『クライマーズ・ハイ』(2008)
2009年 02月 02日

横山秀夫のベストセラー小説を映画化したこの作品は、その事故を巡る地元新聞記者たちの激動の一週間を綴ったもので、舞台となる新聞社は架空のものだが、絵空事ではないリアリティに溢れた物語が繰り広げられる。
それもそのはず、作者は当時、実際に地元紙の記者として働いていたとのこと。フィクションという扱いにはなっているものの、自身の、あるいは同僚記者たちの実体験に即した部分も多分にあったのではないかと思われる。
ただこの物語は事故の原因を追究するわけでも、乗客・乗員の奇跡の生還劇を取り上げるわけでもなく、ひたすら新聞社という組織にスポットを当て続ける。そこに映し出されるのは、程度の差こそあれ、どこの組織にも共通するものではなかろうか。

そんな中で苦闘し苦悩する主人公。
作者は「組織」の中の「個」を描きたかっただけで、日航機事故はそのための方便だったのでは、と思わせるほどだ。
結局この物語は、何かをやり遂げた男たちを描いているのではなく、何も出来なかった男を描いているのだ。
最後に主人公の再生への糸口が描かれているのが唯一の救いで、それ以外は高揚感や達成感、カタルシスとは無縁の物語である。
重厚で見応えは充分。
但し観終わった後では、かなりほろ苦い思いのみが残る作品でもある。

監督:原田眞人 CAST:堤真一、堺雅人、山崎努 他 1985年8月、群馬県御巣鷹山に日光ジャンボ機が墜落、未曾有の被害者を出す大事故が起きる。北関東新聞社では一匹狼のやり手記者、悠木(堤真握..... more

1985年8月12日、群馬県御巣鷹山にJAL123便が墜落、死者520人の大惨事が起こった。前橋にある北関東新聞社では、白河社長の鶴の一声により、一匹狼の遊軍記者・悠木和雅が全権デスクに任命される。そして未曽有の大事故を報道する紙面作り―闘いの日々が幕を開けた。さっそく... more

昨日、九段会館の「クライマーズ・ハイ」の試写会に行ってきました。 原作者の横山秀夫氏が日航機の墜落現場を取材して書いた作品だという情報しか知らずに試写会に行ったので、すっかり全部実話だと思ってしまいました。フィクションだったんですね。臨場感あふれるカメラワークで、私も北関東新聞社の一記者になったような気持ちで観てしまいました。 悠木(堤真一)が采配をまかされて、キビキビと仕事をこなすところはかっこよかったですねぇ。 オンとオフの対比がうまかったです。 新聞社の他の社員のキャラクターがはっき...... more

代休をとって映画三昧!と思っていたのですが、暑くて出かける気にならなかったので夕方から。。。と言うわけでクライマーズ・ハイを観てきました。... more

試写会にて鑑賞 命を追った、あの夏。 1985年8月12日 御巣鷹山に日航機墜落、死者520名―。 走り、叫び、書いた。 新聞記者たちの激動の一週間 2008年 日本 7月5日公開 監督 原田眞人 出演 堤真一/堺雅人/尾野真千子/高嶋政宏/山崎努/遠藤憲一/田口トモロヲ/堀... more

命を追った、あの夏の日。 ■1985年8月12日。群馬、北関東新聞の記者・悠木和雅は、出世街道から外れ一匹狼として行動する遊軍記者。社内の登山サークル“登ろう会”の仲間で販売局所属の親友・安西と共に、翌日谷川岳の衝立岩登頂に挑もうと準備を進めていた。そ... more

監督:原田眞人 出演:堤真一、堺雅人、尾野真千子、高嶋政宏、山崎努、遠藤憲一 「1985年8月12日、羽田発大阪行日航123便が乗客524人を乗せ消息を絶った。 群馬か長野か・・その日山に登る予定だった北関東新聞の悠木は、日航全権デスクを任命された。 誰も経験し... more

1985年に群馬県御巣鷹山で 起きた日航機墜落事故を 地元新聞社の記者の視点から 描いた作品です。 無線機さえ持っていない あの頃の地元記者の 身体をはった取材は 結構すごいです。 1985年8月12日、乗員乗客524名を乗せた日航機123便が、 群馬と長野の県境に墜落、その一報が北関東新聞社に入る。 編集部で全権デスクに任命された悠木和雅(堤真一)は 佐山(堺雅人)らを事故現場へ向かわせる。 中央紙とのスクープ合戦や組織や同僚との衝突、 熱狂と苦悩に満ちた濃密な一週...... more

日航機墜落、そして彼らは登る 1985年8月12日、群馬県御巣鷹山に日航機が墜落する。死者520名。単独の航空機事故としては世界最大。その一報を耳にした北関東新聞社も、この前代未聞の大惨事事故の報道合戦に身を投じていく。全権デスクを命じられたのは、社内でも出世街道から外れ、一匹狼的な遊軍記者悠木和雅。社内外での駆け引きや軋轢に苦しみながら奔走することになる。 そんな中、悠木が一緒に谷川岳登山の約束をしていた販売局の友人・安西耿一郎がクモ膜下出血で倒れ、病院へ運ばれたという報せが届く...... more

