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【徒然なるままに・・・】

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「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”

2007年 10月 06日 ( 1 )

e0033570_2122996.jpgアレクサンドル・デュマの<ダルタニャン物語>第三部『ブラジュロンヌ子爵』の中から、「鉄仮面」にまつわるエピソードを抽出して映画化したものである。といってもピンとこない人には、『三銃士』のお話の続々編にあたると言えばわかりやすいだろうか。
<ダルタニャン物語>は第一部が有名な『三銃士』、第二部が『二十年後』、そして第三部が『ブラジュロンヌ子爵(十年後)』と三部構成の大長編物語なのである。
日本ではこの手のコスチューム・プレイは当たらないと敬遠されがちだったが、『タイタニック』が大ヒットした直後という公開タイミングだったことも手伝って異例のヒットに繋がった。恐るべしはレオナルド・ディカプリオのパワー、というよりレオ・ファンの女の子のパワーと言うべきだろうか。

但し太陽王ルイ14世とフィリップの双子を演じたディカプリオの頑張りよりも、映画を見終わって印象に残るのは脇を固めるダルタニャンと三銃士たちを演じるベテラン俳優たちで、殊に事実上の主役であるダルタニャン役のガブリエル・バーンが光っている。他にも何か裏のありそうなアラミス役のジェレミー・アイアンズや、実直なアトスを演じたジョン・マルコビッチ、それに天然児そのものといえるポルトスを演じたジェラール・ド・パルデューといった渋い面々が顔を揃えているが、バーンには一歩譲っている。原作を想定するならばバーンはかなりイメージが違うのだが、原作にはない設定を与えられ、役回りが大きく変化した新たなるダルタニャン像には見事にハマっている。ただ、フランス文学を代表する傑作の映画化にしては、フランス人俳優がド・パルデューだけなのは少し寂しい。

e0033570_21222641.jpgメル・ギブソン監督・主演の『ブレイブハート』の脚本も手掛けたランダル・ウォレスは宗教や歴史に造詣が深いようで、『三銃士』の映画化というより、自分なりの『三銃士』物語の構築を目論み、原作とは様々な部分で異なる独自の解釈、設定を盛りこんでいる。
例えばルイとフィリップの出生の秘密にダルタニャンを絡ませたり(余談だが原作ではフィリップが兄、ルイが弟であるが、本作では何故か逆になっている)、ラウルとクリスティーヌ(原作のルイーズ)のエピソードをあっさりとまとめたり、フーケやシュヴルーズ夫人ら重要な人物を割愛したり、と枚挙に暇がないが、最大の改変はやはりルイとフィリップに訪れる結末が、原作とは全く逆であることだろう。これにより幾分かハッピーエンドになったのはハリウッド風と言えるが、原作の持つ独特の香り、重み、悲劇性といったものが損なわれてしまったのは如何なものだろうか。
ただ「仮面の男」とは鉄仮面を被せられて育ったフィリップのことではなく、心に仮面をつけていた(と解釈される)ダルタニャンである、とする映画の流れからすれば、この改変は一貫性を持ったものだとの断言は出来る。フィリップに感情移入して見ていた観客には違和感なく受け入れられるだろう。
by odin2099 | 2007-10-06 21:25 |  映画感想<カ行> | Trackback(3) | Comments(4)
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