【徒然なるままに・・・】

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「きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写してたれにか見せん」(森鴎外『舞姫』) HNは”Excalibur(エクスカリバー)”

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公開劇場が少なく上映期間も短かったので見逃してしまった一本。DVD&Blu-rayのリリースを待っておりました。
「人類は過ちに気づく」とか「史上最もセンセーショナルな謎解き」とか「あなたの知識は全て嘘である」といった具合に、なかなかそそられる勇ましいコピーが並んでますね。こういうの、大好物なんです。意外だったのはこれがフランス映画だったということでしょうか。

e0033570_19552390.jpgギザの大ピラミッドは本当に王様のお墓だったのかとか、いくらなんでも20年で建設は無理だろうといった素朴な疑問から始まりますが、イースター島へ行ったり、南米をさ迷ったり、エジプト史の専門家を呼んでコメントを取ったり、とただのトンデモ映画かと思いきや、真っ当なドキュメンタリー映画の体裁で作られておりました。

ピラミッドのサイズや数字の比率の中に円周率や黄金数が秘められている、とか言われてしまうと実感がわかなくなるのでお手上げなんですが、例えばイースター島やマチュ・ピチュ、ナスカ、それにギザなどを繋ぐとこれが直線で結ばれ(!)、赤道とほぼ等しい長さで地球を一周するんだ、なんていう話は「おおっ!」と唸らされました。中国にピラミッドがあるなんていうのも初耳でしたし。

それに建築家や物理学者、数学者、天文学者なんかにそれぞれの専門分野からピラミッドのことを語らせるのもなかなかアイディアでしたね。その結果エジプトやピラミッドの専門家がみんな頭の固い石頭にしか見えなくなるのも監督の狙いでしょう。

ただそれに対する「映画としての回答」が、匿名で出てくる映画の「ブレーン」という人の自説のみなのが弱いですね。名のある学者なのか、それとも市井のアマチュア研究家かなんかなのかわかりませんけれど、もうちょっと多角的に検証してくれませんと。宇宙人説は取り上げていませんが「超古代文明」に触れるのならば、思いっきりハッタリをかました方が映画としては盛り上がったかも知れませんねえ。
でもやっぱり好きですよ、こういう作品。矛盾するようですが、大真面目に作っている姿勢も好感が持てます。専門家は目くじらか、さもなきゃスルーのどちらかでしょうけれど。
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by odin2099 | 2012-07-07 19:55 |  映画感想<ハ行> | Trackback(6) | Comments(0)
2001年に倒産したエネルギー産業の雄・エンロンを取り上げたドキュメンタリー映画です。
負債総額2兆円、失業者2万人、今世紀最大とも言われた全米7位の巨大企業の崩壊は何故起こったのか、元社員や関係者、アナリストなどの証言を元に構成されています。
もう10年以上前の事件ではありますが、ニュースで大きく報じられていたのをまだ覚えています。ただ同じ頃に例の”9.11”同時多発テロ事件も起きていますので、どちらかというとその陰に隠れてしまった感はありますが。

e0033570_2252840.jpg最初のうちは純粋に利益を上げようと始めたのかも知れませんが、結果が出て、企業規模が拡大して行くと、更に大きなものを求めるようになっていきます。
方の抜け道を探し、政治家にすり寄り、綻びが出てくるとそれを隠蔽するために新たな手法・手段を用い、結果として多くの人が職を、財産を失いましたが、結局トップは巨額のマネーを手にし、自分には無関係だと言い張ります。

中でも電気料金を上げ利潤を追求するために、カルフォルニア州で計画的な停電まで実施したのは、これは立派なテロ行為だと思います。
住民からの反発の声が強くなると、親子二代で親密な関係になったブッシュ大統領に働きかけ、国としての介入を見送らせるという周到さ。
これに反発した州知事を徹底的に非難し、代わって当選したのが、かのアーノルド・シュワルツェネッガーだということを知ってしまうとかなり複雑な気持ちになります。

