『ホカベン/ボクたちの正義』 中嶋博行
2009年 02月 11日
多くを語らない彼女だったが、堂本は夫・元樹のDV(ドメスティック・バイオレンス)が原因と推察、行動を開始するのだが、夫側の弁護士に機先を制され娘は連れ去られてしまう。
失意の堂本だったが、今度はその耳に雅子が元樹を刺殺したとの報せが入る。
計画的な保険金殺人なのか? 折しても雅子のマンションに出入りしている若い男の目撃証言も出るのだが、彼女は黙して語らない。
そして法廷の場で明らかにされた恐るべき真相とは・・・?

しかも現役弁護士とのことなので、とうとう日本にもこういったタイプの書き手が出てきたんだなぁと感じたのだが、既に15年近いキャリアのある人に対してはかなり失礼な話だろう。
この作品はページ数にして200ページほどの中編ながら、二転三転のどんでん返しが楽しめる。流石に<ジェット・コースター・ノベル>とまではいかないが、これならば他の作品にも期待出来そう。
リーガル・サスペンスといえばスコット・トゥローやジョン・グリシャムだが、法曹界に身を置きながら執筆活動を続けるのはアメリカ人の専売特許じゃない、ということで。
ところでこの作品、最初にコミックがあり、次にTVドラマ化され(主演:上戸彩)、それから小説が書かれたというちょっと変わった経緯があるらしい。
内容はそれぞれ違うらしいが、どんな内容になっているのかちょいと気になる。
文庫版で700ページ近くあるので、けっこう長いんですけど、スルスルと読めましたよ。
サスペンスものとしては、ものすごく面白いっていうわけではないと思うんですが、一般人があまり知ることのない警察庁や裁判所っていうところがどういうところなのか、どういうシステムになっているかがいくらかわかって、とても興味深かったです。
もちろん小説なので、そのまんまってわけではないでしょうけどね。
本屋さんに行くと、分厚い講談社文庫がずらーっと並んでいるのでめげそうになるんですが、頑張って読んでみようかな。
実はもう一冊だけ、この人の本を持ってます。
いつになったら読み始められるかわかんないんですけど・・・(汗)。