おまけにご存知の方はご存知の通り、この二つの劇場は結構ご近所さん。知らないで間違えちゃった人、いなかったのかなあ。

で、こちらは2003年にオランダで初演され、ドイツ、ハンガリー、スイスなどで評判を取った作品の日本初演で、原作は勿論アレクサンドル・デュマ、脚本はアンドレ・ブリードランド、音楽・歌詞はロブ・ボーランドとフェルディ・ボーランド、演出は山田和也。製作は東宝です。

今度このミュージカル見に行くよー、と知人に話したところ、「いかにも”帝劇”っていう感じのキャストですね」と言われてしまいました。まぁ一年の内、三分の一から半分くらい帝劇の舞台踏んでます、というイメージの方がいらっしゃいますもんね。
お話はパリへダルタニャンが出てくるところから始まり、その途中でロシュフォールと因縁が付き、三銃士と知り合って意気投合、またコンスタンスに一目惚れ・・・と続き、アンヌ王妃とバッキンガム公爵との密会、そしてクライマックスはイギリスへ行ってダイヤの首飾りを取り戻す大冒険。
ダルタニャンの父親とリシュリューやロシュフォールとの確執、アトスとミレディの過去話もきちんと盛り込まれ、最後に念願叶ってダルタニャンは銃士になるものの、ミレディもコンスタンスも死んでしまうという、ちょっぴりほろ苦いものになっています。
原作通りといえばその通りなのですが、出来ればコンスタンスは殺さずにダルタニャンと結ばれるというハッピーエンドにしても良かったかなあ、という気もしましたが。
ちなみにこの舞台版ではボナシューが、コンスタンスの婚約者ということで出てきますが、ヒロインが原作では実は人妻だった、というのは御存じない方も多いかも知れませんね。普通に独身のヒロインに改変されてるケースも結構あると思いますので。
日本初演なので音楽に馴染みがなく(あんまり耳に残るメロディーもなかったような)、登場人物が多いのでちょっと散漫な印象も受けましたが、そこは大デュマの傑作が土台なだけに面白かったです。
日本独自のネタで笑いを取るようなシーンも少なく、その点先週観た日生劇場版よりもしっかり作られてるなあと感じました。出ている役者さんも違いますしね。
コンスタンス、なんだか”萌え”系でしたけど、可憐で良かったです。そのため、より悲劇性が高まっています。
アトスは抑え気味な役なので、なんか勿体ない気が。終演後のトークショー(今回は三銃士+ダルタニャンで、この組み合わせが一番多いそうな)では弾けてましたっけ。
ロシュフォールはギャグが不発・・・といってもギャグ・キャラではないしギャグ・シーンもないんですが、なんかそういう感じのもどかしさが。オーバー・アクトに反響があまりない、というか。
圧巻だったのは、やはりこの人、リシュリュー枢機卿。
硬軟取り混ぜて、というより気持ち悪いくらいの怪演ですね。古くからのファンかと思われる年配のご婦人の中には、若干引き気味の方もいらっしゃったようで。
それでも存在感は圧倒的。
ダルタニャンと三銃士、国王陛下と王妃、彼らを向こうに回すのは他にはミレディとロシュフォールしかいない訳ですから、その大芝居にも意味があるというもの。確かに好き嫌いは分かれるとは思いますが。


「ハリー・ポッター」にかこつけただけの、単なるイギリスのガイドブックになっていたらイヤだなあと思っていましたが、流石に雑誌『MOE』の編集部が携わっているだけあって、ありがちな便乗本にはなっていませんでした。
雑誌記事の再録もあるのかな。丁寧な作りには安心感がありますね。
「ロード・オブ・ザ・リング」や「ナルニア国物語」でも、こういう本を作って欲しかったものですが。

しかしちょっと遅かったかなあ。
彼女、まだ25歳のはずですが、あれれれれ?
・・・・・・という感じ。
たまたま、なのかも知れませんけれど、ちょっと残念ですね。


誰にも相手にされない寂しさから、マックスは母親に当たりちらして家を飛び出してしまう。
いつしか大海原へ船を漕ぎ出し、とある島へと辿り着くが、そこはかいじゅうたちの住む島だった。その島でマックスは、不思議な体験をすることに。
オバマ大統領が、イースターの日に子供たちに読み聞かせるために選んだことでも有名になった、”今世紀最高の絵本”と呼ばれるモーリス・センダックの作品を、スパイク・ジョーンズ監督が実写で映画化。
日本語吹替版ではマックスに加藤清史郎(結構上手かった)、”かいじゅう”のキャロルに高橋克実、KWに永作博美を起用した「超豪華吹き替えキャスト」(苦笑)が話題になった。

