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『アップフェルラント物語』 田中芳樹

20世紀初頭、中央ヨーロッパの小国アップフェルラント。スリの少年ヴェルは、ある日監禁されていた少女フリーダと出会う。
彼女を救い出すことに成功したヴェルだったが、敵の目的はフリーダの持っていた祖父の形見の品だった。一体そこにはどんな秘密が隠されているのか。否応なしに少年と少女は、アップフェルラント王国を巡る列強各国の争いの渦に巻き込まれていく・・・。

『アップフェルラント物語』 田中芳樹_e0033570_14512861.jpg先日映画版を観直しましたが、こちらはその原作小説版。
お話はアニメと概ね同じ、ではなく、こちらが元ですから、アニメの方が原作に比較的忠実に作られているということになります。
勿論細かい部分では幾つか違う点もありますし、キャラクターの設計一つとっても当時の時代背景、世界情勢などを考えて作られていたことがわかります。そのあたりはこの作者らしいですね。
アニメ版はあっさりし過ぎているので、どちらも面白いとはいえ、やはり小説版をお勧めします。

作者特有の会話の妙、毒舌の応酬といったものは控えめですし、文章も平易なものが多く、お話自体も割りとシンプルで感情移入しやすい登場人物が多く、悪役は悪役らしいですから、特に子ども向けとは謳っていませんが小学校の低学年くらいでも頑張って読める内容ではないかと思います。早い時期にこういった物語に触れることによって、活字嫌い、読書嫌いは防げるかも・・・?

それにしてもこのお話の肝、<デンマーク血盟>の設定にはロマンを感じました。
アップフェルラントが架空の国なだけにこれはフィクションなのだろうと思いますが、ヨーロッパ各国の王室が血縁で結び付けられているのは事実なので、こういった同盟関係もあり得るのでしょうね。細かい話は知らないのですが。

またアニメ版にはラストシーンにオリジナルの「その後」の物語が加えられていますが、小説版では作者の「あとがき」にそれとは違った「その後」の物語の可能性が記されています。
語られなかった物語に思いを馳せるのも読後の楽しみの一つですね。
by odin2099 | 2009-02-01 14:52 | | Trackback | Comments(0)

「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”


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