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【徒然なるままに・・・】

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「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”

2009年 10月 09日 ( 1 )

IT会社の社長が自宅で毒殺された。第一発見者は、被害者と愛人関係にあった女性。一方、離婚を切り出されていた妻には完全なアリバイがあった。
果たして真犯人は愛人か、妻か、それとも第三者か。また毒物を入手した経緯は、そして犯行の手口は。
警察の捜査は行き詰まりを見せ、内海薫は<ガリレオ>こと帝都大の准教授・湯川学に助力を乞う。
毒物の混入方法が依然として不明なままだということもあるが、それともう一つ、草薙刑事が美貌の容疑者に魅せられ、冷静な判断力を失っているのではないかという懸念が拭い切れないからだったのだが。
そして湯川が導き出した答えは”虚数解”。
論理的には考えられても、現実的にはあり得ない方法だった・・・。

<探偵ガリレオ>のシリーズとしては5冊目、長編としては2冊目となる。
e0033570_630206.jpg『容疑者xの献身』もかなり手の込んだトリックを用いていたが、こちらは人間関係もより複雑となり、手掛かりは提示されるものの、なかなか深層に辿り着けないもどかしさが逆に心地よい、大仕掛けな作品になっている。

犯人はある程度最初から絞られているので倒叙形式のミステリーに近く、そこに至るまでの草薙と内海のアプローチの仕方の違いが面白い。
また今回の草薙は”恋”をしているので、理論的に組み立てられた結論を感情が否定してしまい、一方の内海は”勘”が拠り所とあって、確証に至らない。
そこへ”論理的思考”の湯川が登場するが、今度は彼には女性の心理が読み取れず、自分が導き出した結論に得心がいかない。
リアリティーという面ではこのトリック、そして犯人像はありなのかどうかという疑問は湧くが、核心に迫っていく件にはぞくぞくする様な読後感が残る。

湯川のキャラクター・イメージは殆ど福山雅治に近づき、作品中には薫がiPodで福山のアルバムを聴く、という楽屋落ち的なサービス・シーンもあったりするが、これもしっかりと脚本を練り上げ、相応しいキャストを得られたならば前作以上に力のこもった映画になりそうな予感もある。
『容疑者xの献身』はヒット作となったが、こちらの映画化は動いていないのだろうか。
by odin2099 | 2009-10-09 06:30 | | Trackback(11) | Comments(0)
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