『1985年8月12日 御巣鷹山に日航機墜落、死者520名―。 走り、叫び、書いた。 新聞記者たちの激動一週間』 コチラの「クライマーズ・ハイ」は、「半落ち」、「出口のない海」の横山秀夫が当時地元地方新聞社の記者だった自らの体験をモトに、日航ジャンボ機墜落事....... more

試写会で観ました。 1985年8月12日、 群馬県の地方新聞社・北関東新聞社の遊軍記者で、 翌日の朝刊作りに追われていた悠木和雅は、 19:36分発の電車で谷川岳に向かう予定だった。 目的は過去780人もの死者を出している難所・衝立岩へのアタック。 パートナーは販売局員の... more

あらすじ1985年8月12日、群馬県御巣鷹山にJAL123便が墜落、死者52人の大惨事が起こった。北関東新聞社では、白河社長の鶴の一声により悠木和雅が全権デスクに任命される。そんな時、販売部の同僚で無二の親友・安西がクモ膜下出血で倒れたとの知らせが届く...... more

2008 日本 邦画 ドラマ 作品のイメージ:泣ける、切ない、スゴイ、ためになる 出演:堤真一、堺雅人、尾野真千子、山崎努 NHKで放映されたドラマを見逃してしまい、ドラマをDVDレンタルしようとしたら、前編と後編に分かれている。で、それなら映画で一気に観てしまおうということで映画の方を選択。事故当... more



2008年:日本 原作:横山秀夫 監督:原田眞人 出演:堤真一、堺雅人、尾野真千子、高嶋政宏、山崎努、遠藤憲一、田口トモロヲ、堀部圭亮、小澤征悦 1985年8月12日、群馬県、北関東新聞社。乗員乗客524人を乗せた羽田発大阪行きの日航機123便が群馬と長野の県境に墜落...... more


