後にビデオで完全版がお披露目され、そこで初めて見たのだけれども、途中で睡魔に襲われ敢無くダウンしてしまったという苦い記憶がある。本国でも興行成績は誉められたものではなく、後になって再評価されたようだが、自分も後で見直してから好きになった作品だ。

原作でもイエガーは単独でかなりのページを割いて語られているが、映画版ではそれを一歩進めてイエガーこそベスト、”正しい資質(ライト・スタッフ)”の持ち主であるとまで謳い上げている。そしてそれを体現しているのが、イエガー役のサム・シェパード。砂漠で馬に乗せて登場させる演出も西部劇を髣髴とさせ、正にラスト・アメリカン・ヒーロー。次代を担う存在であるマーキュリー7との対比も鮮やかだ。
一方のマーキュリー7の面々を演じた役者陣、スコット・グレン、エド・ハリス、フレッド・ウォード、デニス・クエイドらも好演。実物と瓜二つとはいかないが、本物らしさを充分に醸し出している。
余談だが、『サンダーバード』の主人公である国際救助隊のメンバー、トレイシー一家の五人の息子たちの名前(スコット、バージル、ジョン、ゴードン、アラン)は、いずれもこのマーキュリー7のメンバーから採られている。

セス・グリーンやマシュー・リラードの主演では、さすがに客は呼べないと思ったのでしょうか。
いつも一緒に遊んでいた幼馴染みの突然の死を切っ掛けに再会した3人が、仲間の追悼を兼ねて子供の頃の夢だった宝探しの旅へ出掛けて行くというお話で、言ってみれば大人版の『スタンド・バイ・ミー』という感じですね。
基本はコメディ映画ではありますが、子どもの心を残しつつも、あるいは少しずつそれを取り戻しながらも、既に子どもではない彼らの心情も描いていて、ホロっとさせてくれる部分もあります。
とはいうものの、しんみりさせてくれる作品とまでは行かず、また副題にあるような抱腹絶倒のコメディというほど陽気でもないのが玉に瑕でしょうか。
ちなみにこの副題、確か劇場公開時には付いていなかったと思います。

ランニングタイムは20分とTVの1エピソードより短いくらいだが、四国ロケを敢行し、スケールの大きな黒十字軍の新たな作戦、この映画でしか見られない新怪人の登場、そしてそれを阻止しようとするゴレンジャーたちの活躍、という具合に見せ場はふんだん。なかなかどうしてバカにしたものでもない。
なお、ロケ地に選ばれているのは高知城やホテル奥道後だが、これは3年ほど前の『仮面ライダーV3対デストロン怪人』とほぼ同じ。地元と製作の東映との間に、何かパイプがあったんだろうか。

最近では”サラリーマン金融”という言葉よりも、”消費者金融”という言葉の方が広まってきているようでもありますが、その、実態があまり知られていない業界の、いわゆる内幕モノです。

まぁ結構微妙な内容ではあるので、笑って読める人やフンフンと感心しながら読める人もいるでしょうが、反対に笑いごとじゃない人や恐怖心さえ覚えてしまう人もいるでしょうね。怒り出す人だとか。
幸い(?)自分は楽しく読むことが出来ましたが(笑)、ただ接客業やサービス業などにつきもののエピソードは、読んでいて身につまされる点も・・・。何処の業界も、苦労は同じなんですなぁ。
また先ほども紹介したように、作者は新人OLさんと呼んでも差し支えないキャリアの持ち主ですが、その割りに自分の仕事や業界の内容をしっかり把握しているのには感心させられます。振り返れば、自分が社会人二年目の時に第三者に向ってこれだけ自分の仕事について語れたかというと、おそらく無理だったろうと思います。その反面、あまりにも上手くまとめられ過ぎている気もしますので、この著者プロフィールは架空のもので、実はベテランの筆になるものではないのかな、という疑問もありますが。
この本を読んでこの業界に対する認識を改め、軽い気持ちで一歩を踏む出す人もいるんじゃないかと思いますが、つい最近も業界大手が業務停止命令を受けているという現実もあります。
やはり「ご利用は計画的に」ということなんでしょうね。

