
クラシックだけでなく、ビートルズやエアロスミスの曲、更にオリジナルまであるところに彼女の幅を感じさせてくれるが、その後の活躍はご存知の通り。ここ数年は学業優先ということでCD録音もなく、コンサートも控え気味なのが残念で、このままフェードアウトしてしまうにはあまりにも惜しい存在なので、何とか時間のやりくりをつけてアーティストとして復帰いて欲しいと切に願っている。
それにしても、このアルバムタイトルはあまりにも彼女にピッタリだが、5曲目に収録されている「レジェンド<妖精伝説>」をメインフューチャーしたものだ。
といっても最近はコンサート活動やレコーディングの話題が聞こえてこないのが残念ですね。やはり国家試験を控え、研修医になるとなれば二足の草鞋は厳しいのでしょうが、このまま演奏活動から引退、となってしまわないことを切に願います。

ハープのために書かれたものではない曲を、ハープ用にアレンジして演奏しているのが特徴で、ヴィヴァルディの「四季:冬~ラルゴ」、カッチーニの「アヴェ・マリア」、ラフマニノフの「ヴォカリーズ」、バッハの「G線上のアリア」、「主よ人の望みの喜びよ」、ラヴェル「亡き王女のためのパヴァーヌ」、リスト「愛の夢」等々、個人的なお気に入りの曲目が並んでいます。その中に一曲だけビートルズが混じっているあたりが、Jクラシックらしいクロスオーヴァーでしょうか。
また、全体的に所謂クラシックっぽくないアレンジなのも特徴ではあるのですが、中にはちょっと行き過ぎかなぁという曲もあったのがちょっと残念ではありましたね。原曲のイメージが残っていないというか、むしろ損なっているように思えたのですが・・・。好みの問題と言ってしまえばそれまでですが、難しいですね。
NHKの海外向け音楽番組では毎週司会を担当していますが、コンサートの予定もないようですし、アルバム・リリースの話も聞こえてきません。彼女の一番新しいアルバムがこの3年前に発売されたものだというのはかなり寂しいですね。早く7枚目のアルバムを聴いてみたいものです。

「Zero」というタイトルも、原点に返るという意味合いがこめられているそうで(「足しても引いてもいない、ナチュラルな竹松舞」とのことです)、全曲が彼女のソロ演奏となっています。
ただ、そもそもハープの曲というものに馴染みが薄いので、最初は曲名を聞いてもピンと来ませんでした。ところが一度聴けば、すっかりハープの音色の美しさの虜。時間があるとついつい聴いてしまう愛聴盤の1枚です。
<収録曲>
1.アルベルト・ツァーベル:噴水
マルセル・グランジャニー:子供の時間
2.いたずらっ子
3.おりこうさん
4.速足で
5.庭でお遊び
6.パレード
7.眠りの精
8.セルゲイ・プロコフィエフ:プレリュード
9.ニーノ・ロータ:トッカータ
カルロス・サルツェード:8つの舞曲による組曲より
10.メヌエット
11.ボレロ
12.パウル・ヒンデミット:ハープ・ソナタ第1楽章
ジェルメーヌ・タイユフェール:ハープのためのソナタ
13.Allegretto
14.Lento
15.Perpetuum mobile
東京交響楽団の「第11回名曲全集」です。

