【徒然なるままに・・・】

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「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”

2006年 12月 12日 ( 1 )

e0033570_6262020.jpg言わずと知れたJ・R・R・トールキンの『指輪物語』を、原作通り三部作構成で映像化したものの一本目(実際には第二部冒頭部分まで含まれている)。原作同様に「旅の仲間」の副題を持つが、どういう訳か邦題からは削られてしまい、これではあたかも全篇を映像化したかのようで、初心者には些か不親切と言わざるを得ない。
最近の作品であるし、3時間近い超大作なのだが、気が付くとかなりのハイペースで繰り返し観ているお気に入りの作品だ。

熱心な原作ファンからは、ストーリーの改変に対して不満の声も寄せられたが、文庫本にして4冊もの分量を大胆に刈り込んではいるものの、単なるダイジェストにしてはいない構成の手腕は評価して良いだろう。むしろ親切に伏線を張るなど、原作以上に判りやすくなっていると言っても良いかも知れない。
もっとも、人気キャラクターの出番が丸ごと割愛されたり、逆に原作では殆ど活躍の場が与えられていないキャラクターに重要な役割が与えられたり、今後の展開への布石となる部分がバッサリ抜け落ちていたりと不満がないわけではなく、初心者には付いて行き易い反面、中上級者には物足りないというか、不安を覚えさせる部分もなきにしもあらず。
ただそれもこれも、これだけの規模で、これだけの説得力を持って、この「映像不可能と言われた」ファンタジー作品をスクリーン上に描き出したという事実の前には、多少は目をつぶっても良いと思わせるだけのものはある。
あからさまに「続く」という形で終る作劇は、単独の映画作品としては評価の対象外と言わざるを得ないのだが、三部作が無事に完結した今では、見事に導入部としての役目を果たしていたことは評価して良いだろう。

e0033570_6264380.jpgなお、後に削除されたシーンを追加し、或いは差し替えた長尺版である<スペシャル・エクステンデッド・エディション>もリリースされているが、単純に両方を比較すれば<SEE>を観た後では劇場公開版は物足りなく感じられる。どちらかをと問われれば(特に初見の方には)<SEE>を奨めるが、ではこの劇場公開版が著しく完成度が劣るのかというとそうではない。
より深く作品世界を味わうには<SEE>だが、一本の映画として凝縮されているのが劇場公開版と言うことになるだろうか。結局のところ優劣を競う問題ではなく、どちらを選ぶかは各人の好みの問題ということになるだろう。
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by odin2099 | 2006-12-12 06:26 |  映画感想<ラ行> | Trackback(13) | Comments(20)
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