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【徒然なるままに・・・】

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「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”

2019年 04月 07日 ( 1 )

e0033570_09151212.jpgタイトルになっている「バイス」とは「バイス・プレジデント」=「副大統領」のこと。
ただ「バイス」だけだと「欠陥」とか「悪徳」、「悪玉」というような意味を持つらしい。
ジョージ・W・ブッシュ政権下で副大統領を務めたディック・チェイニーの伝記映画である。

通常「副大統領」というのはお飾りで「大統領の死を待つだけの存在」などと言われているらしい。
大統領に万が一のことがあれば、代わって大統領職に就くことになるからだが、チェイニーは上手く立ち回って副大統領の権限を強化、ブッシュ大統領を巧みに操り”影の大統領”と呼ぶほどの権限を手に入れていたのだ。

素行不良で大学を退学になった問題児が、交際していた恋人のリンの叱咤激励で一念発起して政治の世界へ。
型破りの政治家ラムズフェルドの元で学び、結婚後は妻となったリンと二人三脚でめきめきと頭角を現し、紆余曲折を経ながらも頂点に立つ姿を、第三者(でありながら実は密接な関係を持つことになる)の名もなき市民のナレーションでシニカルに描くブラックコメディ。

e0033570_09153280.jpgある意味ではサクセスストーリーで、途中に挟み込まれるフェイクのエンドロールのところまでならばそう言い切っても良いのかもしれないが、その後の展開が酷い。
あの世界同時多発テロからのイラク進攻への流れ。
法を都合よく解釈し、国民へ与える情報をコントロールし、意のままに政治を転がし楽しんでいく様を徹底的に追いかけて行く。

主演のクリスチャン・ベールをはじめとしたキャストたちのソックリぶりにも驚かされるが、たかだか十数年前の事件で、しかも当事者が存命の中でこれだけ茶化した映画を作るなんて、例えフィクションという体裁を整えたとしても日本じゃまず無理だろう。その点アメリカの方が日本よりも自浄作用に長けていると言えるのかもしれない。

誤算と言えば役者陣が好演しすぎたため、本来は糾弾すべき人物が魅力的に見えてしまっていることだろうか。



by odin2099 | 2019-04-07 09:18 |  映画感想<ハ行> | Trackback | Comments(0)
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