キャラクターの紹介をしたいのか、物語を語りたいのか、はたまた派手なアクションを見せたいのか、どれか一つに的を絞ればもうちょっと面白くなったんじゃないカナ、と思いました。
各人がそれぞれ特殊能力を持っているのはわかりますけれど、具体的にどんな力なのかがわかりづらく、それを活かした見せ場も作れていません。結局、敵味方双方とも、強いんだか弱いんだか良くわからないのです。
せっかくパトリック・スチュアート、イアン・マッケラン、ヒュー・ジャックマン、ファムケ・ヤンセン、ハル・ベリー、アンナ・パキンら多彩なタレントを揃えているのですから、顔見世だと割り切るにしてもちょっと勿体無い話です。

「ガメラ」シリーズはTVでちょくちょく放送していたのを見ていましたが、この作品は唯一の白黒作品なせいか、記憶はありません。17~8年前にビデオで見たのがおそらく最初でしょう。その後で劇場で見る機会も得ましたが、この時は「思っていたよりずっと面白かった」というのが正直な感想でした。
「ガメラ」というと、どうもチャチでバカバカしい、という印象が強かったのですが、映画が始まってすぐにガメラが姿を現し、後は如何にガメラを退治するかに物語が絞られているので一気に見られます。人間側のドラマも、ガメラ退治に知恵を絞る科学者連中が中心で、後はカメラマンと博士の助手とのちょっとしたラブ・ロマンス(?)と、亀狂いの少年が出てくるくらいで、いずれも本筋には絡んできません(このガキが自分勝手で我侭で、見ていてイラついてくるのは許せませんが)。
ミニチュア・ワークは東宝の「ゴジラ」モノに比べればだいぶ見劣りするものの、結構大きなセットを組んだりして頑張っているのは評価しても良いでしょう。
というわけでこの時はかなり好印象だったんですが、今回改めて見てみると・・・弛れる。なんでこんな作品を面白いなんて思ったのだろう?と不思議になるくらいです。感性が鈍ったんですかねぇ。
「名馬シルヴァー・ブレイズ」「ボール箱」「黄色い顔」「株式仲買店員」「グロリア・スコット号」「マスグレイヴ家の儀式書」「ライゲイトの大地主」「背中の曲がった男」「入院患者」「ギリシャ語通訳」「海軍条約文書」「最後の事件」、以上12編を収めた第2短編集です。
題名だけは知っている作品が幾つもありますが、やはり自分はホームズ物はきちんと読んでいなかったんでしょうね、物語のシチュエーション、展開には全く覚えがなく、その分面白く読み終えられました。

結局作者にとって大事なのは、事件の解決ではなく、あくまでホームズの推理自体にあるということなのでしょう。もっともこちとら凡人なもので、ホームズに種明かしされても、ワトソン同様さっぱりチンプンカンプンの場合が殆どではありますが。
ところでこの全集、刊行ペースは3ヶ月に1巻ということに落ち着いたようです。
ということは最終巻の刊行は2008年1月!
せめて2ヶ月に1巻くらいにペースアップしてもらえませんかね?
日本では随分前にWOWOWで放送されたことがありましたが、数年前にDVDが発売されましたので購入。でもそのままにしておいたら、最近特典ディスク付きで再リリースされてしまいました・・・(涙)。
ちなみにタイトルの日本語表記は『ナルニア国ものがたり』が『ナルニア国物語』へ変更され、更に各エピソードの前に「第1章」「第2章」・・・と付け加えられたのは劇場版を意識してのことでしょうね。

