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【徒然なるままに・・・】

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「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”

タグ:ドキュメンタリー ( 139 ) タグの人気記事

前半はジョルジュ・メリエスのライフストーリー。
リュミエール兄弟のシネマトグラフに刺激を受けたメリエスは、自らも映画製作に乗り出し、奇術師出身ならではの多彩なアイディアを盛り込んで人気作を生み出してゆく。
メリエスこそ正しく「特撮映画の父」「SF映画の始祖」と呼ぶに相応しい存在だろう。
やがて彼に影響を受けた同業者が次々と現れ、メリエスは濫作を余儀なくされて質の低下を招き、やがて観客からも飽きられてしまい失意のうちに業界を去るのだ。

『メリエスの素晴らしき映画魔術』(2011)_e0033570_20002491.jpg映画史に残る人物であることは承知していたが、具体的に何をどうした人なのかということは知らなかったのだが、その栄光と挫折、波乱万丈の人生はベタで陳腐な表現ではあるが、やはりそれだけで”映画的”だと感じた。
また黎明期から映画はカラー表現に挑んでいた。
当時は勿論白黒のフィルムだったが、これに一コマ一コマ、職人の手によって丁寧に着色することでカラー映画を実現していたのだが、その中にはメリエスの代表作「月世界旅行」のカラー版も存在していた。
後半はこの発見されたボロボロになったフィルムを、実に十数年の歳月をかけて丹念に修復、復元する作業にスポットを当ててゆく。

これまた20世紀の初頭に早くも”カラー映画”という概念があったことに驚きを感じた。
映画はまず音が付き、それから色が付いたという風に理解していたのだが、疑似とはいえこれはこれで立派な”カラー映画”であることは間違いない。
自身の映画史の認識を改めなければなるまい。

映画館での上映の際は先ずカラー版の「月世界旅行」が上映され、続いてそのバックボーンを解き明かすこのドキュメンタリー映画が上映されたようだが、DVDではこちらが先に収録されていて、修復の過程を見せた後でじっくり本編を見せるという構成になっている。

というわけで久々に「月世界旅行」もカラー版で見直したのだが、画面に不釣り合いな音楽は煩く感じたし、肝心のカラー化も奇麗というより派手で毒々しいという印象を受けた。
時代背景を考えれば歴史的意義はあるだろうが、純粋に一本の作品として楽しむならば白黒版の方が想像の余地が残されており、幻想映画としての完成度は高いように思うのだが如何だろうか。


by odin2099 | 2021-01-15 20:02 |  映画感想<マ行> | Trackback | Comments(0)
「コトラ家族と世界のいいコたち」に続く劇場版「世界ネコ歩き」の第2弾で、今度の舞台は北海道の牧場とミャンマーのインレー湖。
テレビ番組の再編集だった前作と違って、今回はほぼ撮り下ろしの新作映像なんだそうです。

『岩合光昭の世界ネコ歩き/あるがままに、水と大地のネコ家族』(2021) _e0033570_08121778.jpg北海道の牧場では仔牛牛舎で暮らす猫の大家族にフューチャー。
親子三代の共同保育の様子と、数十メートル離れた場所にある親牛牛舎で暮らす家族の物語。
同じ牧場内にありながらも二つの縄張り。
互いの交流は殆どない、という中でのそれぞれの生活に密着していきます。

ミャンマーではあたかも一つの家族のようなヒト家族とネコ家族を追いかけます。
猫夫婦にそっくりな息子と娘。
お父さん猫が家族と同居するのはかなり珍しいとのことです。
そしてこの猫と暮らす人間一家。ごくごく自然に絆で結ばれているようです。

どちらもそうですが、如何にも「飼ってます」というのではなく、自然と近くにいる、という関係性には憧れますねえ。
こういうのを見てしまうと猫を飼いたくなってくるんですけど、ガマンガマン…。

ところで前作をもう一度見てみたいなあと思ったのですが…
DVDやBlu-ray、出てないんだぁ。

【ひとこと】
前作もそうでしたが、こういった作品の”語りかける”形式のナレーションって実に難しいなと感じました。
表現力が伴わないとホント、むず痒くなるというか、気持ち悪いものです。


by odin2099 | 2021-01-11 08:16 |  映画感想<サ行> | Trackback | Comments(0)
レジェンドから新進気鋭まで、ハリウッドで活躍するスタントウーマンたちのインタビュー集。
女優のミシェル・ロドリゲスが、製作総指揮のみならず案内役としても参加。

