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【徒然なるままに・・・】

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「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”

2011年 02月 27日 ( 1 )

ウォールデン・メディアによるC.S.ルイス作<ナルニア国年代記>映画化企画の第3弾。原作小説は「朝びらき丸 東の海へ」

e0033570_1123012.jpgファンタジー映画のブームに乗り遅れまいと焦ったのか、第1弾製作の途中から参加したウォルト・ディズニーだったが、第2弾が思うような成績を上げられなかったと見るやさっさと撤退。シリーズ続行も危ぶまれたが、今度は20世紀フォックスがバックに付き、FOX2000ピクチャーズとの提携という形でゴーサインが出された。
前2作の監督だったアンドリュー・アダムソンは製作に退き、マイケル・アプテッドがシリーズ二人目の監督に就任。ルーシー役のジョージー・ヘンリー、エドマンド役のスキャンダー・ケインズ、カスピアン役のベン・バーンズ、それに白い魔女のティルダ・スウィントン、アスランの声を担当したリーアム・ニーソンらが前作からの続投となった。

ということで製作体制が変わったことでどうなることかと思ったが、意外にも前作からの引きも用意され(ピーターの剣やエドマンドの懐中電灯など)、シリーズとしての継続性を意識した内容になっていて一安心。
実は今回、音楽担当者が前2作のハリー・グレッグソン=ウィリアムズからデヴィッド・アーノルドに交代していたことを、劇場でパンフレットを見るまで知らなかったので愕然となったりしたのだが、そこはそれ、<007>シリーズでジョン・バリー(合掌)節を全開に聴かせてくれたアーノルドのこと、前作のスコアを流用しつつも遜色のない音楽を提供してくれている。

それにしても原作とは随分違うお話になっちゃったので、あんな場面あったっけ?こんなアイテム出てきたっけ?この人は誰?・・・と悩むこともしばしば。
まあそれでも毎度のことながら、原作に思い入れがないので映画としては充分楽しめた。
2時間半クラスの超大作として作られた前2作と違い、こちらは初めて2時間を切るコンパクトさ。ポーリン・ベインズのイラスト(岩波少年少女文庫の挿絵として使われているもの)を元に構成されたエンドクレジットも素敵だ。

第1章の白い魔女や第2章のミラース卿のようなわかりやすい悪役キャラクターがいない分、この第3章は旅の目的がわかり難いし、落とし所というか、何を成し遂げればハッピーエンドになるのかというのも見えにくく、最後にカタルシスを味わえるかというと難しいものがあるが、キャラクターの成長物としてはまとまった出来。
だが毎回毎回同じパターンを繰り返されると、些か厳しいものがある。

第1章ではペベンシー兄妹がいがみ合い、第2章ではカスピアンとぶつかり(更に兄妹間でやや険悪な雰囲気にも)、そして今度の第3章ではユースチスが兄妹やカスピアンとゴタゴタを起こすだけでなく、再びエドマンドとカスピアンが対立。
確かに原作でもキャラクターの成長はメインに扱われているが、ここまで衝突はしないし殺伐とした空気が流れることもない。リアルといえばリアルなのかも知れないが、前作で描かれる成長がその都度否定されているようにも受け取れるので如何なものかと。

作品世界の中では第1章から第3章までは3年しか経っていないが、実際の映画製作期間は5年。ということでエドマンドとルーシー、ペベンシー兄妹の年少組二人も大きく成長。年齢設定にはそぐわない部分も出てきてしまったが、この成長の仕方は悪くない。
原作では名前のみで実際には出てこないピーターとスーザンも特別出演。四人が一堂に会する場面はないもののこれは嬉しいサービスで、特にスーザンは隠れたキーキャラクター的存在になっている。個人的にはルーシーが、何故”この”スーザンに憧れているのかが全く理解出来なかったりもするのだが・・・。
原作に出てこないといえば白い魔女も同様で、これは上手い使い方だったかも。

e0033570_11233864.jpg物語の最後にエドマンドとルーシーは、ナルニアへ来るのはこれが最後だとアスランに告げられる。前作のラストでもピーターとスーザンが同じことを言われるのだが、実は最終章となる(順当にいけば)第7章で、彼らは再びナルニアの地を訪れる(但しスーザン以外)。原作通りの台詞とは言えちょっと違うんじゃないかと気にはなっているのだが、これはナルニアへ行く方法というか原因が異なるからなのだろうか。

そしてラストシーン、姿は見せないが、ユースチスの家に遊びに来た少女として”ジル・ポール”という名前が出てくるが、もし第4章として「銀のいす」が映画化されるとすれば、今度の主人公はユースチスとこのジルという少女。作品を見る限り、スタッフは第4章を作る気が満々のようだが、興行成績は右肩下がりのようで先行きは不透明。
以前BBCがTVドラマを製作した時も第4章で終わってしまったので、全7章の映像化はやはり厳しいのかも知れない。

ところで今回、初めて3Dの吹替版で鑑賞したが、ことさら3Dを意識した映像にはなっていなかった。
舞台の殆どが海の上、船の中ということで画面的にもそれほど奥行きは感じられず、手間暇かけた割に効果のほどは疑問だ。単なる話題作りの為だけだったとしたらちょっと淋しい。
by odin2099 | 2011-02-27 11:27 |  映画感想<ナ行> | Trackback(32) | Comments(6)
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