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ハリー・ポッターと賢者の石」と「ロード・オブ・ザ・リング」の大ヒットで、映画各社はここぞとばかりにファンタジー映画製作レースを繰り広げました。
ディズニーもクライヴ・バーカー「アバラット」映画化を表明しましたが、結局頓挫。ようやくウォルデン・メディアが着手したこの「ナルニア国物語」に、後乗りと言う形で参加することになりました。

「ロード・オブ・ザ・リング」はニュージーランドが映画、特にファンタジー系の作品のロケ地として相応しいことを世に知らしめましたが、それを決定づけたのがこの「ナルニア国物語」ではないでしょうか。
「ロード・オブ・ザ・リング」を上梓したトールキンの盟友だったルイスの著作に基く映像化作品だというのも何やら不思議な縁を感じますし、両作品には共通して参加しているスタッフもいて、撮影も同じ場所だったか近くだかで行われたようです。

e0033570_19433847.jpgただ「ナルニア国物語」が「ロード・オブ・ザ・リング」と同じようなタイプの作品かと言えば、これはまるで違います。
もし「ロード・オブ・ザ・リング」を気に入っていて、他にも似たような作品を求めて「ナルニア国物語」に辿り着いたとしたら、多少の違和感は拭えないと思います。
もっとも撮影スタッフが共通で撮影場所も同じとなると、例え物語は違っていても「絵」的には似たようなものになってしまうのは避けられませんが。
トールキンの小説とは案外異なる内容の「ロード・オブ・ザ・リング」は比較的原作ファンからも好意的に受け止められましたが、大筋は原作に沿っている「ナルニア国物語」はどちらかというと賛否両論のようです。

これはおそらく牧歌的な原作の持つ要素が薄れ、子どもたちを主人公にした割には殺伐とした戦闘シーンが多かったり、その子どもたちが多少の問題児であっても本質的には「良い子」だったのに対し、映画では見ていてイライラさせられるほど生の感情をぶつけ合う存在に描かれていたりするからかな、と個人的には思います。

ただこれも、一本の映画として捉えたならば決して改悪ではなく、娯楽作品としてはメリハリがついたものになったと思っているのですが、原作ファンはそうは受け取らなかったのでしょうね。
この作品と続く2作目で思うほどの成功を収められなかったディズニーはとっととシリーズに見切りをつけ、3作目は20世紀フォックスの元で仕切り直しとなりました。余談ですが、ディズニー→20世紀フォックスというのは丁度「スター・ウォーズ」と逆ですね。
しかし4作目はソニー・ピクチャーズ傘下のトライスター・ピクチャーズへ再び移籍、と前途は多難。全7作の原作全てが映画化されるかは不透明な状況です。

というより「ダレン・シャン」、「スパイダーウィックの謎」、「エラゴン/遺志を継ぐ者」、「ライラの冒険/黄金の羅針盤」、「パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々」、「ザ・シーカー/光の六つのしるし」、「レモニー・スニケットの世にも不幸せな物語」…と数多くのファンタジー小説が映画化されましたが、何れもシリーズ化は絶望的(「パーシー・ジャクソン」は2作目が作られましたし、最近になってネット配信ドラマなどで再始動している作品もありますが)。
またファンタジー小説の帯や解説に「映画化決定!」の文字が躍っていた時期がありましたが、音沙汰なしの作品も数知れず。
結局成功を収めているのは「ハリー・ポッター」と「ロード・オブ・ザ・リング」のシリーズ及びその派生作品のみ、というのは淋しいですね。

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by odin2099 | 2018-04-19 19:45 |  映画感想<ナ行> | Trackback | Comments(0)

書名がとても気になり、実際に書店で現物を確認して購入。映画のガイドブックではなく、あくまでも主体は「書籍」の方で、見開き2ページで作品の「ストーリー」を紹介し、「解説」を付記し、欄外で映像化作品のデータを紹介するという構成になっています。執筆者は編者以外に大竹聖美、金子真奈美、佐竹朋子、高橋尚子、中由美子、西山素代、浜名那奈の諸氏。