多分TVでは1時間×4回という分量だったのでしょうか、トータルのランニングタイムは160分強で、これは劇場版よりも20分ほど長いです。その為物語の運びはかなり原作に忠実で、ストレートに映像化すればこうなるのだろうな、というのは伝わってきます。
しかしその反面物語の展開に起伏が乏しく、TV特有の平板な演出でダラダラと見せられるのはかなり辛いもの。一応一本の作品として見られるように再構成してあるのでしょうが、これならオリジナル通りのフォーマットの方が良かったかもしれません。
もう18年も前の作品ですしTVドラマですから、アニマトロニクスもCGもなし、クリーチャーは全て着ぐるみとメイク、それに一部でセル・アニメーションとの合成で表現されているのは致し方ないですが、キャスティングにも魅力がないのであまりお勧め出来ません。
流行に乗り遅れまいと焦って見る必要はないですが、過剰な期待をせずにボーっと見る分には良いかも知れませんね。かくいう自分も、そのうち気楽な気持ちで「第2章」以降を見るつもりでおりますが。

ジョン・グリシャムのデビュー作は『評決のとき』だがサッパリ売れず、2作目のこの作品からベストセラー作家の仲間入りをすることになった。映画化されたのもこれが最初である。
× × × ×
野心家の若き弁護士、という主人公のキャラクターは正にトム・クルーズに適役で原作のイメージ通りなのだが、残念ながら映画化にあたって大きくキャラクターが変貌してしまった。(「しねま宝島」からの引用)
クライマックスでミッチは、マフィア、FBI双方から追われる事になり、それに完全と立ち向かって遂には両方とも出し抜く、というコン・ゲームの爽快感があるのが原作の筋なのだが、映画ではその件がバッサリとカットされ、安易で落ち着いた生活を求めるかのごとく小市民的な選択をして終わる、というなんとも拍子抜けする結末になってしまっているのだ。
原作をそのまま映画に置き換えるのが必ずしも良いとは思わないが、これによってミッチは「精悍で強かな奴」から「保守的な安定思考の男」になってしまった。
自分勝手で独り善がりなキャラクターこそトム・クルーズの真骨頂ではないのか?原作者も気に入らなかった(らしい)この改悪にも拘らず、『ジュラシック・パーク』、『ラスト・アクション・ヒーロー』といった並居る強敵を相手に大健闘をみせたのは不幸中の幸いか?
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長いお話だけに省略や改変は常ではあるのだけれど、一番面白い部分をソックリ入れ替えてしまうのはどうにも納得いかない。
ジーン・ハックマン演じる上司のキャラクターを膨らませたり、ジーン・トリプルホーン扮するミッチの妻アビーを大筋に絡ませたりする前に、もっときちんと押えておくべきポイントがあったんじゃなかろうか、と思う。
こずるく立ち回って自分を正当化するミッチはミッチじゃない。何度見てもその点は不満だ。
いや、それにしてもやっぱりこういう作品は吹替版ですねぇ。実に見易いですし、映画にも入り込みやすく、今更ながら児童書の映画化なんだなぁと感じた次第です。
前回の記事はこちら。
肝心の吹替版の出来栄えなんですが、それも概ね満足です。
主役の4人の子どもたちも、上手いとは言いませんが味がありますし、ビーバーの麦人も、サンタクロースの大木民夫も、カーク教授の中村正も言うことなし。流石ベテランの演技です。タムナスの関智一も、最初にキャスティングを知った時には意外に思えたのですが、なかなか良い雰囲気を醸し出しておりました。モーグリムの遠藤憲一も独特の存在感がありますし、沢田敏子、池田秀一ら脇を固めているのも手堅い面々で安心。
そして一番の期待、アスラン=津嘉山正種は文句なし。オリジナルのリーアム・ニーソンに決して引けを取っていません。

実は思っていたよりも遥かに好演でして殆どのシーンで納得なんですが、石舞台での演説シーン、あれだけは頂けません。難しいのだろうとは思いますが、あれがアフレコに慣れた人だったなら、もう少し何とかなったんじゃないのかなぁ、と思うと残念です。完全に台詞だけが浮き上がってしまっていますので。個人的にはこの役どころ、榊原良子か勝生真沙子あたりに演じて欲しかったんですがね。
ともあれ、これで当分劇場版『ナルニア』とはお別れ。次に見るのはDVDが発売された時か、続編公開に合せてTV放映される時でしょうか。