人気ブログランキング |

【徒然なるままに・・・】

odin2099.exblog.jp

「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”

2006年 07月 25日 ( 1 )

「カワウソ」、「ダークローズとダイヤモンド」、「地の骨」、「湿原で」、「トンボ」の5編の短編と、「アースシー解説」を収めた文字通りの番外編。
本編の5巻が出る前に書かれていたのだが、翻訳版は本編を優先した為にシリーズとしては最終巻として刊行された。

e0033570_1043501.jpg
「カワウソ」は本編より300年ほど遡った時代を舞台に、ロークの学院がどのように誕生したのかを伝える物語である。というよりも、後に学院を設立することになる人物にまつわる物語と表現した方が良いだろうか。

「ダークローズとダイヤモンド」は、裕福な商人の息子と魔女の娘との一風変ったラブ・ストーリーで、「カワウソ」共々『ゲド戦記』本編とはかなり違った味わいを持っている。

「地の骨」は、ゲドの師の若かりし頃を題材にしたもので、これを読むとキャラクターの幅が広がって感じられるはずである。例えは悪いが、ちょっと『スター・ウォーズ』の新三部作の雰囲気に近い、というとファンは気を悪くするだろうか。

「湿原で」は外伝中、唯一ゲドが登場するエピソード。大賢人として活躍しているので、本編でいえば3巻の直前にあたるのではないだろうか。とはいうもののゲドは決して主役ではなく、一歩下がった立場から全体を見回す役回りとなっている。

「トンボ」は5巻でのキー・キャラクターであるアイリアンが初登場するストーリーで、4巻と5巻のブリッジとなっている。本来ならば5巻を読む前に読んでおいた方が、より作品が楽しめることと思う。

「アースシー解説」は、この世界の歴史、文化、風土、生き物などの解説。物語仕立てではなく、あくまでも”解説”という体裁をとっている。知らなければ物語が楽しめない、ということもないが、頭の片隅にでも留めておけば、それだけ作品世界に遊びやすくなることだろう。

ということで、本編とは直接関わってこない番外編や、逆に密接にリンクしている物語など多様な構成を見せるこの一冊。無理してでも読まなければいけない、という性質のものではない。ただ、ファンならば押さえておいて損はないはずである。
by odin2099 | 2006-07-25 23:50 | | Trackback(3) | Comments(0)
ブログトップ