その後、多くのトップには有罪判決が下されていますが、未だにアメリカ経済はこの時の痛手を引きずっていることを鑑みると、”今世紀最大”の冠も強ち誇大な表現とも言えないようですね。
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by odin2099 | 2012-03-13 22:52 |  映画感想<ア行> | Trackback(5) | Comments(0)
2010年のモントリオール国際芸術映画祭で審査員賞受賞の作品です。日本でも同年に劇場公開されています。

e0033570_21225365.jpgフェルメールの「牛乳を注ぐ女」やレンブラントの「夜警」など、自分でも知っているような様々な著名作品を抱え、大英博物館やルーヴル美術館に比肩しうると言われているのがオランダのアムステルダム国立美術館。
ところがここは2004年から改築工事が始まったものの、未だに閉鎖中なのだそうだ。

この作品は本来、改築工事の記録映画となるはずだったのですが、工事は一向に進みません。
国際的なコンペで決定したはずの設計プランが、地元市民の反対に遭って頓挫。軌道修正を試みるも、市民団体だけでなく役人からも次々と横槍が入っていきます。
それでも、どうにかこうにか着工に漕ぎつけたと思ったら、今度は入札が失敗という有様。

美術館の職員たちは、どこに何を飾ろうか、あれを選んでこれをボツにして・・・などとやっているのですが、肝心の建物は出来ないし、段々モチベーションも下がっていきます。
度重なる変更、修正に建築家はやる気をなくし、学芸員も現場を離れ、遂には館長まで辞職するという事態にまで陥ってしまいます。

この映画は2008年に作られましたが、当初はこの年に再オープンのはずでした。本当なら完成披露パーティか何かの映像で締めくくろうとしたのだと思いますが、工事が中断したままであたかも廃墟のような美術館の姿で終わってしまいます。
それでもどうやら動き始めたらしい、というようなテロップが最後には流れますが、実際のところはまだまだ完成には至っていません。

途中で日本でのシーンがかなり長めに挿入されているので驚きましたが、この美術館には日本の作品が無く、どうしてもということで交渉を重ね、一対の金剛力士像を購入したんですね。
でも、せっかくの日本からの美術品も、今は所蔵庫で眠っているだけなのは実に勿体ないことで。

とにかくこの映画、かなり笑えます。
勿論作り手は大真面目に作っているでしょうし、映画に登場する館長、学芸員、修復家、装飾家、警備員などの美術館の職員、政治家、建築家、市民団体の皆さん、それぞれ自分の立場で正当な、真っ当な主張をしているつもりでしょうから笑われるのは本意ではないはずですが、逆にだからこそ笑いがこみあげてきます。
現在の予定では今年中か、来年の初めぐらいには再オープンの見通しらしいのですが、はたして今度こそ完成するのでしょうか。

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by odin2099 | 2012-01-26 21:25 |  映画感想<ヤ行> | Trackback(11) | Comments(4)
まだ記憶に新しいと思いますが、2008年に起きた世界的な金融危機。
連日報道されましたし、未だにアメリカ経済は抜け出せない訳ですから、大変なのだろうなあということはわかっていても、ではそれが起こった背景やカラクリとなると「?」な人が大半だと思います。

「サブプライム」だ、「リーマンショック」だ、と言われても、何で住宅ローンの焦げ付きが世界経済の破綻に結びつくのか、新聞を読んでいてもニュース番組を見ていてもよくわかりませんよね。
この映画では、当事者や関係者にインタビューを敢行し、その真実に肉薄しようとしています。
ナレーションを何故かマット・デイモンが担当してますね。

e0033570_205457100.jpg出てくる人物は全て実名です。
この映画の為のインタビュー映像と、後はニュース番組の映像でしょうか。
金融機関の経営者、政治家、大学教授、アナリスト・・・
経済問題には全く興味がないという人でも、一度くらいは聞いたり目にした名前が一人や二人は見つかるんじゃないでしょうか。バーナンキさんとかグリーンスパンさんとか。
他にもモルガン・スタンレーとかリーマン・ブラザースとかメリルリンチとかAIGとか、そういった企業の名前もバンバン出てきます。
当然のように(?)取材拒否した人も何人かいますが。

