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【徒然なるままに・・・】

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「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”

2010年 10月 04日 ( 1 )

<田口・白鳥シリーズ>の4作目。こちらも放ったらかしにしておいたら文庫になってしまいました。
おまけに短編『東京二十三区内外殺人事件』を組み込んだ全面改稿版、ということでちょっと悩んだんですが、まあこちらが決定版だろうと文庫版でチャレンジ。
最近こういう作家の方が増えてきてますね。

単行本買った(読んだ)人でも楽しめるという配慮、両方買わせようという戦略でもありますが、未読の人はどっちを手にとっていいか迷うのも事実。
映画でも<劇場公開版>と<ディレクターズ・カット版>、<エクステンデッド・エディション>等々色々あるのと同じですが、作品は生き物だからアップ・トゥ・デートする必要があるのも確かだし、完成度を高めるために手を入れ続けたいクリエイターの希望もわかりますが、一度発表された時点で完成版とすべきで、不完全版を提供した段階でプロのクリエイターとして失格、という気もします。
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それはさておき、今回田口センセイは白鳥圭輔の策略で、医療事故調査委員会に参加させられ、桜宮市から上京し、東京は霞が関の厚生労働省へ乗り込む羽目になります。
多少の事件は起こるものの、その殆どは会議の描写。ミステリー物でもサスペンス物でもありません。これ、シリーズの一作でなければ許されないでしょうね。

またシリーズ物でなければ許されないと言えば、本編には出て来ない姫宮の存在。名前だけは頻繁に出てきて、別任務に携わっていることも語られるものの、この作品自体には全く関係なし。他作品への伏線を張るだけに終わっているので、これだけ読んだ人にはサッパリ。でも、これが<海堂ワールド>なんですよね(苦笑)。

そして個性的なレギュラー、準レギュラーに加えて、今回も新たなキャラクターが続々出てきますが、これがまた次回作以降で活躍するということなんでしょうね。
今まで名前だけしか出て来なかった田口の後輩・彦根が、現在の医療現場や医療制度に対して過激な論戦を張る人物として本格的にデビュー。かなりのレベルで作者をストレートに代弁するキャラクターだとお見受けしましたが、フィクションの世界の中だけでも医療を取り巻く環境は変わって行くのでしょうか?
by odin2099 | 2010-10-04 06:28 | | Trackback(13) | Comments(0)
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