指揮は大友直人さんですが、『宇宙戦艦ヤマト』の(それも特に後期の)ファンには思い入れのある名前ではないでしょうか。あれ以来、一度はコンサートへ行きたいと思っていたんですが、苦節20年(?)やっと夢が叶いました。当時は新進気鋭の若手だった大友さんも、すっかりベテランの風格が出てきましたがね。
しかし今回のお目当ては大友さんだけではありません。
何といってもハープを演奏するのが、あの竹松舞ちゃんなこと!(もう「ちゃん」付けでは失礼ですね)
二足の草鞋を履いた”現役医大生ハーピスト”、生で見るのは今回で二度目ですけれど、相変わらず可愛らしかった♪
演奏が終ると、結構大股でスタスタ歩くあたりのギャップもまた面白い(なんのこっちゃ)。
ただ流石に、演奏終了後のサイン会には並び(べ)ませんでしたねぇ。
先日のアルパ奏者上松美香ちゃんの時は魔がさしたけれど(爆)。
* * * * *
「ボクのわたしの 見て歩る記」より転載
「ミューザ川崎シンフォニーホール&東京交響楽団 名曲全集 第11回」
ここ数年ですっかりファンになった「現役医大生ハーピスト」の竹松舞。もっと早くその存在を知っていたら、高校生時代の演奏も聴けたかもしれないと思うと残念に思うが、今後の活躍にも期待しながらチョコチョコとコンサート情報をチェックしている。
そんな中でこのコンサートに辿り着いたのだが、最初は完全に守備範囲外だと思っていた。自宅から川崎までは結構遠い。電車を3本乗り継いで約1時間半。決して通えないわけではないが、気軽に行こうという気にもならない距離と時間でもない(その点、例えば東京芸術劇場ならば30分足らずで行くことが出来る)。しかし今夏、別に注目していたコンサートがこの会場で開催されるというので、物は試しと出掛け、思いのほか面倒ではないことがわかり、更に会場そのものがすっかり気に入ってしまったので発売日にチケットを購入した。
もう一つ、今回の指揮者が大友直人だったというのもこのコンサートを選んだ理由である。ご承知の通り『宇宙戦艦ヤマト』ファンでもある自分にとって、「指揮者:大友直人」は思い入れのある名前。その頃から一度は実際にコンサートで聴いてみたいと密かに思っていたのだが、その願いもこれで叶うことになったのだ(そういえばこの人は、演奏中に譜面を一切見ない(譜面台も用意していない)「暗譜」で指揮をしていたが、いつもそうなのだろうか)。
正直言ってしまえば今回のプログラムは、あまり食指を刺激されるものではなかった。モーツァルトといっても「フルートとハープのための協奏曲」は聴いたことがなかったし、ベルリオーズの「幻想交響曲」にしたって良く聴くのは有名な第4、第5楽章くらいなものだ。ということでほとんど馴染みのない曲ばかり並んだコンサートだったのだが、結論を言えばやはり聴いて良かった、と思う。
もう「可愛い」と呼ぶには失礼な年齢になりつつある竹松舞は、演奏に対する真摯な態度が好感持てるし(最初のうちはあまりハープの音が聴こえないので、ノリが悪いのかなと思っていたが杞憂に終ったようだ)、「幻想交響曲」も厚みのあるオーケストラの生の音の迫力を充分堪能させてもらうことが出来た。あまりホールの音響の良し悪しには頓着しない方なのだが、それでも素人ながら良い音だなぁと感じさせるものがある会場だったということも大きいとは思うが。これで次の機会も迷わずこのホールを選ぶことが出来る。
アンコールはビゼーの「アルルの女」第2組曲から”ファランドール”。
実はこれ、大好きな曲なだけに驚きとともに、大変嬉しいプレゼントともなった。

ハープというと独奏曲、あるいは室内楽のイメージが強いと思います。オーケストラに参加しても縁の下の力持ちか、せいぜいポイントで使われて場をさらうような扱いですが、このCDに収められたロドリーゴの「セレナータ協奏曲」とピエルネ作曲の「ハープ小協奏曲」の2曲はハープとオーケストラのための協奏曲。ハープとオーケストラが丁々発止とやりあうわけです(演奏は飯森範親:指揮の日本フィルハーモニー交響楽団) 。
聴くまで2曲ともその存在は全く知りませんでしたが、元々取上げられる機会があまり多くないようです(作曲家も、「アランフェス協奏曲」のロドリーゴはともかく、ピエルネの方は一般的に知られた存在じゃないと思います。調べてみると、色々面白いというか、凄い経歴の持ち主のようですが)。
ただ一度聴けばそのロマンチシズムというか、メロディの美しさにはまってしまい、冒頭に挙げた竹松舞本人のコメントにも素直に共感出来た次第。ハープが前面に出すぎるのでもなく、かといってオーケストラの物量に埋もれてしまうのでもない、絶妙なバランスの演奏、かつ録音になっていますのでとても聴きやすいものになっています。