端的に言ってしまえば、これは立派な人災ですね。
乱暴な言い方をすれば、銀行と証券会社と格付け会社と大学教授と政府のお偉いさんが、みんなグルになって金儲けに走った結果、貧乏人が損をしたということになりますか。
防御策も無くはなかったのですが、規制は徐々に緩められ、遂には撤廃されて歯止めは効かなくなってしまいます。

返せるかどうかもわからない相手にお金を貸し、それを一纏めにして証券会社に売っ払っちゃった時点で銀行は知らんぷりだし、その危ないブツに、格付け会社から「安全だよ」というお墨付きを付けてもらって投資家に売った段階で証券会社の手は離れるし、万一に備えてそのブツに”保険”を掛ける始末。バカを見るのは「安全だ」と信じて買った人たちですよね。

銀行も証券会社も、危険性を知りながら(じゃなきゃ”保険”は掛けないでしょう)知らん顔で顧客に売るし、格付け会社は格付け会社で、”格付け”はあくまでも自分とこの会社の”意見”に過ぎない、とシレっとした顔で語るのです。それを信じたアンタが悪いのよ、と。
結局は誰ひとり責任を取らず、彼らは巨額の報酬を手にしたのみです。

更に驚いたことに、これだけの事態を引き起こしながらも、当事者や関係者が現政権でも要職に就いていること。
これじゃあアメリカの景気回復はまだまだ先のことですか。
アメリカの景気が回復しないと、やっぱり日本もダメなんだよなあ・・・。

そんじょそこらのミステリー・サスペンス物よりも、よっぽどスリリングで面白く、かつ怖い内容になっていると思いますが、この手の作品はやはり吹替版、あるいはボイスオーバーで見たいですねえ。
字幕を追い続けるのが辛いです。
話している内容と、人物紹介の肩書+名前と両方画面に出されると、どちらかを見落としてしまうこともしばしば。メーカーさんも少し考えて欲しいもんです。
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by odin2099 | 2011-09-18 21:02 |  映画感想<ア行> | Trackback(7) | Comments(0)
e0033570_22562168.jpg『ディープ・ブルー』『アース』同様、BBC製作のネイチャードキュメンタリー映画です。
製作期間6年、総製作費35億円、撮影されたフィルムは3000時間分、という気の遠くなるような規模で作られていますが、最初はTVシリーズとして放送し、それを再編集して劇場用映画に仕立てるというやり方も過去のネイチャードキュメンタリー映画と同じです。

最初のうちは珍しい映像が見られる、という興味で喜んで見に行っていたのですが、ネイチャードキュメンタリーもこう毎年のように新作が公開されると有難みが薄れ、やや食傷気味。とはいっても、結局は見てしまうのですが。
「ライフ」と謳っているだけあって、アザラシやサル、ゴリラ、カエル、ゾウ、クジラ、ネズミ、トカゲ、アリ、カマキリ、ワシ、カメレオン・・・と出てくるのも海の生物、陸の生物を取り混ぜ、動物、鳥、虫などの区別なく、等しく「ライフ」として扱われています。

まあ途中で何回か、時間はそれぞれ数秒程度だったと思いますが、意識を失ったのは内緒です。
多分映画館では初めての経験・・・。

e0033570_22564148.jpg日本語版のナレーションは松本幸四郎と松たか子。
松たか子は上手くはないけれど温かみを感じさせてくれますので悪くはないですが、松本幸四郎の喋り方はナレーションに向かないですね。
ただオリジナル版のナレーターは6代目ボンドのダニエル・クレイグなので、日本版より厳しくハードな感じでしょうか。そちらでも聞いてみたいものです。

