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【徒然なるままに・・・】

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「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”

2007年 08月 30日 ( 1 )

e0033570_21332829.jpg007”20世紀最後の任務”は、ヨーロッパの生命線・石油パイプラインを巡るテロリストとの戦い。
実際に計ったことはないけれども、プレ・シークエンスはシリーズ最長ではなかろうか。大金奪取から始まり、次いで石油王キング卿の暗殺、そしてその暗殺者をボンドが追いかける件は、これだけでもお釣りがくるくらいの一大見せ場となっている。
本編もかなり充実しており、これが3作目となるピアース・ブロスナンも軽さがなくなった分渋みが増えて余裕綽々。

対するボンド・アクトレスは、歴代の中で最もメジャーな女優であろうソフィー・マルソー。作品のキー・パーソンとなる石油王の娘エレクトラを流石の貫禄で演じている。
かなり曖昧なキャラクターではあるものの、彼女のその存在感ゆえに魅力的になっている。というよりもボンドも、今回の悪役であるテロリストのレナードも、全て彼女の手の内で踊らされている感がある。ブロスナンも主演クラスのスターとしてかなり輝きを増してきたと思うが、ソフィー・マルソーの前ではそれも霞んでしまっている。

e0033570_21213558.jpgもう一人のボンド・アクトレスはデニス・リチャーズ。キュートなルックスとグラマラスな肢体で売っている彼女は、核兵器の専門家としては全くのミス・キャストだが、それもシリーズのお約束。定番どおりの”ボンド・ガール”の役回りをキッチリとこなし、バランスを保っている。

その反面、ロバート・カーライル演じるレナードは、サイコなテロリストというよりも哀れな人物という面が強調されすぎているし、人間ドラマに重点をおいたせいかボンド自身の価値観や考え方が大きく揺さぶられ、更にMまでもが危機に陥るという展開は、シリーズの持ち味でもあるウィットやユーモア、それにケレンミにも欠けているのがちょっと残念だ。

そしてそれに輪をかけたのが、長年に渡りムードメーカーのQ役を演じてきたデスモンド・リューウェリンが本作完成後に急逝してしまったこと。シリーズ全作に出演はしていないものの、この時点での歴代ボンド5人と全て共演していたのはこの人だけという貴重な存在でもあった。
作品中にも引退を匂わせる科白があるが、これが現実となってしまったことで、それ以後Qの退場シーンが必要以上に重くなり素直に見られなくなってしまった。
by odin2099 | 2007-08-30 21:35 |  映画感想<タ行> | Trackback(2) | Comments(6)
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