というより、マックスがかいじゅうたちの島へ行くというコンセプトのみ活かした全くの別物。
楽しい絵本なのだから素直に映画にすれば良いのに、何やら色々詰め込んだ挙句に説教臭いお話にしてしまったのは残念。
無理にお涙頂戴の「感動的味付け」なんかしなくて良いと思うのだけれども、何かいじりたくなるんでしょうかね。
ところどころ楽しい場面もあるし、”かいじゅう”たちもキュートで親しみやすいのだけど(これなら実写版『となりのトトロ』も夢じゃない!・・・と思ったりして)、喧嘩しちゃ仲直りして、また喧嘩して・・・の繰り返しは飽きるし、結局マックスの体験が何だったのかもわからず仕舞い。
原作だと明らかに「夢オチ」なのだけど、映画ではそこまで踏み込んでおらず、マックスを取り巻く現実世界を投影したものなのだろうと示唆するにとどまっている。
まあそれはそれで悪くないけれど、だからって説教臭くなってしまうのは、ねえ?

半自伝的内容あり、プライベートな情報あり、八戸の観光案内あり、そして地方政治家として取り組んできたこと、これから取り組みたいこと等々をまとめたもので、口絵は彼女のカラー写真満載ですが、決してタレント本にはなっていません。
この度の震災からの復興への意欲も大きく綴られています。
こちらが八戸市や青森県の実情を知らないだけかも知れませんし、彼女も綺麗事や絵空事を並べ、青臭い理想論を語っているだけなのかも知れませんが、地方政治に掛ける意気込み、真摯な姿勢は十分伝わってきているように感じました。
白眼視されたり非難されたりすることも多いでしょうし、単に客寄せパンダ的に捉えている人もいると思いますが、仮に客寄せパンダだとしても、彼女の存在によって八戸市が全国から脚光を浴びるようになったのは事実ですし、その経済効果、地域への貢献度は決して小さくないと思います。
また彼女の夢は、「子供たちのなりたい職業ランキングに政治家が入るようになること」だそう。決して平坦な道ではありませんが、その精神を忘れずに頑張って欲しいものです。
といっても、とうとうオリジナル作品は撮らせてもらえなくなったのか、人気TVアニメ(らしい)『アバター/伝説の少年アン』実写映画化プロジェクトの雇われ監督になってしまった。
お馴染み、ハッタリを効かせたサスペンス映画ではなく、アクション・ファンタジー映画なのが目新しい点。

各国にはそれぞれの国のエレメントを操るベンダーと呼ばれる人たちがいるが、中でも4つのエレメント全てを操る者がアバターと呼ばれ、世界に調和をもたらすことが出来るらしい。
火の国は土の国を征服し、今度は水の国を攻めようとしているが、気の国のベンダー、12歳の少年アンこそがアバターだとわかり、彼を捕えようとする――というお話、で良いのかな。なんか見ていてもサッパリだった。
どういう訳か、全編に漂う東洋テイスト。
主人公の生い立ち、出で立ちもカンフーアクション映画みたいだし、そもそも”気”がどうたらこうたらというのは、欧米人が憧れるアジア的要素なんだろうなーと思う。
ただ演じてるのが白人の俳優さん中心なので、独特の味というより違和感が先に立っちゃうのが難だけど。
そして、これはTVシリーズの総集編なのかと思うくらい、ダイジェスト感丸だし。
場面が(場所が)あっちゃこっちゃ飛ぶし、ドラマ的に盛り上がるのかなと思うと次のシーンに切り替わっちゃうし、サラっと流したり、時間を思いっきり省略したりと、見ていてアレレというくらい置いてけぼりの疎外感を味わわせてくれる。上映時間は1時間40分ほどだけど、本当は3時間くらいあったんじゃないの?と思いたくなるほど。ちゃんと脚本練ったのかなあ。
それに続編への引きがタップリ。
お話は一つの山を越えただけで、新しいキャラクターが出てきてENDになっちゃうし、どうするんだ、これ。
三部作構想だそうだけど、興行的には辛かったみたいだし、ラジー賞は8部門ノミネートで、内5部門(最低映画賞、最低脚本賞、最低監督賞、最低助演男優賞、最も3Dの使い方が間違っている映画賞)で受賞と評判も芳しくないようだし、望みは薄そうですな。
製作にフランク・マーシャル、製作総指揮にキャスリーン・ケネディご夫妻とスピルバーグ一派の名前が並んでますが、もうちょっと何とかして欲しかったとこです。
タイトルも最初は「アバター」と付けるはずが、ジェームズ・キャメロン監督の『アバター』と被っちゃったので変更せざるを得なかったのがそもそものケチの付き始めかな。