が、エンドロールに唐突に流れる”日本オリジナル主題歌”とやらは一体何なんでしょう?
既に完成している作品に対して、全く関係ない人間が、関係ない曲を被せる。
これって、オリジナル版のスタッフ、いやさ作品そのものに対する冒涜行為じゃないんでしょうかね。
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by odin2099 | 2011-09-13 06:00 |  映画感想<ラ行> | Trackback(24) | Comments(0)
e0033570_6335221.jpgバレエには全くの門外漢の自分でも、振付家モーリス・ベジャールの名前ぐらいは知っている。
そのベジャールが亡くなったのは2007年暮れのこと。
ベジャールの後継者ジル・ロマンと、残されたバレエ団のダンサーたちが、新作公演を行うまでの苦闘の日々に密着したドキュメンタリー映画。

観るまでは、「踊りなんかわからないし、退屈な映像が続くだけなんだろうなあ」と考えていたのだけれども、観ているうちに動きの綺麗さ、躍動感といったものに段々と魅了されるようになっていった。

バレエというと、「白鳥の湖」とか「くるみ割り人形」などの、「お決まりの衣装に身を纏った王子様やお姫様の踊り」というイメージしか持っていなかったが、ここに映し出されているのは全く別種のパフォーマンス。
これも”バレエ”なんだなあ。
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by odin2099 | 2010-11-19 06:34 |  映画感想<ハ行> | Trackback(2) | Comments(2)
一言で言えば、ヲタクがヲタクを取材したドキュメンタリー映画。
「リンガーズ」というのはJ.R.R.トールキンが生み出した『指輪物語』の熱心なファンというか、信者のこと。この映画では、そんな信者たちの生態を追っかけている。

ファン大会か何かの会場や、映画『ロード・オブ・ザ・リング』の公開を待つ劇場前の行列で、信者たちが思い思いに語っている映像が主流で、勿論そこにはコスプレした面々も数多い。
洋の東西問わずヲタクなんて似たようなもんだが、この連中に共感出来るならこの映画も愛せるだろうし、「痛い」とか「キモイ」と思っちゃったなら、最後まで観られないかも。
トールキンの生涯を追いかけたり、「中つ国」を考察し、作品内に秘めたテーマを論じたり、といったアカデミックさはここにはない。

e0033570_23535047.jpgただ、映画を観てバカ騒ぎする連中を捉えただけの映画ではなく、『指輪物語』を取り巻くムーブメントそのものにもアプローチはしている。
『ホビットの冒険』刊行当時の反響、そして『指輪物語』発表時のイギリス、そしてアメリカでの熱狂ぶり。映画のヒット以降しか知らないとかなり新鮮というか、驚きの連続。
ヒッピーに受け入れられ”聖典”と崇められたり、ロックと一体化して数々のヒット曲を生みだしたり・・・。個人的にはヒッピーともロックとも『指輪物語』は結びつかないんだけど、これは文化の土壌が違うからかなあ。ミスター・スポックことレナード・ニモイが「ビルボ・バギンズの歌」を歌ったり、ジョン・レノンが『指輪』の映画化を企画していたなんて話、俄かには信じられないもんね。

