この平成「ガメラ」三部作には昭和天皇の崩御、それに阪神淡路大震災や地下鉄サリン事件の影響が色濃く出ていて、当時はそれがリアルに感じられたのですが、やはり今の感覚とはちょっと違うかなと感じる部分も出てきました。
東日本大震災を経て作られた「シン・ゴジラ」の方がよりリアルに感じられるのは、時代の流れを考えれば当然といえば当然で、どちらが良いとか悪いとかではなく、表現方法は常にアップデートしていくものだということでしょう。
もう何年かすれば「シン・ゴジラ」も古さを感じるようになるかもしれません。

「あるよ、ゲド戦記の後ろ!」
穂波碧のセリフです。
これ、当時の特撮ヲタというよりファンタジーヲタの間で結構流行ったとか。
この作品の公開から5年後に「ハリー・ポッター」と「ロード・オブ・ザ・リング」が日本でもヒットしたのはこの時の下地があり、更に10年後には「ゲド戦記」そのものが同じ徳間書店傘下(当時)のスタジオジブリでアニメ映画化されたのは……いや、戯言はこの辺りで止めておきます。
ちなみにこの映画の自衛隊員は、本物の自衛隊の人、プロの俳優さん、エキストラの皆さん、が入り混じって演じているとのことですが、そのエキストラの中には三部作全てに出演している渡辺裕之が参加するコンバットチームの皆さんもいるそうです。
金子監督曰く、本物よりもカッコよかったのだとか。
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人気あるんだし、これも日テレが製作にかんでるんだから、ジブリばっかりじゃなくたまには「金ロー」でやればいいのにねえ。

でも多少ファッションやら小道具だとかが気になる程度で、内容は決して古びてませんね。
今でも十二分に面白い無駄のない一篇です。
最初にちょこっとだけ出てくる本郷功次郎と久保明の二人のやり取りが、弥が上にも怪獣映画のムードを醸し出してくれます。
片や大映の「ガメラ」、片や東宝の「ゴジラ」、黄金期を支えた作品に何本も主演してる両雄の(画面越しの)共演はやはり締まります。
そしてガメラとギャオス、二つの場所で別々の事件が起こり、メインキャラクターも二つのチームに分かれ、その行動は交互に描かれます。
やがてこの二つは交差し、そして遂に合流、ボルテージは一気にあがります。
よくよく考えてみるとこの二つの結び付けはかなり強引だったりもするのですが、映画はテンポ良く進んでいきますので映画を見ているうちは気になりません。
脚本、演出、編集、全てが上手いですね。
ただこの三部作、いやこの第一作の出来が良すぎただけに、その後の「ガメラ」シリーズを作る上での枷になってしまっているようにも感じられます。
三部作の後に作られた作品は、旧来のファンにも三部作のファンにも素直には受け入れられず、数年前から動き出していた更なる新作映画の企画も、その後の進展がありません。
本来なら今年がガメラ誕生から50年というメモリアルイヤーだったので、復活させるにはちょうど良いタイミングだったのですが。
【ひとりごと】
斉藤審議官、変な人だし頭の固いお役人なのかあと思っていたのだけれども、判断力や決断力、それに意外にも柔軟な思考力を持ってますね。
民間人であり若輩者でもある長峰を差別的に扱うことなく、率先して彼女の意見を取り入れようとしてます。
むしろ佐竹一等陸佐の方が物腰が柔らかいようでいて、やや杓子定規的な対応が見られるようで。
<過去記事>
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『1』は怪獣映画ファン向け、『2』は戦争映画ファン向け、そして『3』は…なんだろう?
押井守とか庵野秀明の世界観に興味を抱きつつも、今一歩踏み込めない層向け、と言ったら違うだろうか。
『パトレイバー』や『エヴァンゲリオン』には乗り損ねた、或はアニメにはハマれない人たち向け……いや、違うか。
ただ『1』や『2』の時と違ってSFファンには受けが悪いだろう。
伝奇モノ好きには理解しやすい世界感か。
<平成ガメラ>三部作は、物語は繋がっているものの、作品ごとに見せる”貌”は随分と異なる。その多様さが好きという人もいれば、その多面性に付いて行けないという人もいるだろう。
特に『3』は飛躍し過ぎと感じた人が多かったようで、前2作に比べると評価は多種多様。
しかしながら3作通して描かれたものも多く、どれもこれも「ガメラ」だったのだなあ、と思ふ。そしてそれは次回作『小さき勇者たち/ガメラ』の、あまりにもかけ離れた世界観への違和感となって表れてしまう。
【ひとりごと】
公開から15年、斬新だったニュー京都駅も、今では当時と微妙に違う姿を見せ始めている。
しかし変わらないのは、絵になる空間であるということ。そして京都を舞台にしながら、駅とその周辺(東寺辺り)を除いて描写がないことが逆に珍しい。
「ゴジラ」「ガメラ」両シリーズ共に、観光地ムービーの側面を持っているのはもはや伝統と呼べるだけに。
過去記事はこちら。

ミリタリー色の強さに懸念を表明する方もいらっしゃるが、フィクションの世界に賢しらに口出しするのは如何なものか。
現実世界で起きて欲しくないからこそ、フィクションの世界で十分に遊びたいものだ。
また、どちらかというと”強い女”のイメージがある水野美紀が、なんとまあ可憐であることよ。
色々な意味で奇跡的な一本。
過去記事はこちら。