
はたしてピアースたちは金塊を盗み出すことが出来るのか?
原作はマイクル・クライトンの小説で、実際に起きた金塊強奪事件を元にしているが、どこまでが事実でどこからフィクションなのかが明らかにされていないのがクライトンらしい。
出演はショーン・コネリー、ドナルド・サザーランド、レスリー=アン・ダウン。
クライトン自身が脚本を書き、監督も務めていて、後にクライトンはコネリーを念頭に置いて「ライジング・サン」を執筆、コネリー主演で映画化された。
2時間弱の映画だが、鍵の複製が揃うまでで半分以上費やしている。
そして列車の旅が始まるころには残り時間は約20分。
綿密に準備をしている過程が描かれているというより、前半はモタモタしているという印象が強い。
後半になると鈍重そうなコネリーが自ら危険なスタントに挑んでいるが、思いのほか緊迫感が伝わってこず、事件はやや唐突に終息を迎えてしまう。
コメディ映画と呼ぶには些か残酷なシーンもあるし、サスペンスも盛り上がらず、どうにも間の抜けた作品に。
通算6作目となるシリーズ最新作(「ジュラシック・ワールド/ドミニオンJurassic World: Dominion」)の撮影も、途中でコロナ感染者が出たりで何度か中断しましたが、どうやら無事に終わった様子。
この1作目以来となるサム・ニール、ローラ・ダーン、ジェフ・ゴールドブラムのトリオの揃い踏み、ということで色々気にはなっているのですが、はたして見られるのはいつになることやら。
一応今のところは来夏予定とされていた公開日が再来年の夏に延期とのことですが、今年公開予定の作品が軒並み来年に延期され、更に再延期の可能性もある以上どうなることやら不明です。
あちらこちらで玉突き事故が起きそうですし。

往年の(?)スピルバーグを崇拝する人からすると腕が鈍ったということになるのかもしれませんが、最初から段取り良く小出しにしておいて、ここぞという時には出し惜しみせずに見せたい画を、観客が見たがってる画をバーンと出すあたりの緩急の付け方は大したものです。
もっともその辺の呼吸の妙は、もしかすると多忙なスピルバーグに代わって編集を担当したジョージ・ルーカスのお手柄なのかもしれません。
学生映画界で鳴らしていた頃から編集者としての手腕が評価されていたルーカスの、知られざる本領発揮作品だったりすると面白いのですが。
しかし世界的大ヒットとなった「ジュラシック・パーク」映画化ですが、実現に至ったのは実は偶然の産物に近いものがあったんですね。
元々スピルバーグは「五人のカルテ」を映画化したくて、友人でもある著者のマイクル・クライトンに話を持ち掛けたところ、他にもこういう企画があるぞと提示されたのが「ジュラシック・パーク」。
たちまちスピルバーグはそちらに夢中になってしまったので「五人のカルテ」は後回しにされ、結果この映画が誕生することになったのですから、何がどう転ぶかわからないものです。
ちなみにその「五人のカルテ」ですが、映画としてではなくこれをベースにしたTVドラマ「ER/緊急救命室」が作られ、15シーズンにも及ぶ人気シリーズになったのはご存知の通り。
どちらもメデタシメデタシとなりました。
<過去記事>
https://odin2099.exblog.jp/3066266/
https://odin2099.exblog.jp/23087125/
https://odin2099.exblog.jp/27177247/
カバーにはデカデカと”マイクル・クライトン”の名前があるので、どの程度本人が噛んでいるのかと思ったが、実際は遺族公認の公式続編ということらしい。
生前のクライトンが遺したプロットに基づく、といったような注釈はなく、ストーリーそのものはダニエル・H・ウィルソンのオリジナルのようだ。



辛うじて難を逃れたスーザンは、やがて脳死状態の患者たちがジェファーソン研究所という謎の施設へ移送されていることを知るのだが…。
病院が組織ぐるみで臓器移植、臓器売買に手を染め、その為に計画的に殺人を犯していたことに気づいた主人公が、自らも命を狙われるという医療サスペンス。
原作はロビン・クックの小説「コーマ/昏睡」で、これをクックとは同世代で共に医師の資格を持つ作家でもあるマイクル・クライトンが脚本兼任で監督した。

今見ると多少のテンポの悪さも感じるものの、一歩一歩核心に迫る一方で、誰が味方で誰が敵なのかわからずに徹底的に追い詰められてゆく主人公を丁寧に描いた良質のサスペンスだった。
そんな中この作品への言及も増えており、気になっていたこともあって読み直し。
面白い。
再読に耐える面白さだ。
ネタの古さは感じず、むしろ今が旬の小説に感じられる。

もちろん全てがフィクションではあるのだが、その理詰めの説得力は
ひょっとしたら?という一抹の不安と期待を抱かせてくれる。
また事件後に書かれたというシチュエーションは、読み進めるうちに例え何が起ころうとも、最終的にはそれを回避できた、いわばハッピーエンドが約束されているという安堵感ももたらしてくれる。
またしばしば「この時はまだわからなかった」「あの時こうしていれば」といった記述が挟まれているのも、何気ない会話や作業が後々どういった影響を与えるのかを推理する楽しみも提供してくれる。
最後に大規模なサスペンスを用意し、なんとなく力技で強引に幕引きを図った感がないではないが、それらをひっくるめて良く出来た”小説”だと思う。
長らくハヤカワ文庫では「SF」のカテゴリで刊行されてきたが、今では「NV」へお引越し。
「SF小説」ではなく純然たる「小説」(エンタテインメント)として読んでほしいという出版社サイドからのメッセージか。
<過去記事>
https://odin2099.exblog.jp/8975061/
映画館で2回見て、ビデオやDVDでも見て、テレビ放送された時も見て…だから十回くらいは見てるのかな。

