そしてここ十年ばかりの主流となっている、人間態が登場せず、あるいは限定的な登場に留まり、変身後のウルトラマンたちが中心になる仮面劇の始まりもこの作品ということになる。
のみならず現在活躍しているウルトラマンタロウは、TVシリーズ「ウルトラマンタロウ」とは別の、この映画の延長線上の世界の住人のようにも思える。
「ウルトラマンタロウ」の最終回において、東光太郎はウルトラバッジを返し市井の人間として生きる道を選んだ。

つまりウルトラマンとハヤタ、帰ってきたウルトラマンと郷秀樹、ウルトラマンエースと北斗星司のようにM78星雲人と地球人が予め別人として存在していて、それが憑依という形で一体化しているのではなく、ウルトラセブンが薩摩次郎という青年の姿をコピーしてモロボシ・ダンという仮の姿を得ているように(つまり文字通りの”変身”で、セブン=ダンなのだ)、タロウもまた東光太郎と同一人物という解釈が出来るのである。
その描写を踏まえると、「タロウ」最終回以降の作品にはウルトラマンタロウというM78星雲人は存在しないことになる。
現に「ウルトラマンレオ」にはウルトラ兄弟が客演するエピソードがあるが、そこにタロウの姿はない。
「ウルトラマンメビウス」の頃になると、いつの間にか東光太郎と分離したタロウは光の国へ帰還したことになっているが、それもなんだか釈然としない。
東光太郎役の篠田三郎が頑なに再演を拒否している(といっても作品や役柄を嫌ってではなく、逆にそれを大事にしたいとの想いから、と再三取材には応じている)ことから、タロウのヴォイスキャストとしてこの映画版同様石丸博也が起用され続けていることもあるし、そのキャラクター性に共通点が見出されることからも、この映画版のタロウがずっと出てきていると考える方がスッキリするのだが、解釈は人それぞれということで。
そしてこの映画、再編集プラス新撮映像という形ではあるものの、結構良くできている。
今の目で見るとというより当時から「ここはこうすれば良かったのに」とか「あそこはああするべきじゃなかったなあ」とか不満点はあったものの、あの頃の状況を考えればこれが精いっぱいだったかも、というのもわかるので目をつぶる。
音楽担当者として宮内国郎、冬木透、菊池俊輔の3人の名前が並ぶ豪華さ。
新主題歌は作られているが、基本は既成曲の流用で賄われているが、オリジナル版にとらわれない斬新な使い方も面白い。
まあ中には、ヒッポリト星人のタール漬けからエースが復活するシーンに、「ザ・ウルトラマン」での変身シーンの定番曲が使われ、画面にこそあっているもののオリジナル版での強烈な印象払拭できずに困惑する、というようなこともなくはないのだが。
【ひとこと】
前作「ウルトラマンZOFFY/ウルトラの戦士VS大怪獣軍団」でも気になったのだが、ゾフィーとジャックの取り違え、かなり気になる。
<過去記事>
https://odin2099.exblog.jp/4069659/
脚本は足木淳一郎、監督は坂本浩一、1話5分程度の全13話で構成されているが、未公開シーンを追加して一本にまとめた<ディレクターズカット版>も製作されている。

そしてXとジード、それにオーブはそれぞれギンガとビクトリーに助け出される。
光の国に集結したニュージェネレーションヒーローズは、ゼロとグリージョ救出のためにダークキラーの本拠へと突入するが、その背後には彼らを操る存在がいた。
リブットはその正体を突き止めるべく、別行動を取っていた。
今回ニュージェネレーションヒーローズ以外にはウルトラ6兄弟のみ出てくるが、台詞があるのはタロウだけ。
その代わり、ギンガ/根岸拓哉、ビクトリー/宇治清高、エックス/高橋健介、オーブ/石黒英雄、ジード/濱田龍臣、ロッソ/平田雄也、ブル/小池亮介、グリージョ/其原有沙とオリジナルキャストが声をあてている。
タロウの声は石丸博也、ゼロはもちろん宮野真守、そしてニューヒーローのリブットは駒田航が担当。
リブットは宇宙警備隊ではなくギャラクシーレスキューフォース所属ということで、遊軍的立ち位置なのが面白い。
デザインも初代ウルトラマンをベースにしていて、今後の活躍も期待できそうだ。
一連の事件の黒幕はウルトラマントレギアで、この因縁は「ウルトラマンタイガ」本編へ持ち越し。
クライマックスは各ウルトラマンがゼロから与えられた力で戦うのが胸熱だ。

