-
[ 2006-03 -19 22:16 ]
小説の方も、スコット・トゥローの原作を手始めに他のトゥロー作品(『立証責任』、『有罪答弁』等々)を読み、次いでジョン・グリシャム作品にも手を伸ばすようになったのだから、今日の自分の趣味・趣向を形成する上で極めて重要な作品の一つなのだ。
映画を見て、それから原作を読み、というパターンだったので、後で原作とは物語もキャラクターの設定もかなり違うなとは感じたものの(特にキャロリン・ポルヒーマスの設定)、それで自分にとっての映画の価値が下がることはなかったのは幸いだった(原作ファンにはこの映画への不満を持つ人も少なくないようだが)。仮に原作を先に読んでいたら、主人公のラスティ・サビッチにハリソン・フォードを、サンディ・スターン弁護士にラウル・ジュリアをイメージしたかどうかはわからないが、殊この映画に関しては好配役だと思う。個人的にはさらに、サビッチ夫人役であるボニー・ベデリアを推したい。この作品の前に『ダイ・ハード』でマクレーン夫人を演じて注目されていたが、この作品ですっかりお気に入り女優となってしまった。ジョン・ウィリアムズの、抑えたテーマ曲も効いている。
トゥローは、今では数多いる「現役の法律家でありながら作家としてデビュー」というコースの先駆者で、同じコースを歩んだグリシャムは結構ライバル視しているようだが、面白いのはこの映画のプロデューサーであるシドニー・ポラックがグリシャムの『法律事務所』を、監督のアラン・J・パクラが『ペリカン文書』を、それぞれ監督していることだろうか。しかもパクラは『法律事務所』を映画化しようと動いたが先に権利を押さえられてしまったため、次の『ペリカン文書』は小説完成前に権利を押さえたというのだから、何やら因縁めいたものを感じてしまう。
