、『ギララ』はワイワイ騒ぎながら観られるような作品じゃないような・・・(苦笑)。