取り上げられている作品は全部で101作品で、「美女と野獣」「雪の女王」「クリスマス・キャロル」「不思議の国のアリス」「オズの魔法使い」「ピーター・パン」といった古典的な作品から、「ホビットの冒険」「たのしいムーミン一家」「ナルニア国ものがたり」「まぼろしの白馬」「「シャーロットのおくりもの」「指輪物語」「第九軍団のワシ」、更には「クラバート」「ゲド戦記」「はてしない物語」「チョコレート工場の秘密」「光の六つのしるし」、そして「ハウルの動く城」「黄金の羅針盤」「ハリー・ポッター」「ダレン・シャン」「トワイライト」「魔法の声」「ヒックとドラゴン」「パーシー・ジャクソン」「マジック・ツリー・ハウス」といった最近の作品群まで、かなり多岐に亘っています。

e0033570_20103191.jpgこれまでにも同様の企画本は何冊か出ていますが、古くから名作と呼ばれている作品が中心で、ここ数年十数年のファンタジーブームを支えたような近作は除外される傾向が強かったので、ボリュームも然ることながら選択作品の幅の広さは特筆ものでしょう。

「赤毛のアン」「海底二万哩」「アルプスの少女ハイジ」「若草物語」「十五少年漂流記」「ふたりのロッテ」等々一般的な”ファンタジー”というカテゴリにはそぐわないような作品が選ばれていたり、他にも「どうしてアレがあってコレがないの」と感じる部分もありますが、これから本を読もう、映画を見ようと思っている人たちにとって道標となる一冊であることには間違いありません。

出来れば今後、ミステリー・サスペンス物やSF物などでも同様の書籍が刊行されれば嬉しいところですが…。


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by odin2099 | 2014-01-07 20:13 | | Trackback | Comments(0)
ハイ、もうニュージーランド関係なくなりましたね。多分撮影してないでしょう。
物語は基本海の上、船の中で展開しますし、あちらこちらの島へ上陸しますけど、これも違うんでしょうね。
でも最後の”アスランの国”へ行く道を始めとして、海の描写は凄く綺麗。引き込まれるような「青」です。色々な場所の季節の移り変わり、色彩の妙、こういったものを愉しむためだけにでもこのシリーズ、何度も見たいと思います。

e0033570_23343596.jpgそれにしてもこのシリーズ、意外に毎回毎回前作からの”引き”を大切にしてますね。
原作はそれほど連続性は感じられないのですが、第1章でペベンシー兄妹たちがサンタクロースから貰ったもの――ピーターの剣、スーザンの弓と角笛、ルーシーの短剣と薬――や、第2章でエドマンドが忘れて行った懐中電灯などの小道具、それに各キャラクターの言動などが予想以上に続編で拾われています。途中で製作体制が変わったりしているのに(ディズニーの撤退と20世紀フォックスの参加)、そのあたりはお見事。
この第3章になって思いっきり子ども向けになってしまったとお嘆きの諸氏もいるようですが、本来「ナルニア国物語」って思いっきり子ども向けのお話なんだと思いますがね。

さて、大体2年周期で作られてきた映画版「ナルニア国」、この第3章の全米公開から丁度2年経ちましたが未だに第4章製作の正式なアナウンスはありません。昨春の日本公開の頃には本来ならば6章にあたる『魔術師のおい』を原作にするという話が出てましたが、このままシリーズ打ち止めでしょうか? だとしたら寂しいなあ。
もっとも権利関係のゴタゴタがあって(?)中断しているという話もあって、実現したら本来の第4章『銀のいす』の可能性もあるんだとか。とにかく続報を待ちましょう。

過去記事はこちら

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by odin2099 | 2012-12-18 23:34 |  映画感想<ナ行> | Trackback | Comments(0)
今回も美しい風景が楽しめます。撮影はニュージーランドだけじゃなくチェコ、ポーランド、スロベニアでも行われたようですが、ナルニアの大半はNZロケなのかな。前作では雪に閉ざされた冬のナルニアが中心でしたが、今度は陽光眩しいナルニアが楽しめます。こうして見ると立派な観光映画ですな。とにかく川というか水が非常に綺麗に撮られています。

e0033570_23392280.jpg興行的には前作に劣ってしまったこの第2章ですが、単品としては第1章よりも単純に楽しめる出来ではないかと思います。原作からはかなり離れてしまってますが、その分予備知識なしでもOK。原作ファンのうち第1章に満足出来なかった人が劇場に足を運ばなかったとか、あるいは雨後の筍のごとくファンタジー映画が乱発されたので皆食傷気味だったとか、そういった理由もあったんでしょう。もっともっと再評価されて然るべき作品なんじゃあないのかなと、ちと残念に思います。

しかしペベンシー兄妹ってどうしてこんなに仲悪いんだろ?
そしてアスラン、勿体つけてないで早く皆を助けてあげてよ。


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by odin2099 | 2012-12-17 23:40 |  映画感想<ナ行> | Trackback | Comments(0)
頭の中がまだ「中つ国」へ行ったまんまなので、強制的に「ナルニア国」へ移住!(^.^)