『スタントウーマン/ハリウッドの知られざるヒーローたち』(2020)_e0033570_18145851.jpg出演しているのはエイミー・ジョンソン、アリマ・ドーシー、シャーリーン・ロイヤー、ジーニー・エッパー、ジュール・アン・ジョンソン、ジェイディ・デイビッド、デヴン・マクネア、ハイディ・マニーメイカー、レネー・マニーメイカー、ドナ・キーガン、ミシェル・ジュビリー・ゴンザレス、シェリル・ルイス、ジェニファー・カプート、ケリー・ロイシーン、ハンナ・ベッツ、リー・ジン、タミー・ベアード、ケイトリン・ブルック、ジェシー・グラフ、メリッサ・スタッブス、デビー・エヴァンス、ドナ・エヴァンス、ラファイエ・ベイカー、アンジェラ・メリル、ケイシャ・タッカー、マリッサ・ラボッグ、ヴァイア・ザガナス、キリアナ・スタントン、ジェニファー・マイレーア、ゼンダラ・ケネディの諸氏。

スタントウーマンの歴史は差別との戦いの歴史でもあった。
性差別、人種差別…。

映画創成期、女優は何でもやってきた。
ところが映画は金になることがわかると男性がワッと業界に参入し、完全なる男社会を作り上げてしまう。
女性キャラクターの危険な場面でも、代役は女装した男性スタントマン。

その中で少しずつ女性にも活躍の場が与えられはじめ、彼女たちは男性顔負けの熱演を披露し、地位向上に努めるのだが、それに対しても露骨な圧力が加えられる。
そんな日々が当事者たちの口から、生の声で聞くことが出来る。

また過酷な現場では怪我は日常茶飯事。
時には痛ましい事故も起こる。
仲間の死。
もし自分がその場であーしていたら、こーしていたら防げたかもしれないという悔恨の情はずっと彼女たちに付きまとう。

惜しむらくは彼女たちの生の声を拾うことに注力し、その彼女たちのパフォーマンスを殆ど見せてくれなかったことだろう。
映画製作会社、テレビ放送局その他、実際の映像を使うには権利関係の問題もあって難しかったのだろうが、レジェンドたちのレジェンドたる所以、彼女たちの栄光の証を是非とも見せて欲しかったものだ。


by odin2099 | 2021-01-09 18:18 |  映画感想<サ行> | Trackback | Comments(0)
『ゴッホとヘレーネの森/クレラー=ミュラー美術館の至宝』(2018)_e0033570_21474225.jpgオランダ有数の資産家ヘレーネ・クレラー=ミュラー。
ファン・ゴッホの作品に魅せられ、個人収集家としては最大規模である彼女が開設した美術館の収蔵品の数々と、ゴッホの人物像に迫るドキュメンタリー映画。

最初はヘレーネがゴッホの作品を知り、彼の作品のコレクターとなり、遂には美術館を設立に至る過程を描き、後半はそれらの作品群を残したゴッホ自身のライフストーリーを描くという構成なのだが、その切り替えが今一つ分かりにくい。

ヘレーネにスポットを当てるのか、美術館の紹介に徹するのか、それともゴッホの為人を語るのか、何れかにポイントを絞るべきではなかったかと思う。

ただ、これまでゴッホという人物にも作品にもあまり関心を抱いていなかったのだが、知らない作品の中に何点か興味を惹かれるものも見つけられたので、自分の興味の対象が広がったという点では感謝したい一遍である。
個々の作品を接写しているのもこの映画の特徴かと。


by odin2099 | 2021-01-03 21:49 |  映画感想<カ行> | Trackback | Comments(0)
『NETFLIX/世界征服の野望』(2020)_e0033570_21040150.jpg宅配レンタル会社としてスタートしたネットフリックスが、やがて業界最大手のブロックバスターとの競争に競り勝ち、ネット配信に転じてからは単に人気作、話題作を確保するだけでなく、遂には自ら提供するコンテンツの制作にも乗り出していくという、創業から今日の怒涛の快進撃までを関係者へのインタビューで綴ったドキュメンタリー映画。
”世界征服の野望”とは少々大げさな邦題な気もしないでもないが、現在の勢いからすれば当たらずとも遠からじというところか。

