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『007/カジノ・ロワイヤル』 イアン・フレミング

『007/カジノ・ロワイヤル』 イアン・フレミング_e0033570_21141673.jpgソ連の工作員にしてフランス共産党の大物ル・シッフルは、使い込んだ党の資金の穴埋めをするべく、カジノの賭博場で大勝負を掛けようとしていた。英国の秘密情報部員007号ことジェームズ・ボンドは密命を受け、ル・シッフルを破滅させるべくカジノへと乗り込んで来る。フランス参謀本部二課のマチス、米国中央情報局のフェリックス・ライター、それにボンドと同じく英国秘密情報部員である美女ヴェスパー・リンドらの協力を得て、一度は窮地に陥ったもののボンドは見事にル・シッフルを負かし任務は無事に達成されたかと思えた。しかしその直後、ヴェスパーがル・シッフルの一味に誘拐され、それを追ったボンドも罠に落ちてしまうのだった・・・。

イアン・フレミングが書いた<007>シリーズの第一作。
これまでにアメリカで単発のTVドラマになった他、1967年版2006年版の2回、映画化されているが、前者は原作の香りは微塵も残っていないパロディ作品であり、形の上ではリメイクとなった後者が比較的原作に忠実なこともあって事実上初の映画化と言っても良いかと思う。

ボンドと言えばアクション・ヒーローというイメージが強いだろうが、この作品ではアクションらしいアクションは殆どなく、多少派手なカーチェイスが用意されているだけ。メインとなるのはバカラによる勝負だ。なので映画のイメージだけでこの作品を読むと随分と戸惑うことと思う。
実際自分も初めてこの小説を読んだ時は、イメージが全く掴めずに困惑した覚えがある。
今読み返してみると、知的なイメージはあまり浮かばないものの、静かなる対決も悪くはないなと思うのだが、やはり自分にとってのボンドは映画の中のボンドに尽きるようだ。
Commented by よろづ屋TOM at 2009-02-16 00:11 x
原作か〜〜!読んでみたい気もしますが。
それにしてもこの本、プレミアものの表紙では!? 内容はマトモなのに、デビッド・ニーブンのあのカットとは大胆な。
今は絶対このデザインじゃないでしょうし。
前作映画の無茶苦茶な内容はともかくも、登場してる俳優たちはとんでもないラインナップでしたし、当時いったいどんな経緯であの作品が作られたのか不思議ですよね。
淀川先生や小森のおばちゃまだったら裏事情とかご存じだったのかなあ。
Commented by odin2099 at 2009-02-16 22:42
手許にあるには1963年6月21日初版、1984年8月10日56版となってます。
但し買ったのはもっと後ですねー。10年後くらいかな。その頃までこの本、店頭に残ってました(笑)。
カバーはその後、90年代の後半ぐらいにシリーズ統一デザインのものに変えられ、更に一昨年のリメイク映画公開に際し、活字を大きくした新版に差し替えられてますので、今では古書店でもあまり見かけないかも知れませんね。

フレミングはデビット・ニーブンをボンド役に推したりもしていたようですが、あの映画は兎も角、他の作品を観ていてもボンドのイメージとは思えないんですけどね(苦笑)。
他にはロジャー・ムーアの名前も挙げていたようですが、少なくてもこの作品はムーアには無理でしょうね。
by odin2099 | 2009-02-15 21:14 | | Trackback | Comments(2)

「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”


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