1985年、群馬県御巣鷹山で起きた日航機墜落事故をめぐって翻弄される地元の新聞記者たちの姿を描く社会派ドラマ。横山秀夫が自らの体験を反映した同名小説が原作。監督は原田眞人、キャストは堤真一、堺雅人、尾野真千子、高嶋政宏、山崎努他。 <あらすじ> 1985年8月12日、乗員乗客524名を乗せた日航機123便が、群馬と長野の県境に墜落、その一報が北関東新聞社に入る。編集部で全権デスクに任命された悠木和雅(堤真一)は記者として扱う一大ニュースに対する興奮を禁じえないが、中央紙とのスクープ合戦や組織や家族と...... more
トラックバックありがとうございました。(*^-^*
エキサイトブログへのトラックバック機能が不調でこちらからお返し出来ないので
ハンドルネームにURL貼っておきますね。m(_ _)m
ジャーナリズムと向き合う組織の物語でしたね。
わたしもどうやらgooからこちらへTBできないようなので、ハンドルネームのところに貼っておきます。
この映画は個人的に非常に思い入れのある事象が描かれていたし、あの新聞社内のうねるような臨場感にも圧倒されて、非常に見ごたえのあった映画です。
2008年のわたしのベスト7でした。
ということで今後ともよろしくです。
何度かTB試みたのですが、反映されなかったので、
コメントで失礼します。
なかなか文屋の男の世界を見せてもらった感があります。
原作も読んでみたいのですが、なにせ横山秀夫氏の本は
分厚くて気合い入れないと読めない感じです(汗)
堤真一さんはこの作品の他に『容疑者Xの献身』、、『魍魎の匣』を
含め、僕の昨年の助演男優賞を差し上げました^^
ちなみに堺雅人さんは『アフタースクール』、『ジャージの二人』を
含め敢闘賞を差し上げました!
結局何も出来ずに終わってしまいましたが、新聞社内の様子はなかなか興味深いものがありました。
お手数をお掛けします。どうしたんだろ?エキブロの調子が悪いのかなぁ。
この映画、結構癖のある役者さんが揃っているので、その演技合戦も見所でしたね。
しかし実際の新聞製作の現場ってこんな感じなのでしょうか。
いらっしゃいませ、有難うございました。
やはりgooから送れないんですねぇ。エキサイトからgooへは非常に成功率高いんですけど・・・(苦笑)。
20年以上も前ですが、自分もこの事件はかなり鮮明に覚えています。
ニュースをかなりしつこく見ていました。
そんな報道の裏側にこんなドラマがあったかも、と思うと感慨深いものがありますね。
仕事に取り組む男たちの姿というのは美しいものがありますが、出来ればその努力が報われたり、スクープをものにするようなサクセスストーリーも観てみたかったなぁとは思いました。
元々原作がこういうお話なので致し方ないですが、この作品とは別の視点を持った作品もあっても良いかも知れません。
これまたgooですねー。今までgooとの間でこんなことはなかったように思うのですが、ずーっとこの調子ならば困ったものです・・・。
横山秀夫作品は今のところこの原作だけ読んでいます。
それほど分厚い本ではなかったのですが、ちょっと読み辛かったかな(苦笑)。
他にも興味ある作品が多いので、少しずつ読んでいければ、と考えているのですが。
堤真一はその2作品とも観ていますが、どちらかというと好きな俳優さんではありません(汗)。
この人の聞き取り難い台詞回しが苦手なのですが、得難い存在感はありますね。
堺雅人はもうすぐ公開の『ジェネラル・ルージュの凱旋』が、非常に不安です。。。
うーん、livedoorまで・・・。
エキサイトからlivedoorへは送れないことがしばしばですが、その逆はあまり聞かないので、やっぱりエキサイト側に問題あるのかなぁ。
地元紙の意地を見せて大手を出し抜いてスクープをものにする、そんな展開のドラマも観たかったですが(笑)、これはこれでありですね。
前に使っていた裏技が使えなくなり、今回別の裏技を取得したので(笑)、やっとお邪魔できました。
しかし、表示にめちゃくちゃ時間がかかります・・・トホ。
でも、これで、今までよりはちょくちょくお邪魔できるんじゃないかと。(・・・だといいなぁ)
実は先日、なかなか評判がよかったみたいだったこの作品と『ミッドナイトイーグル』を間違って買ってしまいまして(見たかったのはこの作品)、見始めてしばらくして、アレレ?
慌ててネットで調べて、大間違いに気づいた次第。アホです。
近いうちに買ってこようと思ってます。(ちなみに、最近行きつけのDVDショップでは、映画1枚9元=約120円ほど。安っ)
『ミッドナイト・イーグル』は結局映画館で見損なったのでDVDを(ポイント引き換えで)入手はしたのですが、未だに観てません。
原作読んでから、とか思ってたんですけど原作長そうだし、作品の評判は何かあまり宜しくないみたいで・・・。
でもいつか必ず!とは思ってます。
この作品は、ラストなど原作とはかなり違ってますので、比較してみるのも面白いかも知れません。
とりあえず自分は、次はNHKのドラマ版を観たいと思ってますが。
映画版ラストの外国のシーンは無くても良かった気がします。
TV版を先に観ようと再放送をチェックしたいたんですが、結局そのままズルズルきてしまいました・・・(汗)。
映画版のラストは蛇足なような気がしてますので、TV版もきちんと観ておかなきゃ。
TBありがとうございました。お返しいたしましたがうまくいっていないかも?その場合はすみません。
>何かをやり遂げた男たちを描いているのではなく、何も出来なかった男を描いているのだ。
ふむ、確かにそうですね。
ちょっと記事も見送られ、ジャッジも出来ず、他社にスッパ抜かれる…でも確信がないというジャッジ=見送り。
このジャッジは後ろ向きではありますが、なかなか出来ないことだと思いました。じゃあ何パーセント確信が取れればいいのか?そこが葛藤のポイントなのでしょうね。
私ならどうするか?と悩みましたが、答えはでませんでした。
どなたか?も書かれていましたがこの作品、小説もそうですが、TV版がいちばん評判がよさそうですね。是非観たいものです。
どうしてだろう?
ともあれ、コメント、有難うございます!
結果だけ見れば、強引に行けばサクセスストーリーになったんでしょうが、退く決断というのも大切なんだな、とは思えました。
でもこの作品の場合、何となく主人公が弱腰というか、優柔不断なだけのようにも見えてしまうのがちょっと・・・。
途中までは自分の我を押し通してかなり無茶なことをするのに、最後の最後で腰が引けちゃうような。
狙って作られた人物像なんだと思いますが。
TVドラマ版も是非見比べてみたいですね。
見ました~。
ドキュメンタリータッチでなかなかに見応えありましたね。
事故現場なんかもうまく再現していましたね。
原作モノの映画化、ましてやドラマ化が先行している場合、わざわざ映画化する必要なかったじゃんな作品が多い中で、かなりうまく映画化していたんじゃないかと思います。
NHK版、そういえば、見てました。すっかり忘れてましたけど(汗)
映画でいまひとつ描ききれてなかった、悠木の中での登山の意味や息子との関係なんかがもう少し掘り下げて描かれていたように記憶してます。
個人的には、どちらもそれぞれに持ち味(長所短所含めて)があると感じました。
原作未読なんで、次回の一時帰国時に買って来ようと思います。
こりゃ休みの日に強制的に観るしかないかなぁ。
原作はもっと枝葉の部分が多いので、映画を観た後でも違った発見というか、楽しみ方が出来ると思います。
機会がありましたら是非お読み下さい。