面白いのはこの映画、インタビューに応じてるのは皆かつてネットフリックスに在籍していた人物であること。
創業メンバーといえども例外はない。
逆に創業者の一人であり現在のCEOである人物をはじめとする現職のネットフリックスの社員は一人も登場しない。

またネットフリックスに敗れ去ったブロックバスターの旧経営陣たちも、当時の熾烈な戦いぶりを語っているのだが、倒産したブロックバスター側の関係者は当然としても、勝者であるはずのネットフリックス関係者にしてからサクセスストーリーとは無縁の敗者の弁にしか聞こえないのが不気味だ。
真の勝者とは、この映画の中では誰も口を開かなかった現ネットフリックスの経営陣だ、ということであるならば業界の闇の一端を垣間見た思いである。

そして勝者ネットフリックスといえども、行く手にはアマゾンやディズニーなど海千山千の強敵が待ち構えているのだ、というところで締め。
決してネットフリックを褒めそやすだけでなく(もちろん腐してもいない)、既に新時代が到来しており、決して安閑としてはいられないのだと明言して終わっている。


by odin2099 | 2020-12-31 21:06 |  映画感想<ナ行> | Trackback | Comments(0)
UFO映画の第二弾。
これまたテレビ番組の再編集か。

『UFO真相検証ファイルPart2/衝撃!カメラに映った宇宙人たち』(2019)_e0033570_19231736.jpg今度はメキシコのジャーナリストでUFOの研究家という人物を引っ張り出し、彼がホストを務める番組の中から宇宙人との遭遇事件をピックアップ。
貴重な映像と共にご紹介、という触れ込み。

確かに聞いたこともない事件の、見たこともない映像が出てくるという点では興味深い。
数年から二十数年前といった比較的新しい事件が多いし、当事者や関係者のインタビューも少なくはない。

ただ相変わらず「見たい絵」は見せてくれないし、ナレーターや番組ホストががなりたてるだけで進行してしまう。
字幕を追うだけで一苦労だし、単調なのでついつい睡魔に襲われる。

作品の方向性はやや違うとはいえ、かつて矢追純一が手掛けた番組が如何に見せ方(と、視聴者の興味の引っ張り方)が上手かったかを実感させられる。
真実を追求しようという真摯な態度は買うが、それだけでは見世物小屋に客は来ないのだ。


by odin2099 | 2020-11-10 19:26 |  映画感想<ヤ行> | Trackback | Comments(0)
エッシャーの名前に惹かれて鑑賞。
といってもエッシャーといえば”騙し絵”の人、というくらいの知識しかなかったのだけれども。

『エッシャー/視覚の魔術師』(2018)_e0033570_19514507.jpg内容はと言うと、エッシャーの作品を紹介することよりも、エッシャー個人の為人を追いかけたドキュメンタリーになっていた。
本人が遺した多くのメモや日誌、手紙などから彼の人生を追体験するという趣向。
そして一人称のナレーションがボイスオーバーの形で流れてくる。

もちろん彼の作品も数多く紹介され、風景を模したものはその実景とオーバーラップさせたり、トリックアートはCGアニメーションとして動かしてみたり、合間合間には家族のインタビューが挿入されたりと一本の映画として飽きさせない工夫も施されている。

彼がどんな人生を送り、どんなことからインスピレーションを得、それをどのように作品に昇華していったのか、そういった過程を目の当たりに出来る知的興奮を味わうことが出来る。
「自分は芸術家ではなく数学者だ」といった彼の言葉が印象的だった。


by odin2099 | 2020-10-16 19:52 |  映画感想<ア行> | Trackback | Comments(0)
宇宙人によるアブダクション(拉致事件)について、UFOの研究家や体験者たちの証言などを集めたドキュメンタリーなんですが、これは元々劇場公開を目的に作られたものなのかな?
それともケーブルテレビなどで放送された特番か、あるいはビデオ発売を目的にしたものなのかもしれませんけれど、よく日本での劇場公開にこぎ着けたものです。

『UFO真相検証ファイルPart1/戦慄!宇宙人拉致事件の真実』(2018)_e0033570_16212130.jpg「ベティ&バーニー・ヒル夫妻誘拐事件」と「トラヴィス・ウォルトン事件」を中心に幾つかのアブダクションを取り上げ、当時の関係者や専門家のインタビューや懐疑論者の意見も紹介していますが、その殆どはこの映画のためのものではなさそう。
またひたすらナレーションで進行し、再現映像などもなし。
再現したイラストは挿入されますし、事件を題材とした映画のフッテージも流用されていたりもしますが、”画”で見せようとする工夫がありません。

