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【徒然なるままに・・・】

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「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”

2010年 11月 21日 ( 2 )

なんともストレートな邦題だが、これでは原作がアガサ・クリスティーの『そして誰もいなくなった』だとは、なかなか気付かないだろう。かくいう自分もすっかりスルーしてしまっていた。

e0033570_23221720.jpg映画化はこれが2作目となるようで、舞台は雪に閉ざされた山荘に変更、招かれたメンバーも、その告発内容も微妙にアレンジが施されている。
ダドリー・ニコルズが書いた前回(1945年版)の脚本を元に、ピーター・イェルダムとピーター・ウェルベック(ハリー・アラン・タワーズ)が執筆。
監督は『ミス・マープル/夜行特急の殺人』などを手掛けたジョージ・ポロック。

DVDのパッケージには「オールスター・キャストで映画化!」と謳われているが、ヒュー・オブライエン、シャーリー・イートン、フェビアン、レオ・ゲン、スタンリー・ホロウェイ、ウィルフレッド・ハイド=ホワイト、ダリア・ラヴィ、デニス・プライス、マリアンヌ・ホッペ、マリオ・アドルフ・・・と、一体何人のスターがいるのやら。
なお、オーウェン氏の声はクリストファー・リーらしい。

主役二人のラブロマンスが強調されていたり、アクション物の要素が加味されていたり、再三「部屋に鍵を掛ける」という科白がある割に、犯人含めて登場人物たちがフリーパスで部屋を行き来しているのが不自然だったり、「テン・リトル・インディアン」の歌詞からは逸れた展開になったり、真犯人が勝手に死んじゃう詰めの甘さが気になったり、音楽がどことなく陽性でそぐわない部分があったり・・・と色々あるものの、白黒映画ならではの緊迫感と相まって、1時間半はそれなりに楽しめる作品になっている。
by odin2099 | 2010-11-21 23:23 |  映画感想<サ行> | Trackback | Comments(0)
脚本:ミヒャエル・クンツェ、音楽:シルヴェスター・リーヴァイのコンビによるウィーン発ミュージカルの、2002年、2005年、2007年に続く4回目の公演。
昨晩、帝国劇場の夜の部を観劇。
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出演は――
 ヴォルフガング・モーツァルト(Wキャスト):井上芳雄/山崎育三郎
 ナンネール(モーツァルトの姉):高橋由美子
 コンスタンツェ(モーツァルトの妻):島袋寛子(SPEED)
 ヴァルトシュテッテン男爵夫人(Wキャスト):香寿たつき/涼風真世
 コロレド大司教(ザルツブルクの領主):山口祐一郎
 レオポルト(モーツァルトの父):市村正親
 セシリア・ウェーバー(コンスタンツェの母):阿知波悟美
 アルコ伯爵(大司教の側近):武岡淳一
 エマヌエル・シカネーダー(劇場支配人):吉野圭吾
演出は小池修一郎。
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e0033570_9122472.jpg”神童”と呼ばれた少年時代から、「レクイエム」作曲中に亡くなるまでのヴォルフガング・モーツァルトの一生を追いかけたものだが、その中でも主軸になっているのは父レオポルドとの関係。
息子は父に愛されたいと願い、父親は手塩にかけた子どもが自分の手の届かない、理解出来ない世界に行ってしまったことを嘆くという、父子の苦悩を描いたものになっているのだ。

その二人の間を取り持つのがヴォルフガングの姉ナンネールで、彼女の存在が緩衝材の役目を果たし、より二人の葛藤を浮き彫りにしている。
ヴォルフガングに姉がいたことは何となく覚えていたが、彼にとって姉がどういう位置を占めていたのかを知らなかったので、ここまで大きな扱いを受けていることに違和感、というよりも新鮮な感覚を味わった。
また”悪妻”のイメージの強いコンスタンツェだが、”悪女”の部分は彼女の母セシリアが担い、家族に翻弄され、仕事と遊びに熱中する夫からも蔑にされる”可哀想な女”として描かれているのも特徴だろうか。

そして『アマデウス』以来、モーツァルトというとセットのように語られる”悪役”のサリエリだが、この作品ではサリエリの「サ」の字も出てこない。
代って敵役のポジションに就いたのはコロレド大司教だが、彼もまたモーツァルトの才能は認めるものの、人間的に許せないという立場を取っているのは、第三者の視点でモーツァルトを語る上での、取り易いポジションなのかも知れない。

e0033570_9124598.jpg幼少の頃のヴォルフガングを模した”アマデ”というキャラクターが登場。これはヴォルフガングにしか見えない、自身の内面の声を具現化したキャラクターで、いわば二人一役でヴォルフガングという人物を表現しようという試みなのだが、これは演出のせいか、今一つ成功していない気がするのが惜しい。このミュージカル版を構成する上での、最大の特徴と言えるだけに。

主演の山崎育三郎は今回からの参加。荒削りながら、情熱的なモーツァルトを好演。いずれ再演の機会もあるだろうが、何年か経ってもっと肩の力を抜いたモーツァルト像も観てみたい、と思わせた。
市村正親は主に前半部分で台詞が聞き取り難い箇所があり、山口祐一郎の台詞回しと歌い方はどうにも自分の感覚とは相容れない部分が多いのだが、それが段々と快感に繋がってくるから不思議なものだ。
高橋由美子はアイドル時代から決して”美声”の持ち主ではなかったが、それでもここまで歌えるようになっていたことに感嘆。
一方で島袋寛子は、もう少し歌えるものだと思っていたが・・・。確かに難易度の高そうな曲ばかりだったような気もするが。

終演後にはファン感謝イベントとしてトークショーを開催。これは全く知らなかったので、休憩時間にアナウンスされた時は驚いた。
武岡淳一の司会進行で、ゲストは山崎育三郎と吉野圭吾の二人。
稽古場や楽屋での様子や本番中のアドリブなどなど、短い時間ながら楽しい話で、カンパニーの雰囲気の良さが感じられた。実際、カーテンコールの際に市村正親がずっこけて見せるなど、和気藹々とした感じは十分伝わってくる公演であったが。
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今年はクンツェ&リーヴァイ作品3本――『レベッカ』『エリザベート』、そして『モーツァルト!』――が続けて上演されたのが、幸いなことに全て観ることが出来た。特に狙っていた訳ではなかったのだが、再演があればまた足を運びたいと思う。
by odin2099 | 2010-11-21 09:15 | 演劇 | Trackback | Comments(2)
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