前から『ロード・オブ・ザ・リング』を見直したらついでに『ナルニア国物語』も見直そうかなあと思っていたので、この機会に実行。
いやー、ニュージーランドの風景って良いですねえ(って、それかい)。

e0033570_18251023.jpg「中つ国」にして「ナルニア国」、更にスコットランドの「ネス湖」になったりとリアル・ファンタジー王国って感じですが、我が国でも最近はフィルム・コミッションを立ち上げ、映画やTVドラマ、CMなどの撮影を誘致して地域を活性化し観光振興を図ろうという動きが活発化しているところですけど、国を挙げて取り組んでいるんですからスケールが違います。
『ロード・オブ・ザ・リング』とちょっと似たような風景が出てきますが、撮影場所は被っているのかな? ただ、全編NZロケの『ロード~』と違ってこちらはイギリスやチェコでも撮影を行ったそうで、その分NZ成分が少なくなってますね。まあ現実世界とナルニアと結構行ったり来たりしてますし4兄妹。

それはさておき、音楽が雄大かつ優しくて思わず作品世界に引き込まれますし、CGも良く出来てるし、あまりにも大掛かりになり過ぎたきらいがあるのと4兄妹がちっとも可愛くない(長兄のピーターだけはOK)のを除けば、まずは傑作ファンタジーの仲間入りをさせて上げて良いと思うのですが、全体的にあまり評価が高くないのがちょいとお気の毒。

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by odin2099 | 2012-12-16 18:26 |  映画感想<ナ行> | Trackback | Comments(0)
土曜日の「日本経済新聞」、その「NIKKEIプラス1」の「何でもランキング」はファンタジー小説のベスト10特集。
ファンタジー、ファンタジー騒いでる割に読んだことのない本ばっかなんですが(汗)、これって妥当な結果なんですかねぇ?

 1.「守り人」シリーズ(上橋菜穂子)
 2.トムは真夜中の庭で(フィリパ・ピアス)
 3.クラバート(プロイスラー)
 4.ゲド戦記(ル=グウィン)
 5.ホビットの冒険(J・R・R・トールキン)
 6.指輪物語(J・R・R・トールキン)
 7.モモ(ミヒャエル・エンデ)
 8.ナルニア国物語(C・S・ルイス)
 9.「勾玉」シリーズ(荻原規子)
 10.二分間の冒険(岡田淳)

流石に「世界三大ファンタジー」と呼ばれてる作品はみんなランクインしてますね。
しかし読んだことがあるの、半分しかないや。。。
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by odin2099 | 2012-10-08 21:02 | 雑感 | Trackback | Comments(2)
『ロード・オブ・ザ・リング』を見るまでは、ニュージーランドと聞いてもピンとこなかったのですが、映画を見てからはその美しさにすっかり魅せられてしまいました。
他にも『ナルニア国物語』『ウォーター・ホース』、『ラスト・サムライ』、『キング・コング』、はたまた邦画の『どろろ』などもここで撮影され、すっかりファンタジーの国といったイメージが出てきましたが、そういった”ナルニア国””中つ国”ではない素のニュージーランドってどんな感じなんだろう?と思って探し出してきたDVDです。

e0033570_2263318.jpg「クライストチャーチ」、「ピクトンへ列車で行く」、「サザン・アルプス列車の旅」、「氷河を訪ねて6号線を走る」、「テ・アナウ湖」、「ミルフォード・サウンド」、「クイーンズタウン」、「ラフティング」、「ジェット・ボート」、「ダウトフル・サウンド」、「テカポ湖」、「マウント・クック空撮」の12のチャプター、トータル80分ちょっとでニュージーランド南島を巡るお手軽な”ミニ旅”ですが、自然の美しさ、ニュージーランドならではの遊び方等々を束の間味わわせてくれます。

DVDのリリースが10年近く前なことや、その後に映画の撮影が相次ぎ、ロケ地巡りの人気が高まったこと、そして今年、東日本大震災のちょっと前に起こった大地震の影響などで、今ではここに収められているのとは違った景色になっているのかも知れませんが、一度は訪れてみたいものです。
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by odin2099 | 2011-11-22 22:12 | ビデオ | Trackback | Comments(0)
BBC製作のTVドラマ版『ナルニア国物語』の第3章。
以前出ていたDVDは「ものがたり」と平仮名表記だったが(岩波書店より出ている原作本と同じ)、再発売されたDVDでは「物語」と漢字表記(劇場版と同じ)になり、更に第1章、第2章・・・と章立て表記になっている。
全ては劇場版に肖ってのことだろう。

e0033570_1947145.jpg製作は1988年から1990年となっているが、おそらく第1章の「ライオンと魔女」が88年、第2章「カスピアン王子のつのぶえ」と本作が89年、そして第4章「銀のいす」が90年の製作では?と思われる。
第2章と第3章は原作と違って直結しており、第2章のラストでこちらに戻ってきたエドマンドとルーシーはユースチスの家に行き、そこで再びナルニアへ呼び戻される、という流れになっている。

