ついでに吹替版も作り直してくれるともっと良かったんだけれども…。

元々シドニー・ルメット監督版に比べると、ポアロが疑わしき乗客全員に聞き取りを行い、”灰色の脳細胞”を駆使するシーンが舌足らずだからで、改めて見直してみてもいつポアロが真相に辿りついたのかがさっぱりわからなかった。
皮肉屋ではない、ストレートに感情をぶつける姿もポアロらしくはない。
が、関係者を一堂に集め、探偵が犯人を名指しするシーンは良いものだ。
ということで次回作も楽しみなのだ。
まあそれよりも無事に12/18に”続編”の「ナイル殺人事件」が公開されるのかが、現時点では最大の謎だ。
<過去記事>






まずは車内や車窓を映してるショットを多用し豪華列車の旅ムードを演出し、次に鉄道会社の重役にしてポアロの友を若返らすとともに、アンドレニ伯爵やアーバスノットをアクティヴなキャラクターに替え、更にポアロにもちょっとしたアクションシーンを用意してテンポをアップ。これはポアロ役がアルバート・フィニーでは考えられない改変で、本作でのポアロの独自色を出すことにも繋がっているが、一方で映画がある意味で”軽く”なってしまった感があるのも否めないところ。
そして本作のポアロは自分で「おそらく世界一の探偵だ」と言ってしまう反面、事件解決の糸口がなかなか掴めず、激高し取り乱し苦悩するという未熟な一面も見せる。
鼻持ちならない変人でありながら、一方で”灰色の脳細胞”を駆使し事件を解決へと導く超人的なキャラクターは現代では受け入れられないと考えたのだろうか。その分ポアロらしさは希薄になってしまっているが。
またシドニー・ルメット版では、ポアロが手掛かりを掴む容疑者からの尋問シーンを丁寧に見せてくれたが、本作では幾つかの省略もあってこれでどうやってポアロが真相に辿り着いたのかが不明確な点があるのだが、どうやら謎解きの妙味は初めから二の次で、ポアロの”人間性”を描くことに主眼が置かれていたような節がある。
ということでミステリー映画としては多少もどかしさが残るものの、全体的な雰囲気は悪くはない。
ラストにポアロはエジプトで起きた殺人事件の為に召還されるが、続編として予定されている「ナイル殺人事件」のリメイク映画版の実現も期待したい。
ところで今回は吹替版を見たが、俳優たちが丁々発止のやりとりを見せる本作のような作品は、吹替版でじっくり見たいもの。
ところがポアロ役で起用された草刈正雄は元々特徴のある声の持ち主であるだけでなく、癖のある個性的な喋り方。それが更に役を作り込んで喋るので、聴いていてポアロにもケネス・ブラナーにも見えずに落ち着かなかった。優劣とは別に吹替に向かない人なのだ。
二枚看板のもう一人、山村紅葉は特別問題がなかっただけに残念だ。
【追伸】
「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」ではあまり女性らしさを感じなかったデイジー・リドリーだったが、改めて美人女優なんだなと感じた。吹替は「スター・ウォーズ」同様に永宝千晶で、このまま彼女で固定化されそう。