その中で中心になるのがビルとジョーという離婚寸前の夫婦。
互いに自己主張が強いから何かというとぶつかって、それで上手くいかなくなっちゃったんだろうなあ。
登場時は猪突猛進のジョーに対し、ブレーキを踏む役回りなのかなと思わせるビルだが、竜巻が発生するかも?!と聞かされるともうストップが効かない似た者同士。
一方でビルの再婚相手である婚約者のメリッサが、唯一の常識人というか観客に近い視点で竜巻のことを解説してくれるという配置も良い。
何度も見たと言いながら、実は今回見るのは実に久しぶりなんだけど、もう四半世紀近く前の作品とは思えないくらい面白い。
他にも竜巻を扱った映画は何本か見ているけれど、自分にとっちゃ今だにこれがオンリーワンだなあ。
弛れる場面もないので、何度飽きない。
<過去記事>

マイクル・クライトンの小説「スフィア/球体」をバリー・レヴィンソン監督が映画化。
出演はダスティン・ホフマン、シャロン・ストーン、サミュエル・L・ジャクソン、ピーター・コヨーテ、リーヴ・シュレイバーら。
奇しくも日本では同日に、同じホフマン主演、レヴィンソン監督の「ウワサの真相/ワグ・ザ・ドッグ」が公開され、ハシゴして見た記憶がある。

文庫本で2冊分の物語を2時間強でまとめているので改変されている部分や映画的な省略も多いが、大筋は原作通り。ただそれでも全体的に間延びした部分も多く、評判が芳しくなかったのも頷ける話だ。
それでも映画館では楽しんだし、20年近く経って見直しても(忘れてる部分も多かったこともあるが)それなりには楽しめた。
その微生物が宇宙由来ということでSFに分類されてはいるものの、エボラ出血熱などの騒動を経てみれば絵空事ではない身近な題材。そのボーダーレスぶりは流石にクライトンである。

<過去記事>

もはや”恐竜映画”ではなく、完全なる”怪獣映画”だ。
あれから3年、イスラ・ヌブラル島の火山が活発な活動を始めたため、島に残った恐竜たちの絶滅が危惧されていた。
クレアは恐竜保護団体を設立し恐竜を救い出そうとしていたが、上院の特別委員会の緊急討議の席上では保護しないとの結論が出された。そんな時クレアはロックウェル財団から恐竜保護の申し出を受ける。
かつてのハモンドのパートナーだった富豪ロックウェルは、自身の持つ広大な土地に恐竜の保護施設を準備していたが、島の施設にアクセスできるクレアの助力が必要だったのだ。
そして恐竜救出の適任者として渋るオーウェンを説得し島へと向かうが、実はロックウェル財団の経営者ミルズの思惑は別にあった。彼は恐竜を密売し、巨額の富を得ようとしていたのだ。それに気づいたオーウェンとクレアは、何とかそれを防ごうとするのだが…。
ジェフ・ゴールドブラムの復帰が大々的に扱われていたが、マルコムは映画の最初と最後に出てきてテーマを投げかけるだけで、主要なキャラクターとは誰も絡まない。一種のブックエンドみたいなものだった。

ロックウェル財団の創始者ベンジャミン・ロックウッドは、故ジョン・ハモンドの元ビジネスパートナーだったが、とある理由で袂を分かった人物。ミルズに利用されていただけ、ということで免罪符が与えられてはいるものの、ハモンドと訣別した原因が人体のクローン化にあったとあれば「白」と断言出来かねる人物だろう。
【ひとりごと】
髪型が変わったせいか、クレア役のブライス・ダラス・ハワードが前作以上に魅力的。それに心なしか胸元を強調するショットも増えたようで、なんだかドキドキ。
以前にも書いた通り、第1作(「ジュラシック・パーク」)と同じ島が舞台になっているのはこの4作目が初。
2作目(「ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク」)3作目(「ジュラシック・パークIII」)とは舞台も違うしお話も直接繋がっていないので、このシリーズは2~4作目の全てが1作目の続編という珍しい構成になっている。

クレア役のブライス・ダラス・ハワードは絶世の美女でもセクシーだとも思わないが、後半でタンクトップ姿も勇ましくサバイバルする姿はグッとくる。
オーウェンを演じたクリス・プラットは、「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」のスターロードとは打って変わっておちゃらけは封印。終始キリっとした二枚目役を通しており、これまた格好良い。
この人の助手で、甥のザックとグレイのお守りを押し付けられるザラは本当に気の毒な女性で、兄弟の自分勝手な行動に振り回され、挙句にプテラノドンに捕食され…たかと思いきや最後はモササウルスの餌食に。
友人相手と思われる電話の内容からすると、近々結婚を控えていたらしいのに……。
今回も吹替で鑑賞。
オーウェンの玉木宏、クレアの木村佳乃、グレイの松岡茉優は何度聴いても酷いもんだ。
【ひとこと】
クライマックスに登場するT-REXは1作目からの生き残りらしいが、寿命は何年ぐらいあるんだ?
<過去記事>