お話は概ね原作通り。子ども向けということで表現が甘く、柔らかく改められたりしている部分もあるが、劇場版の『ナルニア国物語/第3章:アスラン王と魔法の島』の展開に違和感を覚えた原作ファンも、こちらは懐かしく思い返すのではないか。
ただ、それで面白くなっている訳ではないのが難しいところである。

国営放送製作のTVドラマということで丁寧には作られているのだが、ビデオ撮り丸出しの質感の無さ、20年前の作品だということを割り引いてもチープさの残るセット、着ぐるみ、特撮(というほど大げさなものではなく、せいぜい合成が使われている程度だが)は、真面目に見るにはかなり辛い。
日本で言えばNHKの大河ドラマ規模なのだろうが、どちらかというと教育テレビ(Eテレ)でやる子ども向けバラエティ番組の1コーナーのようだ、というと言い過ぎだろうか。

演出も平板で、子役も含めて役者陣に魅力もないし、特に最近の映画版シリーズで興味を持った人は見ない方が良いだろう。
第4章まで作られたものの、残りの第5章「馬と少年」、第6章「魔術師のおい」、そして第7章「さいごの戦い」が作られなかったのは、当初からそういう予定だったからか、何らかの理由で中止になったのか、さてどちらだろうか。

ところで映画版は第2章が期待通りの成績ではなかったとしてウォルト・ディズニーが手を引いたために続行が危ぶまれたが、20世紀フォックスが加わることで第3章が実現。それで打ち止めかと思われたが、聞くところによると4章、5章を飛ばし、次はシリーズの発端を描く第6章を映画化することで計画が進められているらしい。
その後は完結編として第7章を映画化するとか。
外伝的な第5章はともかく第4章が無視されたら悲しいが、それによって打ち切りが回避され、映画版「ナルニア国年代記」としてきちんと完結してくれるのならば良しとしたい。
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by odin2099 | 2011-08-19 19:52 | テレビ | Trackback | Comments(0)
映画公開に合わせて読み始めたのですが、思いの外時間が掛ってしまい、読み終わったのは映画を見てしばらく経ってからでした(更に震災関係でゴタゴタしているうちに、記事をアップするタイミングを逸したりして)。

e0033570_22215295.jpg結局「見る前に読む」ではなく「見てから読む」に近い形になってしまいましたが、やっぱり随分違うお話になってましたね。
映画だとルーシーが主人公っぽい扱いですが、原作だとエドマンドとルーシー、ユースチス、それにカスピアンがほぼ同格な印象です。
カスピアンとエドマンドの対立も殆どなく、旅はカスピアン主導で進められて行きますし、その成長ぶりも描かれています。ただ前作から3年後という設定はどちらも同じなので、原作だとカスピアンは些か立派になり過ぎかも知れませんが。

ユースチスは映画だと中盤から終盤まで竜になりっぱなしですが、原作だと比較的早い段階で人間に戻り、後は割と「良い子ちゃん」になってしまいますので、これは映画版の方が活躍場面もあってドラマティックかも知れません。リーピチープとの友情も描かれてますし。

結果、原作ファンには申し訳ないですが、この改変された映画版、個人的には結構気に入ってます。
不満はキャスティングだなあ・・・。


前回の感想はこちら
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by odin2099 | 2011-04-14 22:22 | | Trackback | Comments(0)
ウォールデン・メディアによるC.S.ルイス作<ナルニア国年代記>映画化企画の第3弾。原作小説は「朝びらき丸 東の海へ」

e0033570_1123012.jpgファンタジー映画のブームに乗り遅れまいと焦ったのか、第1弾製作の途中から参加したウォルト・ディズニーだったが、第2弾が思うような成績を上げられなかったと見るやさっさと撤退。シリーズ続行も危ぶまれたが、今度は20世紀フォックスがバックに付き、FOX2000ピクチャーズとの提携という形でゴーサインが出された。
前2作の監督だったアンドリュー・アダムソンは製作に退き、マイケル・アプテッドがシリーズ二人目の監督に就任。ルーシー役のジョージー・ヘンリー、エドマンド役のスキャンダー・ケインズ、カスピアン役のベン・バーンズ、それに白い魔女のティルダ・スウィントン、アスランの声を担当したリーアム・ニーソンらが前作からの続投となった。