ランキン=バス・プロが製作した「ホビット」と「王の帰還」のアニメ版、ラルフ・バクシのアニメ映画などなどもサラっと流す一方、ピーター・ジャクソン監督の劇場版にはかなりの敬意を払っている。
監督は勿論のこと、イライジャ・ウッドやイアン・マッケラン、ヴィゴ・モーテンセン、オーランド・ブルーム、ジョン・リス=デイヴィス、ショーン・アスティン、ビリー・ボイドらもインタビューに答え、クライヴ・バーカーやキャメロン・クロウなどにもインタビューしてるのには驚いた。
ちなみに映画のナレーターを務め、インタビューにも登場しているのはドミニク・モナハンだ。
日本語吹替版ではこれら映画版キャストを、浪川大輔や大塚芳忠、有川博ら実際に映画で吹き替えたメンバーがアテテいるという徹底ぶりが嬉しい。
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by odin2099 | 2010-06-23 00:06 |  映画感想<ラ行> | Trackback | Comments(2)
初日の初回に鑑賞。入り口でメガネを渡され、ああ、3D映画だったっけ、と思いだす。
製作はJST(科学技術振興機構)と日本科学未来館、それにTBSビジョン。監督は日下宏美、れっきとした邦画作品。

e0033570_192218.jpgニュージーランド、エジプト、そして日本・広島を舞台に、子どもたちの出てくるヘンなストーリーが展開される。
なんだ、これは?と思って後で調べたら、これは小山薫堂のオリジナル・ストーリーなんだと。
そんなもの、無くて良いのに。ひたすら世界遺産を、最低限のナレーションだけで見せてくれればそれで良し。
縦しんば世界遺産と暮らす子どもたちを表現したいのならば、フィクションじゃ意味ないんじゃ?

副題にある「宇宙からみた」映像は、地球観測衛星「だいち」からのもの。
ただ副題に謳うほど多用はされていないから、やや看板に偽りありって気もしないでもない。

それでも3Dの画面には惹き込まれる。
かつて、IMAXの大画面でネイチャー・ドキュメンタリー映画を何本か観た人間から言わせてもらえば、迫力という点ではかなり劣るものの、その場にいるかのような臨場感はやはり3Dならでは。これは一見の価値ありだ。
ただどういうわけか、ピラミッドの内部にしろ厳島神社の境内にしろ、妙にちっちゃく映っている。何だかミニチュアを”寄り”で見ているような感覚だったのだけれども、これはカメラのせいか?
あと下條アトムのナレーションが、歯切れが悪くて単語(名称)が聞き取り難いのが気になった。

上映時間は40分程度であっという間。
もっと長く観ていたかったし、逆に上映時間を考えれば料金をもう少し低く設定しても良いんじゃないかとは思うけど、製作費などもかなり掛っているんだろうから、次回作に期待しとこう。
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by odin2099 | 2010-06-19 19:22 |  映画感想<ハ行> | Trackback(1) | Comments(0)
e0033570_6372810.jpg昨今はネイチャー・ドキュメンタリー映画がブームになっていますが、これもその一本。
『アース』『ディープブルー』を超える、史上最大のドキュメンタリープロジェクト。”と宣伝文句にありますが、シリーズ作品なわけではありません。勿論、この2作品のヒットの影響は受けているでしょうが、こちらはフランス映画。『WATARIDORI』をヒットさせたジャック・ペラン監督が、ジャック・クルーゾーと共同監督しています。

これだけネイチャー・ドキュメンタリーが沢山作られ、その中には海を扱った作品も少なくないだけに後発作品は不利だろうと思っていたのですが、どうしてどうしてまだまだ”海”は驚きに満ちています。こういった作品を一本二本観たからといって、”海”をわかったような気になっていてはダメですね。
勿論どこかで見たような映像が混じっているのは致し方ないですが、それを超える斬新な映像が盛り込まれているのも確かです。

ネイチャー・ドキュメンタリーというと、人間の姿は極力排しているのがお約束で、撮影スタッフが画面に映り込むことは殆どないのが普通ですが、この作品では監督自身が画面に登場したり(元々ジャック・ペランは、『ニューシネマ・パラダイス』で成長して映画監督になったトトを演じたりしている俳優ですが)、サメと並走ならぬ並泳するダイバーを捉えたりしているのが目新しい点でしょうか。

