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『砂の器』(1974)

国鉄蒲田駅操車場で、一人の男の他殺死体が発見された。しかしその身元は不明で、手掛かりは被害者が残した東北弁の「カメダ」という言葉。特別捜査本部は更なる手掛かりを求めて東奔西走するが、その捜査は難航を極める。
そんな時、突然被害者の身元が割れ、事件の鍵を解く鍵は東北地方ではなく、出雲にあることが判明。やがて捜査線上に、今注目を集めている若手天才音楽家が浮かび上がってきた・・・。

『砂の器』(1974)_e0033570_6265386.jpg松本清張の小説を、橋本忍と山田洋次が脚色し、野村芳太郎が監督したミステリー、サスペンス映画の傑作。犯人が誰かではなく、その動機に焦点を絞った人間ドラマであり、難病を患った人への差別に対する痛烈な批判を込めた作品になっている。
そのお話の面白さもさることながら、やはりこの作品のポイントは日本の四季の美しさを捉えた映像と、そして芥川也寸志音楽監督の下、菅野光亮が作曲した「ピアノと管弦楽のための組曲」と題された『宿命』だろう。
クライマックスでは台詞を極力排し、映像と音楽だけで一気に見せる展開が実に見事である。今回観直してみたけれども、その素晴らしさは不変。原作小説は未読だが、この部分だけは少なくても原作を超えているだろうことは間違いない。
粘り強く捜査に当たる丹波哲郎と森田健作の刑事コンビも良い。

個人的にはこの作品にはちょっと変わった思い出がある。というのもある時、全く別の友人三人からそれぞれこの作品を薦められたのだ。
リバイバル公開があったとか、ビデオやCDが発売されたとか、特別にこの作品がブームになっていたり再評価されていた訳でもなく、別の日に個別にたまたま同じように映画の話題が出た際に、異口同音にこの作品の題名が挙がったので、これも何かの縁なのかなと思って観る気になったという次第。”運命”(いや、この作品的には”宿命”か)というものは実生活においては信じるほうではないのだけれども、”天啓”というか不思議な感じがしたのものである。
Tracked from マガジンひとり at 2009-02-16 22:06
タイトル : 『砂の器』
砂の器松竹このアイテムの詳細を見る 東銀座・東劇にて、野村芳太郎監督、デジタルリマスター版によるリバイバル上映。 国鉄・蒲田駅の操車場で撲殺されて礫死に見せかけられた老人の死体が発見され、警視庁は大がかりな捜査を行うが、始めのうちは被害者の身元もわからず、捜査は難航する。 東北なまりの“カメダ”という手がかりの言葉の意味を探るため、今西刑事(丹波哲郎)と吉村刑事(森田健作)が東北へ出張するが、2人は夜行列車の車内で新進気鋭の音楽家・和賀英良(加藤剛)と乗り合わせ、また、車窓から白い紙キレのようなものが...... more
Tracked from ルールーのお気に入り at 2009-02-16 23:30
タイトル : 『砂の器』デジタルリマスター版 
『砂の器』デジタルリマスター版 7/2(土) 丹波哲郎&加藤剛による舞台挨拶付き上映決定 →詳しくはココ (わー、もう1回観に行こうかな^^;;;) ※昔の映画だからネタバレしちゃってますが、そこんとこよろしくです{/face_nika/} ずっ〜と書こう書こうと思っていたのにすっかり遅くなってしまいました。{/kaeru_shock2/} 『砂の器』のデジタルリマスター版を上映しているという新聞記事を読んで気になっていたので、先日銀座の東劇に観に行って来ました。 TV版にはハマっていたけれ...... more
Tracked from 極私的映画論+α at 2009-02-17 06:51
タイトル : 砂の器(デジタルリマスター版) 2005年 143分
 迷官入りと思われた殺人事件を捜査する二人の刑事の執念と、暗い過去を背負うがために殺人を犯してしまう天才音楽家の宿命を描く。ある日、国鉄蒲田操車場構内で扼殺死体が発見された。被害者の身許が分らず、捜査は難航した。が、事件を担当した今西、吉村の両刑事の執念の捜査がやがて、ひとりの著名な音楽家・和賀英良を浮かび上がらせる……。 映画館 ★★★★★  邦画のなかで一番私が好きな映画です 1974年の公開時には見ていませんが80年代のリバイバルで映画館で見て、それ以降は年に1回は見ている作品(笑) 今日2...... more
Tracked from カフェビショップ at 2009-02-17 20:17
タイトル : 砂の器
砂の器 うーん、泣けますねえ。 古い映画なので陳腐な感じもあるんですけど、 古さをおぎなってあまりあるパワーっていうんですか、 そういうスケールのでかさがあります。 ラスト近く、 演奏会の映像、放浪する親子の映像、捜査会議の映像がカットバックされると..... more
Tracked from あず沙の映画レビュー・ノート at 2009-06-15 10:28
タイトル : 砂の器
1974 日本 邦画 ドラマ ミステリー・サスペンス 作品のイメージ:感動、泣ける、切ない、ためになる 出演:丹波哲郎、加藤剛、森田健作、島田陽子 何度観ても号泣してしまう作品。松本清張の同名傑作小説を原作に、野村芳太郎監督が映画化したヒューマン社会派ドラマで、言わずと知れた名作中の名作(なので、今... more
Tracked from ふじき78の死屍累々映画日記 at 2016-12-17 23:23
タイトル : 『砂の器』をトーホーシネマズ新宿1で観て、さあ泣くぞうん..
五つ星評価で【★★★★涙活映画】 多分、3回目くらい。 これは泣く。もう泣きに行く。 凄いよね、加藤嘉。 加藤嘉は昔の映画でたまに見かける事もあるけど、 やっぱりこの ...... more
Commented by はまかぜ at 2009-02-28 14:21 x
こんにちは。
砂の器は、小説とドラマを見ました。
ドラマのほうは2004年1月から中居正広さん主演で放送されて、毎週楽しみにしていました。
この映画は見ていないのですが、きっと素晴らしい完成度なのだと思います。
ドラマもクライマックスは映像と音楽だけになっていて、とても印象に残りました。
Commented by odin2099 at 2009-02-28 17:45
いらっしゃいませ~。

何度か映像化されていますけれど、この映画版以外は観たことないのです。
原作も読んでみたいし、映像も見比べてみたいですねー、是非とも。
中居正広版では千住明が手掛けた音楽も話題になっていましたし。
by odin2099 | 2009-02-16 06:27 |  映画感想<サ行> | Trackback(6) | Comments(2)

「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”


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