Blu-rayには放送版は特典映像扱いとなり、一本の作品にまとめられたものが収録されているが、細切れで見せられるよりもやはりその方が面白い。
ゾフィーはバードンと、セブンはキングジョーと、そしてジャックはグドン、ツインテールと激闘を繰り広げるが、当時の戦いぶりを再現し、それぞれが苦戦した相手へのリベンジ戦となっているあたり「わかってるな」と思う。
しかもそれぞれの登場シーンには「帰ってきたウルトラマン」「ウルトラマンゾフィー」「ウルトラセブンの歌」(登場順)といったテーマ曲のイントロを流し、戦うシーンには「ウルトラ6兄弟」を歌入りで使ったのには坂本浩一監督の強い拘りを感じる。
ラストは新番組「ウルトラマンジード」のお披露目を兼ねた登場シーン、並びにベリアルの復活を示唆するシーンが用意されている。
セブンの声は森次晃嗣、ジャックの声は団時朗だが、両人とも滑舌が怪しくなっているのが寂しい。
【ひとこと】
ゾフィー、セブン、ジャックで初代マン抜きなのは珍しいかな。
ところが2本作られたものの、どうもこれは期待していたウルトラマンじゃない。
そしてようやく始まった16年ぶりのテレビシリーズ「ティガ」は、最初のうちこそ違うなあと思っていたけれども、中盤以降は加速度的に盛り上がり大団円を迎え、これぞ待っていたウルトラマンとあっさり宗旨替え。
その後を受けた「ダイナ」では、遂にテレビでやってるウルトラマンが映画館でも大活躍!
しかもティガとの共演も?!ということで製作発表の段階からテンションMAXだった。

ウルトラマンや変身するアスカ隊員だけが目立って、他のスーパーGUTSのメンバーが空気になっているということもないし、裏主人公ともいうべきゴンドウ参謀をはじめとするTPC幹部陣も決して等閑にはされていないし、劇場版ゲストキャラが浮きまくってもいない(後にこのキャラはテレビシリーズで再登場する)。
結果、出来上がった作品にも大変満足。
細かいところを言えば、アスカ&リョウではなくアスカ&マイ推しなのがテレビシリーズとの整合性という点では違和感があったし、イルマ隊長、じゃない参謀の戦闘参加は唐突すぎるし、なんといってもダイゴ不在が残念でならないのだけれども、「ティガ」の続編であり「ダイナ」の1エピソードとしては良く出来てる。
人々の想いが光になってティガが復活しダイナを助けるシークエンスは何度見ても泣けるし、音楽の使い方もイイんだなあ。
ただテレビと同時進行のウルトラマンの劇場版は、今のところこれが最初で最後(あ、「ウルトラマンギンガ」は一応その範疇かな)。
あとは番外編か後日談、もしくは前日譚ばかり。
監督は劇場版から続投となる坂本浩一。

「ウルトラゼロファイト」と同様1話3分で、全13話が放送されたが、DVDに収録されているのはそれらを一本の作品にまとめたヴァージョン(トータル38分の中編作品)。
今度はウルトラマンと怪獣たちだけでなく、ショウ、ヒカル、サクヤ、レピも登場し、ドラマ部分を強化している。
相手がヤプールということもあって、アリブンタ以外にもベロクロン、バキシム、ドラゴリー、ルナチクス、エースキラー(改めビクトリーキラー)と超獣がズラリ。
更に復活したジュダ・スペクターが操るのはスーパーグランドキング・スペクターと、第二期、第三期世代への目配せも十分だ。
お話はさほど面白いとは言えないが、放送当時と全く遜色ない活躍を見せるエースやレオには、思わず目頭が熱くなるが、現役視聴者にもこの格好良さは伝わっただろうか。
テレビシリーズの人気エピソードの再編集版や劇場作品の分割、更には総集編などを放送していた「ウルトラマン列伝」の後番組「新ウルトラマン列伝」内の1コーナーだった。
この流れが後に1話30分の完全新作「ウルトラマンギンガ」へと繋がっていく。

映画「ウルトラマンサーガ」のその後を取り上げた物語で、ダイナとコスモスから与えられた力をどのように使うかを悩むゼロを描いた第一部と、復活したウルトラマンベリアルとウルティメイトフォースゼロとの対決を描いた第二部で構成。
ただ一部と二部は連続性はあるものの、直接繋がっているわけではなく独立している。
宮野真守、浅沼晋太郎、関智一、緑川光、神谷浩史、入野自由、小野友樹、安元洋貴、岸哲生、金子はりい、外島孝一、大谷美紀と揃った人気声優の演技も見もの、というか聞きどころ。
人間態のキャラクターは一人も登場しない仮面劇なので、キャラクターを活かすのはスーツアクターと声優陣の演技力にかかっているのだが、別録りが殆どだったとは思えないアドリブの応酬など見事にキャラクターを体現している。
そういやメフィラス星人が「卑怯もラッキョウもありませんよ」と宣うが、これは台本に書かれていたのか、それともアドリブか?
この映画も結構ハイペースで見直しておる。
この頃のブームは凄かったなあ。
特に第1弾の「実相寺ウルトラマン」なんか、あのミラノ座が一杯になるくらいお客さんが来てたんだから。