映画全体に自然と対立する人間の存在が大きく扱われ、ゴミの海で泳ぐ生物、網に絡まって命を落とす生物、捕獲され殺される生物、そういった現実も容赦なく画面に映し出されます。
これまでもシャチやサメが獲物を襲う瞬間が描かれ、自然のありのままの姿とはいえ残酷すぎると非難されたことはありましたが、人為的であるだけに今回はその比ではありません。そのあたり、製作スタッフの姿勢が問題視されそうですが、実はこれらの映像は加工を加えたり、アニマトロニクス――つまり精巧なロボットを使って撮影したものなのだそう。最後に「動物には一切危害を加えてはいません」との断り書きも出てきます。

e0033570_6381840.jpg確かに嵐の海に翻弄される船を俯瞰で捉え、そのままカメラがズームアップして雲を突き抜け、更には宇宙空間の人工衛星にまで1カットで持っていくような芸当は、VFXを駆使しなければ不可能な映像です。
しかしそうなると、ドキュメンタリー映画と謳いつつ、この作品に映し出された映像はどこまで”本物”なのか、という疑問も湧いてくるのですが・・・。

それにしてもこの手の作品を日本で公開する際、どうして本業ではない人のナレーションを付け加えるのでしょうか。
今回の作品でナビゲーターを務めたのは宮沢りえ。宣伝でも彼女の名前が前面に出てきています。
字幕を追うのは辛いので吹替版を作るのは賛成なのですが、彼女の語りは下手ではないものの、さりとて上手いとも思えません。
また彼女がナビゲーターだからといって、その為だけに彼女のファンがわざわざ映画を観に行くとも考えにくいのですが、もっと作品そのものを大切に扱って欲しいと思います。

主題歌もまた然り。
エンドクレジットで平原綾香と藤澤ノリマサの歌が流れますが、こちらも不要です。
原版にも歌があり、その曲をアレンジもそのままに日本語で歌った、というのであれば話は別ですが、どんなに素晴らしい曲であれ、勝手に付け加えるのは改竄であり、冒涜であり、許されざる行為だと思うのですが如何でしょうか。
勿論、原版の監督なりプロデューサーなりが熱望したのであれば文句はありませんが、仮に許可を得ていたとしても、それでもやって良いことと悪いことはあるんじゃないのかなと思っています。
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by odin2099 | 2010-01-25 06:38 |  映画感想<ア行> | Trackback(17) | Comments(2)
e0033570_6403620.jpg冒険家にして映画監督というマリオン・ヘンセルが、世界各地の雲を追い続けたネイチャー・ドキュメンタリー。
その映像に、彼女が息子に宛て、妊娠中から出産、夫との別離、息子の成長、そして旅立ち、と折々の心情を綴った手紙の朗読が重ねられていくという不思議な構成。

手紙の朗読という形のナレーションは、フランス語版がカトリーヌ・ドヌーヴ、英語版がシャーロット・ランプリング。日本では両ヴァージョンが公開されたようで(公開は2004年になってから)、DVDも2種類の音声が収められている。もっともエンドクレジットを見るとドイツ語版、スペイン語版、オランダ語版と都合で5ヴァージョンが作られた模様。DVDならではの特性を活かし、全て収録して欲しかったものだ。

穏やかな天気の日もあれば、嵐の日もある。雨が降り、雪が降り、時にはオーロラも映し出される。
またネイチャー・ドキュメンタリーだからといって長閑な田園風景が続くわけではなく、時に都会の喧騒の中、近代的な高層ビルの窓に映り込む雲、なども捉えられている。
朝、昼、夜、時間も季節も超えて多彩な表情を見せる雲。
まるで一幅の絵画を見ているようだが、終盤には雲を扱った(必ずしも雲を題材にしたものではない)名画の数々も紹介されていく。

「雲を見て何と言えば良い?」
「見るだけで良い。それで十分」
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by odin2099 | 2010-01-06 06:40 |  映画感想<カ行> | Trackback(1) | Comments(0)

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