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『ブラック・コーヒー〔小説版〕』 アガサ・クリスティー

晩餐の後、高名な科学者であるサー・クロード・エイモリーは家族を前にして、この中に自分が発明した新しい爆薬の化学式を盗んだ者がいると厳かに告げた。だが部屋の電灯を消している間にそれを返せば、そのまま不問にすると語ったのだが、再び部屋の電灯が点いたとき、サー・クロードは何者かの手により毒殺されていた。そこへサー・クロードから依頼を受けていたポワロが姿を現し・・・。

『ブラック・コーヒー〔小説版〕』 アガサ・クリスティー_e0033570_6114295.jpgアガサ・クリスティーが名探偵ポワロの登場する戯曲を書き上げ、それを後に小説にしたもの。
といってもリライトしたのはクリスティー本人ではなく、チャールズ・オズボーンという人物らしい。この人はクリスティーの研究家として知られ、他にもクリスティーが書き上げた戯曲の小説化に取り組んでいるのだとか。

元が舞台劇の台本だからなのか、それとも書き手がクリスティーではないからなのか、これまで読んできたポワロ物とはちょっと違った雰囲気。まぁハッキリ言えば、読んでいる間ずーっとイライラさせられっ放しだった。

ポワロが思わせぶりで秘密主義なのは今に始まったことじゃないけれども、他にものべつ幕なしにとりとめもないことを喋り続ける人物だとか、告白しようとしては躊躇してしまう人物とか、余計な部分が多すぎる気がしてならなかった。

そして真犯人の意外性もない。
誰もが胡散臭くて怪しげなだけに、その中の一人が犯人でした、と言われてもフーンてなところ。まぁ敢えて言えば、比較的影の薄そうな、存在感の乏しい人だったのが意外といえば意外なのかな。
とりあえず今度はちゃんとしたポワロ物を読んでみようと思う。
by odin2099 | 2009-01-27 06:12 | | Trackback | Comments(0)

「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”


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