学術的な部分を尊重したのかもしれませんが、この手の作品にはハッタリも必要。
特にこの<日本公開版>はナレーションと説明テロップ、両方の日本語字幕が矢継ぎ早に所狭しと映し出されるのでなかなか頭に入ってきません。
せめて吹替というか、ヴォイス・オーバーの措置は取って欲しかったですねえ。
目新しさはないですが、UFO好きならばなかなか興味深い話もありますので、なんか勿体なかったです。
近々Part2も公開される予定ですが、さて、どうしようかなあ。

【ひとりごと】
ヒル夫妻の姪が研究者になっているのは知りませんでした。
おまけに自身もアブダクションの体験者だとか。
これが事実だとしても、こういうのって事件の信憑性を貶めてしまいかねない気もします。


by odin2099 | 2020-10-10 16:25 |  映画感想<ヤ行> | Trackback | Comments(0)
『建築と時間と妹島和世』(2020)_e0033570_21261436.jpg大阪芸術大学に誕生した新校舎。
その構想から完成までの約3年半、建築家・妹島和世に密着したドキュメンタリー映画。
映画そのものの製作も大阪芸術大学だ。

最初のイメージボードの段階から、数々の模型製作を経て着工。
そして工事が進む模様を定点カメラでずっと追っているので、無から有へ、そして少しずつ形を変え、整っていく姿を目の当たりに出来るのは面白い。
最後には完成した建物の内部も(一部だけだが)見ることが出来る。

上映時間も1時間と短めだし、設計や建築そのものにはあまり興味がなくても、建物好きやミニチュア好きには刺さる映画ではないかな、と思う。

余談だが、この映画を渋谷のユーロスペースへ見に行ったのだが、何故か急遽上映劇場が変更。
チケットはユーロスペース2で取ったのだが、案内されたのはユーロスペース1の方。
劇場そのものに不具合があったというよりは、販売の際に間違えたっぽい?
自由席ならともかく、全席指定の昨今ではあってはならないミスだろう。
幸い全席埋まることはなかったのだが。


by odin2099 | 2020-10-06 21:27 |  映画感想<カ行> | Trackback | Comments(0)
はじめ、映画には音がなかった。
そこで劇場で音楽を生演奏したり、効果音を即興で入れたりと様々な試みがなされたが、ついにトーキー映画が誕生。
その後、”音”――台詞、効果音、音楽…それらの重要性は映画の製作過程の中で増していき、その表現の方法、手段も日々進化し続けている。

『ようこそ映画音響の世界へ』(2019)_e0033570_19191168.jpg「ジャズ・シンガー」「キング・コング」「鳥」「スパルタカス」「市民ケーン」「スター誕生」「ゴッドファーザー」「スター・ウォーズ」「イレイザーヘッド」「地獄の黙示録」「普通の人々」「トイ・ストーリー」「ジュラシック・パーク」「リバー・ランズ・スルー・イット」「トップガン」「マトリックス」「ロスト・イン・トランスレーション」「パイレーツ・オブ・カリビアン」「インセプション」「ブラックパンサー」「ワンダーウーマン」「ROMA/ローマ」等々…

往年の名作から近年の話題作までの豊富なフッテージを使い、著名な映画監督、音響デザイナー、音響編集主任、作曲家、ADR監督、ダイアログ編集主任、効果音ミキサーといった立場の人たちが、自身の”音”へのこだわりについて語るドキュメンタリー映画。
取材に応じているのはウォルター・マーチ、ベン・バート、ゲイリー・ライドストローム、ジョージ・ルーカス、スティーブン・スピルバーグ、デヴィッド・リンチ、アン・リー、ロバート・レッドフォード、ライアン・クーグラー、ソフィア・コッポラ、アルフォンソ・キュアロン、バーブラ・ストライサンド、ピーター・ウィアー、アンドリュー・スタントン、ジョン・ラセターetcetcといった豪華なメンバー。

各々の作品製作の裏話的な楽しみ方も出来るが、やや大げさに言うとこれを見ることによって今後の映画の見方が大きく変わるかも知れない、そんな一本である。


by odin2099 | 2020-09-18 19:21 |  映画感想<ヤ行> | Trackback | Comments(0)
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