『007/カジノ・ロワイヤル』 イアン・フレミング
2009年 02月 15日
イアン・フレミングが書いた<007>シリーズの第一作。
これまでにアメリカで単発のTVドラマになった他、1967年版と2006年版の2回、映画化されているが、前者は原作の香りは微塵も残っていないパロディ作品であり、形の上ではリメイクとなった後者が比較的原作に忠実なこともあって事実上初の映画化と言っても良いかと思う。
ボンドと言えばアクション・ヒーローというイメージが強いだろうが、この作品ではアクションらしいアクションは殆どなく、多少派手なカーチェイスが用意されているだけ。メインとなるのはバカラによる勝負だ。なので映画のイメージだけでこの作品を読むと随分と戸惑うことと思う。
実際自分も初めてこの小説を読んだ時は、イメージが全く掴めずに困惑した覚えがある。
今読み返してみると、知的なイメージはあまり浮かばないものの、静かなる対決も悪くはないなと思うのだが、やはり自分にとってのボンドは映画の中のボンドに尽きるようだ。
それにしてもこの本、プレミアものの表紙では!? 内容はマトモなのに、デビッド・ニーブンのあのカットとは大胆な。
今は絶対このデザインじゃないでしょうし。
前作映画の無茶苦茶な内容はともかくも、登場してる俳優たちはとんでもないラインナップでしたし、当時いったいどんな経緯であの作品が作られたのか不思議ですよね。
淀川先生や小森のおばちゃまだったら裏事情とかご存じだったのかなあ。
但し買ったのはもっと後ですねー。10年後くらいかな。その頃までこの本、店頭に残ってました(笑)。
カバーはその後、90年代の後半ぐらいにシリーズ統一デザインのものに変えられ、更に一昨年のリメイク映画公開に際し、活字を大きくした新版に差し替えられてますので、今では古書店でもあまり見かけないかも知れませんね。
フレミングはデビット・ニーブンをボンド役に推したりもしていたようですが、あの映画は兎も角、他の作品を観ていてもボンドのイメージとは思えないんですけどね(苦笑)。
他にはロジャー・ムーアの名前も挙げていたようですが、少なくてもこの作品はムーアには無理でしょうね。