【徒然なるままに・・・】

odin2099.exblog.jp

「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”

2007年 04月 29日 ( 1 )

e0033570_1255049.jpgホメロスの叙事詩『イーリアス』を豪華キャストで映画化した作品で、『グラディエーター』や『ロード・オブ・ザ・リング』三部作の成功から量産されるようになったコスチューム・プレイの一本。『キングアーサー』、『アレキサンダー』、『キングダム・オブ・ヘブン』らが後に続くことになった。

登場人物やエピソードは原典に比べるとかなり大胆に脚色、あるいは集約されており、その如何にもなハリウッド・テイストには眉をひそめる人も少なくない。一例を挙げれば、クライマックスで描かれる有名な<トロイの木馬>の件は、実は『イーリアス』ではなく続編となる『オデュッセイア』で語られる部分なのである。

上映時間は2時間43分もあり、決して短いとは言えない長さだが、中だるみはほとんど感じない。
登場人物が多い割りに散漫な印象をあまり受けないのは、シナリオが上手く固められているからだろうか。長大な物語を手堅くまとめているなという印象を受け、個人的にはこの改変も支持したい。ただ、ギリシャ神話のダイジェスト本にでも目を通し、トロイヤ戦争に関する部分に目を通しておいた方がより楽しめるかと思う。
劇場では吹替版、ついで字幕スーパー版と2回観に行っているが、ストーリー展開もキャラクターの相関関係もきちんと頭に入った上で観ると、やはり面白さは倍増する。

映画独自のアレンジの最たるものは、「神」を一切排除した点である。
本来は事件の発端を含めて終始ギリシャの神々が絡んでくる物語なのだが、この映画では登場人物の信仰の対象として以外は全く登場しない。一本の映画としてまとめるにはこの改変は成功で、これにより神話や伝説としてではなく、今を生きる人間ドラマとして結実した。

e0033570_126148.jpgそれを支えたのは豪華なキャスティングで、注目は当然アキレス役のブラット・ピットとパリス役オーランド・ブルームに集まるだろうが、むしろ映画を見た人の印象に強く残るのはヘクトルを演じたエリック・バナか。脇を固めるピーター・オトゥールやブライアン・コックスなどの個性的なアンサンブル・キャストの中でも、独特の存在感を示している。
ただ惜しむらくは、男優陣に比べると女優陣が今ひとつ格落ちなこと。製作予算が全て男優陣に振り分けられた訳でもないだろうが、もう少し華のある女優をキャスティング出来なかったものか。

さて、映画では語り部となっているオデッセウスの冒険はまだまだ続く。
出来うればショーン・ビーン演じるオデッセウスはそのままに、続編となる『オデュッセイア』の映画化も望みたい。その際には是非ともナウシカの出てくるエピソードも添えて。
[PR]
by odin2099 | 2007-04-29 12:07 |  映画感想<タ行> | Trackback(12) | Comments(8)

by Excalibur
ブログトップ