ということで、これは一種の密室殺人になるのだろう。
偶然乗り合わせたポワロが事件解決に乗り出すのだが、容疑者にはアリバイがあり、更に殺害されたのは実は5年前に起きた残虐な幼児誘拐殺人事件の黒幕と黙される男だった。
マフィア同士の抗争の結果か、それとも復讐か。
ポワロは最後に二つの解答を示す。
一つは単純なもの、そしてもう一つは複雑に絡み合ったもの……。
最初から胡散臭い登場人物ばかりなのはミスリードを誘う演出だろう。
そしてそれを演じる俳優陣。これは豪華キャストならではの味で、正に大作に相応しいもの。
ポワロが終始尊大で、厭味ったらしく鼻持ちならない奴として描写されてるが、これは物語の悲劇性を強調する効果もあったのかもしれない。
約2時間の映画だが、事件が起きるまでが30分、ポワロの捜査に60分、そして導き出された真相のお披露目に30分、と時間配分も宜し。
ポワロが一人一人を尋問するシーン、今までは何でそんな質問で核心に迫れるのかと思っていたものだが、久々にじっくりと見直してみると伏線はきちんと貼られていたのに気づく。
といってもこれだけの手掛かりから犯人を割り出せる観客がいるとも思えないし、アンフェアだと謗られても仕方ない部分もあるが、娯楽作品としては十分に堪能できる。
ケネス・ブラナーの監督・主演によるリメイク作品がもうじき公開になるが、そちらはどんな出来栄えになっているだろうか。
ちなみにこの物語は、実際に起きた著名な飛行士リンドバーグの子供が誘拐、殺害された事件にヒントを得たとのことだが(更にはオリエント急行が立ち往生したことも実際にあったらしい)、この映画の製作が始まったころはまだリンドバーグは存命だったのだな(映画の公開年に亡くなっている)。
原作小説の発表は事件より2年後のことだが、この作品に対するリンドバーグのコメントは残っているのだろうか。
ところでポワロは途中で部屋を移動しているが、もし当初のまま某氏とずっと同室だったら事件は起きなかっただろうか。
また被害者が誘拐殺害の実行犯ではなく、関係者と直接面識のない黒幕だったからこそ可能な犯行だった、とも言える。色々と考えさせられる一本であった。
<過去記事>
http://odin2099.exblog.jp/3390556/
ポワロとヘイスティングズは旅先でニックという若い美女と出会う。彼女はこの三日間で三回も命拾いをしたと語るのだが、ただの事故だと意に介していない。
しかし今またポワロの眼前で彼女は狙われ、二人は彼女を護るべく行動を開始する。
ニックの住むエンド・ハウスという屋敷に出入りする身近な人物が犯人だと考えたポワロは彼女の従姉妹マギーを呼び寄せるよう進言するが、今度はニックと間違われたマギーが殺されてしまう…。
この作品のポワロは自信たっぷりで大言壮語する割に、予想外のことが起って自信喪失、しかし次の手掛かりを得て”灰色の脳細胞”を働かせて…を繰り返してます。終始後手後手に回ってますね。
それだけ真犯人が強敵だということですが、散りばめられた伏線にはなかなか難渋しました。
特に重要なのは「名前」でしょうけれど、これは日本人にはピンとこないんじゃないでしょうかね。
というワケで読後は「やられた!」という驚きよりも、「なんでそういう展開になるの?」という驚きの方が優ってしまいました。
比較的評価は高い作品のようですが、自分としてはあまり感心出来ませんでしたねぇ…。
そんな時、使用人エドガーがルイスを銃で脅迫するという事件が起きた。一発、二発と銃声が轟くが弾丸は逸れて二人は無事、ルイスは銃が暴発したのだと説明する。ところが別室でクリスチャンが射殺体となって発見された。クリスチャンは毒殺の証拠を掴んだため、犯人に消されたのだろうか?
ヘレン・ヘイズがミス・マープルを演じたワーナー製作のTVドラマ。

まあ正味1時間半のドラマだし、「犯人はあなたですね」だけが見たかったといっても過言ではないので、その点では大いに楽しめた。
往年の大女優ベティ・デイヴィスや、ジョン・ミルズ、レオ・マッカーン、ライアン・ラングランド、ドロシー・テューティンらが出演。鍵を握っているキャラクターに扮しているのは若かりし頃のティム・ロスだ。
製作総指揮・脚本がジョージ・エクスティン、監督はディック・ローリー。
【ひとりごと】
ヘレン・ヘイズってどっかで見たことがあるなあと思っていたら・・・そうか、『大空港』のタダ乗りお婆ちゃんだ!