更に新規撮影部分では新たに作られた着ぐるみのウルトラマンまで出てくるのだけれど、これが見事に統一感なし、バラバラ。
それを同一キャラクターだと強引に言い張っているのは流石に今日では批判の対象になるだろうけど、この頃はそういうもんだと思っていたからあんまり気にしてなかったけど、昨今じゃ批判の対象になるだろうな。
ま、この頃の再現度の低さは一周回って味があるような気もしてきた。
しかし「ウルトラマン」世界って色々とヤバいですな。
神出鬼没のホシノ君、というより科特隊本部のセキュリティはガバガバだし、科学センター内で姿を見せただけのバルタン星人をいきなり撃ったり、落下したベータカプセルを拾うためとはいえビルの屋上からいきなり奇声を発して飛び降りるハヤタとか、街中で平然と核ミサイルをぶっ放す防衛軍(「君、ハゲタカは大丈夫だよ」)とか突っ込んじゃいけないのかな。
本編を担当した坂本浩一監督の盟友・横山誠が監督を務めた「ウルトラマンメビウス」の新作OV第2弾で、「STAGE I/暗黒の墓場」と「STAGE II/復活の皇帝」の前後編を一気に。

ラストショットは放置されたギガバトルナイザーをザラブ星人と思しき手が掴む、というものだが、これが後に劇場版で描かれる大事件の発端となるのだから、ウルトラ戦士の危機管理能力が疑われる。
前後編トータル約1時間、殆どウルトラマンと怪獣が戦ってるだけというのは飽きるのだが、これがなければ今日までウルトラシリーズが続かなかったかもしれなかったワケで、従来とは違った斬新な取り組みに”新生”円谷プロの意気込みは窺える。
<過去記事>
https://odin2099.exblog.jp/11676343/
https://odin2099.exblog.jp/11850262/
あんま色々考える必要がなく、ボーっと見ていても気軽に楽しめるもの、何度も見てるので全体の流れが頭に入ってるもの、がセレクトの中心になってきちゃってます。
で、今日はこちら。
坂本浩一監督の本格的劇場用映画デビュー作、といっても良いのかな。
今日のウルトラシリーズの流れを作った、シリーズの転換点でもあり、新生円谷プロの名刺代わりにもなった一本です。

マントを羽織ったウルトラ6兄弟やジャッカル軍団を彷彿とさせるベリアル率いる怪獣軍団は、内山まもるの漫画「ザ・ウルトラマン」の実写映画化の趣き(内山先生ご自身も特別出演!)。
兄弟やファミリー以外のウルトラ戦士の登場も含め、<第二期シリーズ>直撃世代には感泣モノ。
今まで共演のなかったスコット、チャック、ベス、グレート、パワードら海外組やネオス、セブン21、マックスら他のM78星雲出身ウルトラマンたちの登場も胸熱です。
もちろん不満点もないワケじゃありませんが、本作でデビューしたウルトラマンゼロがそのまま今日のシリーズを引っ張り続ける存在に成長したことと合わせ、もっと評価されても良いと思います。
https://odin2099.exblog.jp/11764819/
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https://odin2099.exblog.jp/22279019/
このままお蔵入り、はないとしても、配信オンリーかDVDスルーか、と危惧していた「ウルトラマンタイガ」の完結編がようやく公開。

ヒカルとショウはなんだか老けちゃったし(まだそんな歳じゃないのに!)、大地は一瞬「誰だっけ?」と思うくらい顔が変わってるし、ガイさんは安定してるし、リクくんは順調に成長してるし…というのは、久々に親戚が集まった時の感じ方だな。
普段は一体化しているタイガ、フーマ、タイタスがそれぞれ分離して戦うというのはテレビシリーズでは見られなかった光景のようだし、タイガが全ての<ニュージェネレーション>ヒーローと一体化して誕生した新ウルトラマンであるレイガは、劇場版ならでは。
「タイガのウルトラホーンに、全エネルギーを集めるのだ」とタロウが指示するシーンは、おお、「ウルトラマン物語」を彷彿!
そういえば今回ゼロさんは出てこなかったのがちょっと寂しかったけど、この人が出てくると全てをかっさらっていくからなー。
また<ニュージェネ>の皆さんが「力は役に立ったかい?」「力を返しておくれ」とヒロユキに言うシーンは、なんとなく「ゴーカイジャー」っぽいなと思ったり。
「タイガ」に続く現在放送中の「ウルトラマンZ」は久々に1話からずっと見てるのだけど、何やら<ニュージェネ>の集大成とかいう噂が。
これで一区切りつけるとなると当然のように締めくくりの劇場版が楽しみなのだが、はたして来春なり来夏なりに、無事に公開されるのやら。
今の段階では「神のみぞ知る」というところですな。
【ひとこと】