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【徒然なるままに・・・】

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「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”

2009年 01月 12日 ( 2 )

e0033570_21244329.jpg小柄で童顔、ちっとも刑事には見えないという福家警部補の活躍を描いた短編集。警部補は三十過ぎと思われる女性なのだが、下の名前が不明ということもあって、キャラクター・イメージが意図的にぼかされているのはちょっと異色だ。

収録されているのは「最後の一冊」「オッカムの剃刀」「愛情のシナリオ」「月の雫」の四篇で、何れも最初に犯人が提示される倒叙型のミステリー。
本を愛するあまり、図書館を売却しようとするオーナーを殺害してしまう司書、忌まわしい過去を知られ、恐喝相手を殺害する大学講師等々、犯人側の葛藤や動機、背景もきっちりと描かれており、凶悪無比で冷酷な殺人者というタイプの犯人像は皆無なので、逮捕されてメデタシメデタシで終っていないところも良い。

倒叙型の場合、読み手には犯人が明らかにされているので、探偵役が決められたゴールへと向かうのを見ているだけということになってしまいがち。その推理の整合性には目が向かなかったりすることもあるが、このシリーズでも犯人の目星を付けた理由が明示されるわけではないので、何となく辻褄あわせをしているだけに感じる部分もなくはないのだが、彼女が推理を推し進めていく過程は充分に楽しめる。
後はシリーズ・キャラクターの福家警部補が、今のところ得体の知れない人物になりすぎている嫌いがあるので、もう少し感情移入できるというか、キャラクターの幅が広がるともっと面白くなると思うのだが。
by odin2099 | 2009-01-12 21:25 | | Trackback(3) | Comments(0)
アレクラスト大陸の南に位置する”呪われた島”と呼ばれた「ロードス島戦記」を舞台にしたファンタジー作品。

e0033570_947837.jpg以前にも書いたけれども、<グイン・サーガ>を夢中になって読んでいた頃に、他にもこういったジャンルの作品がないかなぁと思い、宮本昌孝の<失われし者タリオン>や田中芳樹の<アルスラーン戦記>と一緒に見つけた作品。
日本におけるファンタジー作品の普及に大いに貢献したと言っても良い作品で、例えば戦士、魔法使い(賢者)、エルフ、ドワーフらでパーティを構成して冒険の旅をする、という今日では当たり前のようなお約束事も、この作品以降定着した感じ。
言うまでもなく『ドラゴンクエスト』や『ファイナル・ファンタジー』等のゲームの影響も大きいし、間接的には『聖戦士ダンバイン』の存在も決して小さくないと思っているけど、活字、映像、、コミック、ゲームといった色々なメディアに跨った影響力は無視できず、おそらくそういった下地がなければ、『ロード・オブ・ザ・リング』が日本で受け入れられることはなかったんじゃないかな。

このシリーズは一大サーガと化して現在も続いているけれど、<ソード・ワールド・ノベル>を幾つか読んだだけで、<ロードス島伝説>やら<クリスタニア>には手を出さずに終った。結局のところ、欧米風のファンタジー、特にロール・プレイング・ゲーム系のストーリー展開やキャラクター設計にはどうも馴染めないようだ。異質な感じがするのかな。また、本格的なあちらのファンタジー作品のことを知るようになると、この作品は全体的にどうしても「借り物」だというイメージが強くなってしまい、それものめり込めない一因かも。
今回は蔵書の整理中に見つけたので懐かしくなって一巻だけ読み返してみたけれど、人物の構成や配置など良く出来てるなぁと思いつつ、キャラクターが類型的というか記号的なのがどうしても気になってしまった。
by odin2099 | 2009-01-12 09:46 | | Trackback | Comments(0)
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