その為、気特対の存在感は若干薄く、メンバーの出番も少ない上に、全編に一騎を巡ってヒメと亜紀子が疑似三角関係に陥るというラブコメ要素が強いのでテイストはかなり異なる。
とはいうものの、連作短編の形をとっていた前作とは違い、一貫して宇宙からの侵略者と対峙する長編になっているので燃える展開だ。
有名作品のパロというかオマージュは今回も健在で、インフルエンザに感染して全滅したタコ型の宇宙人というのは、これは『宇宙戦争』だろう。わざわざ、当初は火星人だと思われていたが、後にベガ星人と呼ばれ、正体不明の現在では単に異星人と呼ばれてる・・・というのはよっぽどのマニアじゃないとわからないネタかと思う。
一つの侵略は阻止したものの、事件そのものは解決しておらず次なる展開が待たれる。
既に第3部となる『MM9/destruction』が連載中とのことなので、刊行が楽しみだ。

毎回新刊が出るのが楽しみな作家さんになりました。
今回は「神奈川編」、「長野編」、「茨城・福島編」、「宮崎・鹿児島編」、「高知編」、「滋賀編」と番外編の「台湾まんぷくグルメツアー」。
基本「食べ歩き」とか「グルメツアー」とかには興味がない人なんですが、こういうのを読むと行きたくなるし、食べたくなっちゃいますねー。
ほんわかした絵柄と珍道中ぶりも大いに楽しめます。

それ以前に確か映画ではヌードを披露しているし、厳密にはこちらはセミヌード写真集ということになるのでしょうが、20代から30代へという節目に色々と思うところもあるのでしょう。
彼女に注目したのは、番組そのものは殆ど見たことなかったけど『仮面天使ロゼッタ』に主演していた頃。もう12~3年ぐらい前になりますね。
優香、堀越のり、唐沢美帆と一緒に期間限定ユニットのNITROとして活動していたも覚えていますが、正にこれからという時に白血病でダウン。
しかしながら奇跡的な復活を遂げた、というライフストーリーの方が印象的です。
そんなこんなで、これからも頑張って欲しいなあと思うタレントさんの一人です。

歩いて数分の帝国劇場でも『三銃士』のミュージカルを上演しているので紛らわしいですが、こちらは「日生劇場ファミリーフェスティヴァル2011」というイベント企画の一本で、この後はクラシックのコンサートやバレエ、人形劇などが順次上演されていきます。


出演は、ダルタニャンに颯太、アトスに松島健市郎、ポルトスに佐藤弘道、アラミスに野沢聡、アンヌ王妃は星奈優里、ルイ13世に三戸大久、ミレディに鷲尾麻衣、コンスタンスに南海まり、バッキンガム公爵が星智也で、リシュリュー枢機卿は壌晴彦。
アンサンブルキャストも含めるとメンバーはイッツフォーリーズあり、文学座あり、二期会あり、元宝塚に元劇団四季、体操のお兄さん(笑)ありと多彩です。
上演時間は休憩時間含め、二部構成で約2時間半。お話も随分とコンパクトにまとめられています。
銃士になることを夢見てダルタニャンがパリへやってくるところから始まるのは同じですが、その途中でリシュリュー枢機卿と出会って銃士隊が解散になることを知らされ途方に暮れ、更に銃士隊の代わりに国防軍へ入ることを勧められ、その条件として大悪党の暴れ者アトス、ポルトス、アラミスを倒せとリシュリューの腹心ミレディに唆されるというのは大改変で、ダルタニャンと三銃士の出会いもこのお芝居独自のものになっています。
リシュリューの手下に襲われていたコンスタンスを助けたダルタニャンと三銃士は意気投合しますが、騒乱の罪で牢獄へ。そこで王妃アンヌとバッキンガム公との密会を知り・・・というのは、後の流れをスムーズに見せるための演出でしょうね。
クライマックスは、王妃がバッキンガム公に渡したダイヤの首飾りを、ダルタニャンたちが舞踏会の日までに取り戻すことが出来るか?のハラハラドキドキの展開となります。
誰ひとり死なないハッピーエンドなのは、これはファミリーミュージカルならではでしょうか。

場内がどっと沸いたのは、牢獄に囚われていた三銃士とダルタニャンが、狩りに出る国王のお供で外出する場面。
皆、獲物の鳥を入れる籠を背負って出てくるのですが、ポルトスだけは何故か赤いランドセル。
「天使の羽根が付いてるみたいで軽いんだ」なんてセリフがあり、挙句の果てには「ラララ、ランドセルは~ ててて天使の羽根~」と歌い出す始末(流石に歌詞ではなくハミングだけでしたが)。
唯一盛り上がったのが楽屋落ちのシーンというのが何ともはや・・・。