ということで製作体制が変わったことでどうなることかと思ったが、意外にも前作からの引きも用意され(ピーターの剣やエドマンドの懐中電灯など)、シリーズとしての継続性を意識した内容になっていて一安心。
実は今回、音楽担当者が前2作のハリー・グレッグソン=ウィリアムズからデヴィッド・アーノルドに交代していたことを、劇場でパンフレットを見るまで知らなかったので愕然となったりしたのだが、そこはそれ、<007>シリーズでジョン・バリー(合掌)節を全開に聴かせてくれたアーノルドのこと、前作のスコアを流用しつつも遜色のない音楽を提供してくれている。

それにしても原作とは随分違うお話になっちゃったので、あんな場面あったっけ?こんなアイテム出てきたっけ?この人は誰?・・・と悩むこともしばしば。
まあそれでも毎度のことながら、原作に思い入れがないので映画としては充分楽しめた。
2時間半クラスの超大作として作られた前2作と違い、こちらは初めて2時間を切るコンパクトさ。ポーリン・ベインズのイラスト(岩波少年少女文庫の挿絵として使われているもの)を元に構成されたエンドクレジットも素敵だ。

第1章の白い魔女や第2章のミラース卿のようなわかりやすい悪役キャラクターがいない分、この第3章は旅の目的がわかり難いし、落とし所というか、何を成し遂げればハッピーエンドになるのかというのも見えにくく、最後にカタルシスを味わえるかというと難しいものがあるが、キャラクターの成長物としてはまとまった出来。
だが毎回毎回同じパターンを繰り返されると、些か厳しいものがある。

第1章ではペベンシー兄妹がいがみ合い、第2章ではカスピアンとぶつかり(更に兄妹間でやや険悪な雰囲気にも)、そして今度の第3章ではユースチスが兄妹やカスピアンとゴタゴタを起こすだけでなく、再びエドマンドとカスピアンが対立。
確かに原作でもキャラクターの成長はメインに扱われているが、ここまで衝突はしないし殺伐とした空気が流れることもない。リアルといえばリアルなのかも知れないが、前作で描かれる成長がその都度否定されているようにも受け取れるので如何なものかと。

作品世界の中では第1章から第3章までは3年しか経っていないが、実際の映画製作期間は5年。ということでエドマンドとルーシー、ペベンシー兄妹の年少組二人も大きく成長。年齢設定にはそぐわない部分も出てきてしまったが、この成長の仕方は悪くない。
原作では名前のみで実際には出てこないピーターとスーザンも特別出演。四人が一堂に会する場面はないもののこれは嬉しいサービスで、特にスーザンは隠れたキーキャラクター的存在になっている。個人的にはルーシーが、何故”この”スーザンに憧れているのかが全く理解出来なかったりもするのだが・・・。
原作に出てこないといえば白い魔女も同様で、これは上手い使い方だったかも。

e0033570_11233864.jpg物語の最後にエドマンドとルーシーは、ナルニアへ来るのはこれが最後だとアスランに告げられる。前作のラストでもピーターとスーザンが同じことを言われるのだが、実は最終章となる(順当にいけば)第7章で、彼らは再びナルニアの地を訪れる(但しスーザン以外)。原作通りの台詞とは言えちょっと違うんじゃないかと気にはなっているのだが、これはナルニアへ行く方法というか原因が異なるからなのだろうか。

そしてラストシーン、姿は見せないが、ユースチスの家に遊びに来た少女として”ジル・ポール”という名前が出てくるが、もし第4章として「銀のいす」が映画化されるとすれば、今度の主人公はユースチスとこのジルという少女。作品を見る限り、スタッフは第4章を作る気が満々のようだが、興行成績は右肩下がりのようで先行きは不透明。
以前BBCがTVドラマを製作した時も第4章で終わってしまったので、全7章の映像化はやはり厳しいのかも知れない。

ところで今回、初めて3Dの吹替版で鑑賞したが、ことさら3Dを意識した映像にはなっていなかった。
舞台の殆どが海の上、船の中ということで画面的にもそれほど奥行きは感じられず、手間暇かけた割に効果のほどは疑問だ。単なる話題作りの為だけだったとしたらちょっと淋しい。
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by odin2099 | 2011-02-27 11:27 |  映画感想<ナ行> | Trackback(32) | Comments(6)

by Excalibur
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