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【徒然なるままに・・・】

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「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”

2006年 01月 22日 ( 1 )

タイに「ウルトラマンの街」が出来るかも?
――というニュースが流れてから、この作品が急に見たくなったのでビデオを引っ張り出してきた。
まだ友好関係にあった頃の(笑)円谷プロと、タイのチャイヨー・フィルムとの合作作品で、製作されたのは1975年。
ビデオソフトやLDは出たけれど、最近の訴訟問題のゴタゴタを考えるとDVD化は難しいだろうなぁ。
これも封印作品の仲間入り

e0033570_23532318.jpg両社の合作第1号は『ジャンボーグA対ジャイアント(仮)』という作品で、これはタイの映画のヒーロー『ジャイアント』と円谷製作のTVヒーロー『ジャンボーグA』とのジョイント企画で、これがあちらでは大ヒットとなったらしい。
そこで第2弾として作られたのが、タイの伝説のヒーロー(叙事詩「ラーマヤーナ」などに登場している)とウルトラ兄弟の共演作『白猿ハヌマーン&ウルトラ兄弟』で、これまた大ヒットしたのだが、どちらも日本では公開されることはなかった。
余談だがこの作品には続編があり、そちらではなんとハヌマーンと1号からXまでの5人の仮面ライダーが共演しているのだとか?! 

日本ではその存在が殆ど(というか一般には全く)知られていなかった作品だったのだが、折からの<第3次ウルトラ・ブーム>に乗っかって、かつてのTV版『ウルトラマン』を再編集した劇場版『実相寺昭雄監督作品ウルトラマン』が1979年春に製作され、公開されることになり、その併映作として急遽タイからネガを空輸し、再編集を施して仕上げたのがこの『ウルトラ6兄弟VS怪獣軍団』なのである。
東京や大阪などではオマケではなく、GWに単独で上映されている(厳密に言えば単独ではなく、TV『ウルトラマンレオ』からセレクトされたエピソードがオマケに付いていた)。

音楽は『ウルトラセブン』のBGMと、それを再構成した『交響詩ウルトラセブン』のものに差し替えられ(といいつつ、何箇所かオリジナルのBGMが残っている)、円谷皐社長(当時)自ら作った主題歌をささきいさおが歌っているが、これが見事に画面に合っていない
『実相寺ウルトラマン』が、オリジナルBGMの他に、再構成した『交響詩ウルトラマン』を劇中に挿入し、かつ御馴染み「ウルトラマンの歌」を新アレンジでささきいさおに歌わせていたので、それとのセットということなのだろうが、選曲者のセンスを疑う出来だ(実際両作品の主題歌はカップリングでシングルレコードが発売され、交響詩もカップリングでLPレコードが出ていた)。

監督は後に東映のTVヒーロー物を数多く手掛けることになる東條昭平
日本公開にあたっては、おそらく短縮されていると思われ、能うならばオリジナルの状態で見てみたいとも思うのだが、今となっては正規のルートでは叶わぬ夢か。

で、この作品を邦題のイメージで期待して見ると、きっと裏切られた気分になること間違いナシ。
そもそも主人公はハヌマーンで、ウルトラ兄弟は土壇場で助っ人として出てくるゲスト扱いだし、全編を漂う宗教色の強さは日本人からすれば違和感タップリ。

太陽が地球に近付きすぎたため、気温が上昇し、雨が降らずに人がバタバタ倒れているというのが物語りの発端なのだが、これを何とかしようとする科学者の実験が失敗して大爆発が起き、地下から怪獣が復活してしまう。
復活してくるのはゴモラ、アストロモンス、タイラント、ドロボン、それにダストパン・・・ってアンタ、ウルトラシリーズじゃなくて『ミラーマン』の怪獣じゃありませんか。
また、その実験基地にはZATやSAF(『ファイヤーマン』)や、後はSAT(『トリプルファイター』)だか電特(『緊急指令10-4 10-10』)だかの怪しい制服を身に着けた連中が右往左往しているし、指令を下している部屋はどう見てもMACステーション。このあたりで純粋な(?)ウルトラシリーズファンは、もう耐えられなくなってくるんじゃないかな。

ハヌマーンは、仏像泥棒を追って殺されてしまったコチャンという少年と一体化しているのだが、登場して先ず最初にやることといえば、この泥棒への復讐。
「仏様を大切にしないヤツは死ぬべきなんだ!」と、いくら悪人相手とはいえ、散々なぶりものにしてから踏み潰したりするダーティーさを発揮し、変身する時も、巨大化する時も、戦いの合間にさえ踊りを忘れないというワイルドなキャラクターなのだ。
う~ん、仏様の教えってそんなに過激だったっけ?

一方、実験が失敗しちゃって、さてどうするの? というと心配御無用!
なんとハヌマーン様が直々に太陽さんの元へ行き、「お前は地球に近付きすぎだから、もっと離れてくれ!」と直談判。
すると太陽さんもスンナリと自分の非を認め、あっさり引き下がってメデタシメデタシ。
ん?何かおかしいと思いました? 実は太陽さんは擬人化されて出てくるんですな。
・・・頭痛い。

なのでこれから見ようと思っている人は、心して見るように。
「ウルトラマン」を見るんだと思わず、珍しいタイの映画を見るんだという寛容な気持ちを忘れずに!
そう、珍品中の珍品。
実際この作品の意義といえば、ウルトラシリーズ初の劇場用新作映画だということのみにあるといっても過言ではない。
それまでもウルトラシリーズが劇場に掛かったことはあったが、それはTVシリーズの1エピソードそのままだったり、或いは複数のエピソードを再編集したものだった。
ところがこの作品は『帰ってきたウルトラマン』や『ウルトラマンタロウ』などから特撮シーンなどを流用してはいるものの、初めから劇場用作品として作られているという記念碑的な作品なのである。
その後、劇場用新作としてのウルトラが、1996年の『ウルトラマンゼアス』まで作られなかったことを考えれば、そこに至る道程が決して平坦ではないことがわかると思う。


ところで、タイに出来るという「ウルトラマン博物館」には是非ともハヌマーンも展示して欲しい!
残っているのなら、あの飛び人形も!!
by odin2099 | 2006-01-22 22:28 |  映画感想<ア行> | Trackback(4) | Comments(4)
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